
デジタル地図とは?できることやメリット・デメリットを解説
デジタル技術の発展に合わせて、書類や写真といったあらゆるもののデジタル化が進みました。以前は紙が主流だった地図もデジタル地図が登場したことにより、人々の生活やビジネスにおいて大いに役立っています。
そんなデジタル地図では、具体的に何ができるのでしょうか?
今回は、デジタル地図の活用例やメリット・注意点、デジタル地図のデータ活用に欠かせないGIS(地理情報システム)について解説します。
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目次[非表示]
- 1.デジタル地図とは
- 1.1.紙の地図との違い
- 2.デジタル地図の主要なレイヤーは3つ
- 2.1.道路ネットワークデータ
- 2.2.検索データ
- 2.3.ベース地図
- 3.デジタル地図でできることの主な例
- 3.1.場所や施設の検索
- 3.2.目的地までの経路案内やルートの作成
- 3.3.位置情報の把握
- 3.4.距離や面積の計測
- 3.5.情報の重ね合わせ
- 3.6.表示スタイルの変更
- 3.7.地図情報の印刷・保存・共有
- 4.紙の地図と比較。デジタル地図のメリット
- 4.1.通信環境があればいつでも最新の地図を表示できる
- 4.2.必要な情報を選んで表示できる
- 4.3.リアルタイムで現在地を把握できる
- 4.4.持ち歩く必要がなくかさ張らない
- 4.5.情報共有が効率化できる
- 5.デジタル地図のデメリットは?
- 6.デジタル地図のデータ活用に欠かせないGIS(地理情報システム)とは
- 6.1.デジタル地図×GISでできること
- 6.2.デジタル地図×GISの具体的な用途
- 6.2.1.自然災害対策の検討
- 6.2.2.エリアの競合調査
- 6.2.3.道路・鉄道管理の効率化
- 7.まとめ:デジタル地図でできることを把握しビジネスに活用しよう
- 8.デジタル地図を容易に実装するならゼンリンデータコムへ
デジタル地図とは
デジタル地図は、デジタルデバイスで使用できるようにデータ化された地図のことです。道路滑走画像・衛星画像・航空画像等のデータによって整備されています。数値地図とも呼ばれており、ラスターデータとベクトルデータ(ベクターデータ)の2種類に分けることが可能です。
ラスターデータは、地図の画像データをデジタル地図化したものになります。地図画像は主に背景画像として使われ、そこに情報を上乗せするように使われるのが特徴です。
ベクトルデータは、線・点・面の3つで構成されたデータで、地図として表示させるにはGISが必要になります。また、正確な位置情報や道路の管理区分・道幅等、さまざまな情報を地図に持たせることが可能です。
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紙の地図との違い
紙の地図には、以下の特徴があります。
- デジタルデバイスやインターネット回線がなくても使える
- 複数人で見ることができる
- 目的地の目印・メモ等の書き込みが可能
- 市・県や全国等の全体像が把握しやすい
- 書店等で購入しなければならない
- 地図の大きさ・厚みによっては持ち運びが面倒
- 最新情報の取得ができない
- 現在地や目的地を探しづらい
紙の地図には、「デバイスやインターネット回線なしで見られる」「目印やメモ等の書き込みができる」といったメリットがあります。
しかし、紙の地図は有料であり、さらに最新情報に対応するためには、定期的に改正版に買い替えなければなりません。持ち込みにくい、現在地や目的地の検索性が悪いという注意点もあります。
一方、デジタル地図は、基本的に無料で利用することが可能です。また、常に最新版の地図を閲覧できる、ルート検索や現在地の確認ができる等の違いがあります。スマートフォンやタブレットからも利用できるので、紙の地図よりもかさ張りません。
デジタル地図の主要なレイヤーは3つ
デジタル地図は、種類別に分けられた複数のデータ層によって構成されています。主要となるレイヤー(階層)は、道路ネットワークデータ・検索データ・ベースデータの3つです。ここからは、それぞれのレイヤーについて解説します。
道路ネットワークデータ
