ホワイト物流とは? 国が推進する背景やメリット、取り組み事例を紹介!
物流は私たちの生活や企業のビジネスにとって非常に重要です。
しかし昨今、トラックドライバーの高齢化や、新たな担い手の不足が深刻化しています。
物流の担い手の減少は物流の機能低下を招き、経済活動への影響も大きいでしょう。
また、この問題は物流事業者のみの努力では解決が難しい課題です。
この記事では、物流事業者と荷主企業が一体となって取り組むホワイト物流について解説します。
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目次[非表示]
- 1.ホワイト物流とは?
- 2.ホワイト物流の取り組みが求められる背景
- 2.1.ドライバーの不足と高齢化
- 2.2.重労働・低賃金
- 2.3.ホワイト物流に関わる法律
- 3.ホワイト物流に取り組むメリット3選
- 3.1.①生産性向上
- 3.2.②環境への考慮
- 3.3.③ドライバーの安全確保
- 4.ホワイト物流を目指す際の3つの課題
- 4.1.①輸送コストが上がる可能性がある
- 4.2.②荷主との交渉による課題がある
- 4.3.③労働時間や走行状態の把握が必須になる
- 5.ホワイト物流賛同企業の取り組み事例
- 5.1.ドライバーの待機時間削減に関する取り組み
- 5.2.荷役作業の負担軽減に関する取り組み
- 5.3.入荷作業の効率化に関する取り組み
- 6.まとめ:ホワイト物流について理解し、物流業務を効率化しよう!
- 7.ホワイト物流の実現にゼンリングループの「ロジスティクスサービス」をご検討ください
ホワイト物流とは?
ドライバーを始めとする労働力不足を課題に持つ物流業界が、生産性の向上や物流効率化等を目的に始めた取り組みのことを指す言葉がホワイト物流です。
ホワイト物流の推進は、物流事業者のみならず荷主企業を始めとする物流システムに関わるすべての人たちの連携により、長期的かつ安定した物流の供給実現を目的としています。
2018年に働き方改革関連法案が成立したことにより、物流事業に関わる人の環境改善にも注目されました。
ドライバーの長時間運転、荷役作業で発生する長い待機時間といった働き手に無駄を強いる古くからの慣習改善や、適正価格の収受による待遇改善。
こういった環境改善もホワイト物流に含まれます。
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ホワイト物流の取り組みが求められる背景
物流技術の進化と安定した物流提供が、日本の経済成長を支えてきたといっても過言ではありません。
そんな中、現在の日本の物流が抱えている課題を解説します。
ドライバーの不足と高齢化
ホワイト物流の取り組みが行われる背景として、まずはドライバーの減少や高齢化が挙げられます。
2022年9月に経済産業省と国土交通省、農林水産省が発表した資料によると、ドライバー不足を感じている企業は2014年から増加傾向です。
また、ドライバーの年齢構成も40〜54歳の層が厚く、高齢化が問題となっています。
参考:「我が国の物流を取り巻く現状と取組状況」
ドライバー減少の要因のひとつは、少子化による労働人口の減少です。
また、現代社会は企業のグローバル化やサービスの多様化、さらにはコロナ禍によりテレワークや地方分散化が加速しています。
そのため貴重な将来の働き手には、さまざまな職種の選択が可能となっているのです。
したがって、トラックドライバーという職種に明確な価値と魅力を付加し、若年層を取り込むことがドライバーの高齢化を阻止する手立てとなるでしょう。
重労働・低賃金
ドライバー不足を加速させている要因として、重労働かつ低賃金という待遇面も影響しています。
重労働の例としては、長距離を走るトラック運転手の拘束時間や、荷主都合などによる待機時間の長さが挙げられるでしょう。
長い拘束時間や待機時間は効率や生産性が低くなる原因となり、時間に対する対価が見合わない要因となってしまいます。
また、ECの普及に伴い、これまで企業間の往来で完結していた物流が、企業から個人または個人から個人のように複雑化しています。
これにより、輸送の回数が多くなり、ドライバー1人あたりの負担が増えることも重労働化の要因となっているのです。
海外発のECも増加傾向にあるため、ドライバーへの負担軽減は物流業界にとって大きな課題といえるでしょう。
ホワイト物流に関わる法律
2019年から順次施行されている働き方改革関連法も、ホワイト物流の取り組みが必要となった要因のひとつです。働き方改革には、物流業や運送業の働き方を改善する内容が含まれています。
働き方改革関連法の物流業界に関連する内容は以下のとおりです。
- 時間外労働の上限規制(年960時間・自動車運転業務)
- 月60時間超の時間外労働に対する割増賃金引上げ(25%→50%の中小企業への適応)
- 有給休暇取得の義務化
- 労働時間の確実な把握
- フレックスタイム制の拡充
- 高度プロフェッショナル制度の導入
- 勤務間インターバル制度の普及促進
- 産業医・産業保健機能の強化
- 同一労働同一賃金の実現
時間外労働の上限規制は2024年4月より適用、中小企業での月60時間超の時間外労働に対する割増賃金の引上げは2023年4月より適用となり、それにより業務時間に沿った適正な対価の支払が期待されています。
一方、時間外労働の上限規制はドライバー不足をより一層加速させるとして、物流業界における「2024年問題」とも呼ばれています。
※関連記事|物流業界に迫る「2024年問題」|問題の焦点と乗り切る手段とは?
