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地図は著作物? 地図を利用する際に注意すべき著作権とリスクについて

ビジネスにおいて、チラシ、商品やサービスのパンフレット、会社案内等の各種書類の作成、Webサイトの制作等において、地図(以下、地図情報およびデータを含みます)を利用するシーンは多いのではないでしょうか。

しかし、地図は著作権法において保護された著作物です。無断で利用した場合または著作権法上で認められる範囲を超えた利用をした場合には、法律違反として厳しく罰せられることもあります。

本記事では、地図と著作権の関係や利用する上での注意点、実際の違反事例なども交えて解説します。

特に地図を営利目的(法人の場合、たとえ社内利用であっても、営利目的となります。)で利用したい方は、本記事を参考にしていただき、利用に充分注意してください。


目次[非表示]

  1. 1.地図は著作物?
    1. 1.1.著作権法の意義
    2. 1.2.地図と著作権について
  2. 2.地図を利用するときに注意すべき3つのこと
    1. 2.1.複製権侵害
    2. 2.2.公衆送信権侵害
    3. 2.3.譲渡権・貸与権侵害
  3. 3.地図の著作権を侵害した場合のリスク
    1. 3.1.著作権法違反の罰則
    2. 3.2.罰金や訴訟、和解金による経済的な利益の損失
  4. 4.著作権侵害の事例
  5. 5.まとめ:地図を活用する際は必ず利用規約を確認しよう
  6. 6.地図データを使うならゼンリンデータコムの「​​AreaCutter」がおすすめ!


地図は著作物?

地図には著作物?

著作物とは、著作権法第2条2項において以下のとおり定義され、保護されています。

思想又は感情を創作的に表現したものであって、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するもの

地図は平面上に実在する建物や道路などを配置したもので、一見「創作的」なものではないように思われますがそうではありません。

文芸や美術のような工夫できる範囲は少ないものの、地図上に表示する建物等の取捨選択や配置、表記方法等に地図を作者した者の思想や工夫が反映されているため、「創作性」が著作権法で認められています。

実際に、Google マップとYahoo!地図では、コンビニやガソリンスタンド等、同じ建物であっても、その表記方法は異なります。

このように、地図をどのようにしてわかり易く表記するかは地図の作者によってさまざまであり、それこそが創造性がある部分といえるのです。


著作権法の意義

著作物の定義は、前にも述べた通りとなり、具体的には小説・脚本・論文・音楽・美術・地図・映画・写真・漫画・アニメーション・コンピュータプログラム等が著作物として保護の対象となっています。また、これらの著作物を創作した人を「著作者」、著作者に発生する権利を「著作権」といいます。

著作権法は、この著作者の権利と保護対象となる著作物を定め、その権利を保護するとともに、著作物の正しい利用を確保することで、文化の発展に貢献することを目的として施行されました。

従って、著作権法に反して、著作物を無断で利用する行為は、著作権侵害にあたり処罰の対象となります。


地図と著作権について

地図は、著作権法第10条1項6号に該当し、保護の対象となっています。

​​​​図又は学術的な性質を有する図面、図表、模型その他の図形の著作物

そのため、Google マップやYahoo!地図などを無断で複製して利用、または改変や編集を行い、これらをWebサイト上に無断で掲載することは、著作権に違反します。

言い換えると、みなさんが目的地までの道を表すために独自に地図を作成した場合、その地図には著作権が発生する、ということになります。


地図を利用するときに注意すべき3つのこと

地図を利用するときに注意すべき3つのこと

地図を利用するときは、まず以下の3つの侵害行為に注意する必要があります。


複製権侵害

複製権とは、著作物を印刷、写真、複写、録音、録画その他の方法にコピー(複製)できる権利で、著作者の許諾を得ずに複製した場合には、複製権の侵害となります

たとえば、地図帳の一部をコピーして他の用紙などに張り付け添付して配布する、Web上の地図データや画像をSNSにアップロードすることや、既存の地図に新たにお店の情報や色を付け足すといった行為は、著作権侵害に当たる場合があります。

ご自身で地図を作成する場合、無料で利用できる国土地理院の「実測地図」を承認申請し、それを元にした地図を作成すれば著作権侵害に当たることはありません。


公衆送信権侵害

公衆送信権とは、著作物を公衆(不特定又は多数の者)向けに「送信」することに関する権利です。公衆向けであれば,無線・有線を問わず、あらゆる送信形態が対象となります。

具体的には、 以下が該当します。

内容

意味

具体的な例

放送

公衆送信のうち、公衆によって同一の内容の送信が同時に受診されることを目的として行う無線通信の送信をいう(2条1項8号)