道路ネットワークデータは、道路の種類や道幅、車線数、規制情報等の道路に関する多様な情報を有するデータです。ルート検索を行うために欠かせないレイヤーであり、カーナビや道路交通情報通信システム(VICS)といった幅広い分野で用いられています。
また、道路ネットワークデータは、ノードとリンクによりラインで構成されているのが特徴です。ノードとは、交差点・曲がり角・行き止まり等を示す特徴点で、そのノードと接続されるのが道路区間を示すリンクになります。
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検索データ
検索データとは、住所や施設名等に経度・緯度情報を与えたデータになります。このレイヤーがあることで、目的地を検索した際にデジタル地図上に正確な場所を表示することが可能となります。まさに、デジタル地図の基本機能を実装する上で欠かせないレイヤーといえるでしょう。
ベース地図
ベース地図は、地図として認識できるように地形物を可視化させたデータのことです。簡単にいえば、デジタル地図を閲覧する際に表示される絵の部分になります。建物や道路の形状・街区・河川等が視覚的にわかりやすく表現されており、交差点や施設名を表示させることも可能です。
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デジタル地図でできることの主な例
デジタルという性質から、便利な機能を持つデジタル地図のサービスは多数存在します。具体的にどのようなことができるのか、例を見ていきましょう。
場所や施設の検索
場所や施設の検索は、デジタル地図の基本的な機能です。先に述べたとおり、デジタル地図には住所や施設名等の検索を可能とする検索データと呼ばれるレイヤーがあります。
そのため、検索機能で地名や施設の名称等を入力することにより、地図上に目的の場所をピンポイントで表示することが可能です。
ただ、場所を表示するだけではなく、営業時間・定休日やお店の口コミ、ホームページのリンクといった詳細な情報を表示できるサービスもあります。ほかにも、駐車場の空車情報を取得できたり、「ランチ」や「歯医者」とあいまいなキーワードでの検索から身近なお店・施設を検索できたりするサービスもあります。
目的地までの経路案内やルートの作成
デジタル地図では、目的地の経路を案内してくれる機能も定番です。徒歩・自動車・公共交通機関と、移動方法に合わせて経路や到着時間の目安を表示してくれます。カーナビや一部地図サービスでは、音声で経路を案内できるので、自動車を運転している際もよそ見をせずに案内された経路での移動が可能です。
また、デジタル地図によっては、自身でルートを作成できるケースもあります。ルート作成機能は、観光コースの経路案内や学習用のオリジナルマップ作成といったさまざまな用途に活用することが可能です。
位置情報の把握
デジタル地図では位置情報の把握も可能で、経路検索や案内に活用されています。位置情報のおかげで自分が今どこにいるのか、地図を見ればすぐに把握することが可能です。
位置情報の取得を実現しているのが、デジタルデバイスにも搭載されているGPS(全地球測位システム)と呼ばれるシステムのおかげです。GPSは、人工衛星を通じて位置・距離・時間等を分析し、現在地を特定できる仕組みとなっています。
距離や面積の計測
デジタル地図のサービスによっては、距離や面積を測ることも可能です。たとえば、目的地までの経路や2地点間をタップ・クリックで指定するだけで、距離を計測できます。「自宅から駅までの距離」といった身近な計測から、「東京から大阪まで」といった広範囲の距離の計測も可能です。
また、建物や敷地を指定すれば、広大な土地であっても簡単に面積を把握できます。ただし、デジタル地図で計測できる距離や面積はあくまでも目安の表示となるので注意しましょう。
情報の重ね合わせ
デジタル地図は、複数のデータによるレイヤー構造で成り立っています。そのため、地図上にさまざまな情報を重ね合わせることが可能です。
たとえば、災害対策向けのデジタル地図であれば、地図上に、災害時に自動車が通行不可能となる場所・防災施設の分布や一人暮らし高齢者の分布等を重ねることで、関連性のある情報を一目で把握できるようになります。
ほかにも、地図上に周辺のお店や名所の場所に関連する画像を表示し、どのような場所か見ただけでイメージしやすいデジタル地図にすることも可能です。