ホワイト物流に取り組むメリット3選
ホワイト物流は、ドライバー不足の課題を抱える物流業界にとっても、今後の日本産業全体にとっても重要な取り組みです。
では、ホワイト物流の具体的なメリットについて、3点に絞って解説します。
①生産性向上
ホワイト物流への取り組みは、物流の効率化による生産性向上が期待できるでしょう。
物流を効率化する方法のひとつとして、物流システムの導入が挙げられます。
たとえば、AIによる配車システムを導入し宅配ルートの設計をすれば、渋滞などの交通状況や日時指定の情報などを考慮した効率のよい配送を実現できます。
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また、物流システムを導入すれば繁忙期の物流管理もしやすくなり、倉庫内作業員等の人的工数の最適化も可能です。
ITやデジタル技術の積極的な導入の効果は、トラックドライバーの待遇改善だけではありません。
物流センターや倉庫内で保管やピッキング等の軽作業を担う人の業務負荷軽減や作業効率向上により、輸配送以外の物流全体の最適化を図ることが期待されています。
このため、物流業務を効率化し、生産性を向上することは、ドライバー等の物流事業者と荷主である依頼主双方にとってのメリットになるのです。
②環境への考慮
物流業や陸運業が配慮すべき社会問題のひとつに、二酸化炭素排出による地球温暖化があります。
近年、陸運業界では、天然ガス車やハイブリッド車、電気自動車の導入による環境配慮が進んでいるのが現状です。
これに加え、荷主企業も再配達を抑制する取り組みがなされれば、燃料の無駄を削減でき、より環境に配慮したクリーンな物流の実現が可能でしょう。
さらに、鉄道や船へのモーダルシフト(複数の輸送手段を組み合わせての物流)等、輸送手段の変更も注目されています。
段ボール等梱包資材の再利用や通い箱といった複数回使用できる梱包資材を採用することも、環境配慮に向けたホワイト物流の施策のひとつといえるでしょう。
③ドライバーの安全確保
物流の効率化や最適化を図ることで、ドライバーが必要以上に時間に追われる事態を避け、より安全な業務の取り組みが可能となることもメリットといえるでしょう。
長時間労働による体力消耗で安全運転に支障をきたすことがないよう、2024年4月にはトラック運転者の時間外労働における上限規制(年960時間以内)が適用される予定です。
参考:「我が国の物流を取り巻く現状と取組状況」
労働環境の改善により、担い手にとっても依頼主にとっても安全かつ安心な物流の仕組み化が期待されています。
ホワイト物流を目指す際の3つの課題
物流システムの永続的な安定稼働を目的としたホワイト物流ですが、メリットがある半面、課題も多く残されています。
今後、安定的な物流を構築する為に必要なホワイト物流。
実現の為に意識すべき課題について解説します。
①輸送コストが上がる可能性がある
ホワイト物流を推進する上で懸念されるリスクのひとつは、企業の輸送コスト増です。
ホワイト物流では、物流事業者の賃金を含めた働く環境の見直しが必要でしょう。
適切な利益率で高品質な物流を安定供給する風潮に変わりゆくことで、物流費の高騰が懸念されているのです。
たとえば輸送費でいうと、2023年2月24日に日本銀行が発表した宅配価格指数では、2015年12月を100とした場合、2022年12月は124.0と約25%増加しています。
参考:「企業向けサービス価格指数の推移 (1)」
物流の環境改善は、サービスを享受する側にとってのコスト増にもつながるのです。
②荷主との交渉による課題がある
荷主企業にとって、物流費用の引き上げは大きな問題となりえます。
ホワイト物流の意図や目的を理解していても、費用は自社のビジネスに多大な影響がおよぶ要素のため、一挙にすべてを受け入れることは難しいでしょう。
交渉の内容によっては、これまでの取引が消滅してしまう可能性もあります。