地上波・BS放送等のテレビ・ラジオ等

有線放送

公衆送信のうち、公衆によって同一の内容の送信が同時に受診されることを目的として行う有線電気通信の送信をいう(2条1項9号の2)

ケーブルテレビ・有線音楽放送等

自動公衆送信

公衆送信のうち、公衆からの求めに応じ自動的に行うものを言う(2条1項9号の2)

(放送又は有線放送に該当するものを除く)

ホームページ・Webキャスト等のインターネット等を介した情報送信

その他

-

ファクシミリ等、電話等での申し込みを受けて、都度手動で送信すること

以上の行為を著作者に無断で行った場合には、公衆送信権の侵害となります。

これに加えて、「自動公衆送信」の場合には、サーバー等の送信機器からの「送信」だけでなく、そのために準備行為である送信機器へのアップロードや入力等によって著作物を保存する行為も伴いますので、「送信可能化権」の侵害となる場合もあります。


譲渡権・貸与権侵害

譲渡権と貸与権の内容は以下のとおりです。


内容

侵害例

譲渡権

著作者の許可のもとに、著作物(映画の著作物を除く)の原作品または複製物を譲渡により、公衆に提供できる権利

Google マップやYahoo!地図等の地図データを複製し、たものを、フリマサイトやオークションサイトなどで販売する行為

貸与権

著作者の許諾のもとに、著作物(映画の著作物を除く)を公衆に向けて貸与することができる権利

通常は、著作者に対し許諾料などの報酬の支払いが必要となる※1

貸本店等が、著作者からの承諾を得ることなく、公衆向けに有料で地図(住宅地図や地図データを取りまとめたもの)を貸し出す行為

※1 図書館等の「貸出」は貸与であるものの「非営利」かつ「無料」であるため、例外的に著作者の許諾が不要とされています。


地図の著作権を侵害した場合のリスク

地図の著作権を侵害した場合のリスク

著作権を侵害した場合、下記のようなリスクが考えられます。

  • 10年以下の懲役または1,000万円以下の罰金。なお、法人等が著作権を侵害した場合は、3億円以下の罰金となります。
  • ​罰金や訴訟、和解金による経済的な利益の損失と社会的信用の失墜


著作権法違反の罰則

著作権法に違反すると、個人の場合には、10年以下の懲役または1,000万円以下の罰金、法人の場合には3億円以下の罰金が科せられます。

ただし、違反内容に応じて罰則の内容は変わってきますが、著作権法に違反して、著作権者がもつ権利を侵害すると、「刑事罰」が科されます。

さらに場合によっては逮捕されることもあり、裁判で有罪が確定すると、懲役・罰金といった刑事罰を受け、前科がつくことになります。


罰金や訴訟、和解金による経済的な利益の損失

著作権の侵害は、先に記するような厳しい刑事罰が科せられる上、民事訴訟で損害賠償請求を受ける、また、不当利得の返還請求や名誉回復、差し止め等の措置を請求される可能性があります。

広告や宣伝のためとはいえ、著作権を侵害した場合は、罰金に加え、著作者から名誉回復のための新聞やテレビでの謝罪広告放映、掲載当を要求された場合や和解金などで利益がなくなるどころか、損失となる可能性もあります。

著作権の侵害は経済的な利益の損失だけでなく、社会的な信用を失うという事態につながりかねないため、十分注意して利用しましょう


著作権侵害の事例

著作権侵害の事例

とある地方自治体のホームページにおいて、Google マップの著作権を侵害した、としてニュースになった事例があります。

主な内容はGoogleから利用許可を得ていない地図の画像データが2,000枚以上使用されており、Googleだけではなく、国土地理院の地図においても著作権侵害が生じていたという事件です。

次の項目でも触れる「利用規約」で定められた、適正な出典元の表示ができておらず、著作権法違反である事実が公表され、地図の削除、差し替え等の措置を講じ、また各地図の提供者への謝罪や法的処置が取られています。

企業や自治体で地図を利用する場合は法的に注意すべき点を把握し、少しでも疑問は生じた場合は、弁護士などに相談するとよいでしょう。


まとめ:地図を活用する際は必ず利用規約を確認しよう

地図を利用するときは、著作権法違反に注意をするとともに、必ず利用規約を確認するようにしましょう。

地図は著作物であるという認識が低く、気軽に利用を考えてしまうケースも少なくありません。

しかし、実際には芸術や文芸のように作者の感情や創作性が認められており、著作権法で保護される著作物です。

特に、企業において、利用する場合は営利目的(社内に限定した利用であっても営利目的となります。)となりますので、利用規約をよく確認し、適切な利用を心がけましょう。




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