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表示スタイルの変更
デジタル地図には、目的に合わせて表示スタイルを変更できるものもあります。たとえば、以下のスタイルで地図表示が可能です。
- 道路や建物の色を分けて表現する色覚UD表示
- シンプルな白地図表示
- 高速道路・鉄道・バスの経路等を強調して表示
また、絵の地図ではなく、衛生画像や航空写真をベースに地図を表示できるケースもあります。ベースが写真であれば、ルートと同時にリアルな目的地の姿や周辺環境を把握できるので便利です。
地図情報の印刷・保存・共有
デジタル地図は、印刷や画像で出力でき、資料として保存や共有したいときに便利です。表示されている地図だけではなく、図番や範囲を指定して一部だけの印刷や画像化もできます。
ただし、地図には著作権があることに注意しましょう。紙の地図やサイトからコピーした地図には著作権があり、無許可での商用配布やWebサイト掲載は著作権侵害に該当する場合があります。
違反が発覚した場合の罰則は、個人だと10年以下の懲役もしくは1,000万円の罰金、法人では3億円の罰金です。また、著作者から訴訟されるケースもあります。大きな損害を被るリスクがあるので、商用・営利目的で地図の印刷・保存や共有をしたい場合は提供元の利用規約をよく確認しましょう。
紙の地図と比較。デジタル地図のメリット
デジタル地図は紙の地図よりも機能的であるゆえに、メリットが多くあります。具体的にどのようなメリットがあるのか見ていきましょう。
通信環境があればいつでも最新の地図を表示できる
デジタル地図はWebブラウザやアプリから閲覧でき、常に最新の地図が表示されています。地図情報は時間と共に変化するため、紙の地図の場合は最新版の購入や修正等の更新作業が必要です。
しかし地図がデジタル化されていると提供している地図会社の更新頻度に応じて自動で修正がかかるため、いつでも最新の地図情報を取得できるのが大きなメリットです。
必要な情報を選んで表示できる
見たい情報を選択し、表示できることもデジタル地図のメリットです。デジタル地図は、複数のデータを重ねているので、データの表示と非表示の切り替えが容易に行えます。たとえば、土地の地図レイヤーに建物だけを表示する、地下街だけの地図を表示するということも可能です。
紙の地図の場合、目的に合わせて見る地図を変えなければなりません。複数の地図を用意しなければならず、管理や閲覧に手間がかかってしまうでしょう。その点、デジタル地図ならさまざまな地図情報が集約され、必要な情報だけを表示したり、データを重畳することもできるので利便性が高いのです。
リアルタイムで現在地を把握できる
位置情報を活用するデジタル地図は、現在地の把握が容易です。慣れない土地での移動中においても自分の現在地が地図上に表示されるので、目的地までの経路から外れていないか瞬時に確認できます。また、現在地の住所や周辺情報の確認も可能です。
紙の地図には、位置情報を取得する機能がありません。自分が今どこにいるのかは、周辺環境を見て地図と照らし合わせなければならず、現在地の確認に時間も手間もかかってしまいます。
持ち歩く必要がなくかさ張らない
デジタル地図はパソコンだけではなく、通信環境があればスマートフォンやタブレットからでも閲覧できます。とくに、スマートフォンは常に持ち歩いているものとなるので、わざわざ本や紙の地図を持つ必要がありません。
アナログの地図は、本や紙の大きさによってはかさ張ってしまいます。しかし、スマートフォンやタブレットはコンパクトなデバイスであるため荷物になりづらく、負担をかけずに移動や地図を使用することが可能です。
情報共有が効率化できる
デジタル地図はあらゆる情報を持ち合わせており、データとして情報共有を効率化できるメリットもあります。そのため、ビジネスシーンでも大いに活用することが可能です。たとえば、顧客にデジタル地図を見てもらうだけで、地理的な情報や保有物件の情報等をスムーズに共有できます。
また、地図上に伝えたい情報をすべて表示できるので、バラバラに管理されたデータを地図で集約・可視化できるのもメリットです。さらに、地図上のデータを営業活動用の資料としても使えるので、資料作りの手間も軽減されます。
デジタル地図のデメリットは?