たとえば、配送費の値上げは配達先やサイズ、配送する商品の種類によって綿密に料金を設定する等、お互いが納得できるよう折り合いをつける建設的な意見交換が必要です。
③労働時間や走行状態の把握が必須になる
ホワイト物流の成果を示す指標は、労働時間や走行距離等です。
形だけの取り組みにしないためにも、これらの重要指標の管理が必要になってきます。
管理するためのシステム導入や勤怠管理システムを新しくする等、ホワイト物流を正しく運用する為の設備投資も必要となるでしょう。
人手不足が顕著な物流業界において、労働時間の管理や走行距離の管理は、これまで当然とされてきた日時指定等の物流サービスの品質低下を招く要因となる可能性もあるため、しっかりと管理し、運送スケジュールを組むことが求められます。
ホワイト物流賛同企業の取り組み事例
ホワイト物流は具体的にどのような取り組みがなされているのでしょうか。
ドライバーの就業規則改定(2024年問題)や、法規制の改定等に直面している物流業界や運送業界での取り組み例をご紹介します。
ドライバーの待機時間削減に関する取り組み
ドライバーの業務の中で、とくに非効率なのは待機時間です。
物流センターや港湾地区、空港等、貨物の発着地点では曜日や時間帯によってトラックの着車が混雑を極めるケースが多々あります。
これまでの仕組みでは、到着した順に荷役作業を行うことが慣例となっていました。
また、荷役作業中においても待機は発生し、コンテナの場合1本あたり約2時間の荷役作業が発生することも珍しくないと言います。
長時間の待機時間を解消するために、トラックバース管理システム(予約受付システム)の導入をする企業があります。
トラックバース管理システムを導入することで荷役予定時間をあらかじめ設定でき、荷受け側の企業と時間の連携をすることで待機時間が削減されます。
その削減した時間を他の荷物の輸配送に充て、最適化が可能なのです。
荷役作業の負担軽減に関する取り組み
トラックへの荷積み、荷下ろしといった荷役作業は、体力的な負担が大きい業務です。
怪我のリスクもあるため、体力のある特定の人員が重労働を担わないといけないケースも多々あるでしょう。
この様な荷役作業の課題解決として、パレタイズ(荷物をパレットに積む作業)の自動化や、人口筋肉繊維と空気圧によるパワーアシストスーツの導入をする企業があります。
設備投資にコストがかかるという課題は残りますが、これらの取り組みにより荷役作業の体力的不安が解消され、女性やシルバー人材の安定雇用につながった事例もあるほどです。
入荷作業の効率化に関する取り組み
物流センターや倉庫の中で働く作業者の負担軽減も、ホワイト物流の取り組みのひとつです。
中でも、到着した貨物を倉庫に保管する際の入荷作業は、物量に波がある出荷作業と異なり、荷下ろしから棚入れまでの人的工数が大きいことが特徴といえるでしょう。
そこで注目されているのがIT技術導入による物流DXです。
具体的にはAGV(無人搬送ロボット)やAMR(自律走行搬送ロボット)などの導入があげられるでしょう。
商品の保管棚を棚ごと持ち上げ作業者のもとに運ぶ、作業者がピッキングした商品を指定した場所まで運ぶなど様々なところで作業者の作業負担を軽減します。自動化によりできた時間を他の作業に充てることで業務全体のスリム化が期待できるでしょう。
まとめ:ホワイト物流について理解し、物流業務を効率化しよう!
ここまで、ホワイト物流導入の背景や、導入によるメリットや課題、取り組み事例等を解説しました。
物流は人々の生活や企業のビジネスの生命線ですが、人口減少に伴いドライバーを始めとする物流の担い手の減少が深刻化しています。
ホワイト物流は、物流事業者と荷主である企業や自治体の協力により、物流の効率化や最適化を図り、人手不足の解消が期待できるため、本記事を参考に実践してみてください。
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