利便性の高いデジタル地図にも弱点が存在します。その弱点とは、一覧性や俯瞰性が紙の地図よりも劣ってしまうことです。
スマートフォンのような小型デバイスから地図を見る場合、表示できる範囲が画面サイズに制限されてしまいます。簡単に拡大・縮小表示ができる反面、全体図を見るために縮小すると細かい地図情報が見えづらくなってしまうのです。
その点、紙の地図は拡大・縮小機能はないものの、決まった範囲で必要な情報量を見やすい形で表示するように作成されています。全体像を写した地図でも詳細な地図情報がはっきりと見えるので、同じ縮尺のデジタル地図と比べると情報量はアナログの地図の方が多いです。
また、デジタル地図は通信環境やデジタルデバイスがないと使用できません。スマートフォンやタブレットが充電切れしているときや、通信障害が発生したときは地図が見られなくなります。そのため、災害時や電波が届かない場所では紙の地図の方が便利でしょう。
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デジタル地図のデータ活用に欠かせないGIS(地理情報システム)とは
GISは、地理情報をコンピューター上の地図に可視化させるために欠かせないシステムです。そんなGISができることや具体的な用途例をご紹介します。
デジタル地図×GISでできること
国土交通省は、GISを「コンピューター上であらゆる地理空間の情報を重ねて表示するためのシステム」としています。
GISを使うことで、デジタル地図にさまざまなデータを重ね合わせることが可能です。
GISは土地・建物の利用・開発を手がける不動産業・建築業をはじめ、地形データを活用する自治体業務や研究等、幅広い分野で使われているシステムになります。
GISで主にできることは、以下のとおりです。
- 地図データの表示や編集ができる
- 地図上でデータ作成や更新ができる
- 地図上の地物に関連情報を紐づけられる
- 地図上で情報検索や分析ができる
GISによって、地図データを読み込み、デジタル地図として表示できます。2次元や航空写真、3D等に切り替えて地理情報を表示させることも可能です。新しく建物が立ったり、区画整理が行われたりした際に、その地理情報をデジタル地図に反映させて最新版に更新することも簡単に行えます。
地図上の地物に、顧客情報や現地写真等の関連情報の紐づけもでき、集約された情報をスムーズに共有することが可能です。また、位置情報や関連情報をもとに目的地やルート検索、距離・面積の計測等も行えます。検索・分析機能は、商圏や交通ルートの分析や出店先の適地選定等に活用可能です。
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デジタル地図×GISの具体的な用途
GISを活用したデジタル地図は、具体的にどのように活用できるのか用途例をご紹介します。
自然災害対策の検討
GISでは、自然現象と地理情報を組み合わせて、エリアごとの災害リスクを求めることが可能です。たとえば、災害時の道路状況・土砂災害・浸水が想定されるエリアを地図で可視化できれば、危険地域を特定できます。
また、災害リスクを把握することで、災害の種類に応じて避難経路・避難場所等をまとめたハザードマップの作成も可能です。緻密なハザードマップが作成されれば、災害時における避難の判断も適切に行えるでしょう。人口や建物の構造といった情報を重ね合わせれば、被害状況の把握にも役立ち、迅速かつ円滑な救援の実現につながります。
エリアの競合調査
エリア内の競合調査にも活用できます。たとえば、店舗を出店する際、競合や市場の調査を行って、集客が見込める地域を選定しなければなりません。そこで、GISを活用することで、出店候補のエリア内にある競合の位置情報や、集客を見込める顧客数等を見える化できます。
その情報をもとに、効率よく出店先を選定することが可能です。また、デジタル地図を使って地域情報を社内で共有できるので、認識のズレを防いだ上でスムーズな合意も得られるでしょう。
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道路・鉄道管理の効率化
GISは、道路・鉄道の管理効率化にも役立ちます。地図上に道路や鉄道に関するすべての情報を記録することが可能です。個別に管理されていた図面・台帳・写真もまとめて管理でき、必要な情報は検索して抽出できるようになります。
また、道路・鉄道に関する情報を一元管理できるようになれば、緊急時は素早く対応でき、メンテナンス計画の立案も容易になるでしょう。
まとめ:デジタル地図でできることを把握しビジネスに活用しよう
今回は、デジタル地図でできることやメリット・注意点等をご紹介しました。日常的に使われているデジタル地図は複数の情報を付与させられるため、活用方法もさまざまな可能性を秘めています。デジタル技術の発展に合わせて、デジタル地図もより便利で高度なものに進化していくでしょう。
また、GISを活用したデジタル地図は、地理情報を活かしたビジネス展開が可能となります。業務や資料管理の効率化、新事業・サービスの創出等につながる可能性があるので、ぜひ自社のビジネスにも、高精度のデジタル地図の活用をご検討ください。
デジタル地図を容易に実装するならゼンリンデータコムへ
ゼンリンデータコムでは、デジタル地図のデータを簡単に呼び出し利用することができる地図APIを取り扱っています。用途・要望に合わせて適した地図APIの提案・提供・開発が可能です。
たとえば、ゼンリングループが提供する「ZENRIN Maps API」は、詳細な住宅地図の表示や建物・テナント情報等の検索機能を有しています。
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