
GIS (地理情報システム)とは? GISの活用メリットからGISが活躍する業界まで解説
企業が業務を行う上で、必要となる地図情報はさまざまです。
「店舗を出店する最適な立地を知りたい」「最適な配送ルートを知りたい」等、得たい情報は業界によって異なります。
GISを活用すれば、必要な情報を可視化し、業務効率の向上が可能です。
しかし「GISとはそもそも何か」を知らなければ、導入の検討ができません。
そこで、この記事ではGISについて、活用するメリットや親和性の高い業界まで詳しく解説します。
最後まで読んで、GIS導入の必要性をぜひご検討ください。
目次[非表示]
- 1.GIS (地理情報システム)とは
- 2.GISとGPSとの違い
- 3.GISの主な機能
- 3.1.地図上でデータを表示
- 3.2.各データの重ね合わせ
- 3.3.地図上のデータの分析
- 4.GISデータの種類
- 5.GISデータを活用するメリット4つ
- 5.1.①さまざまな視点からのデータ分析が可能
- 5.2.②効率的な意思決定に役立つ
- 5.3.③容易にデータの可視化ができる
- 5.4.④複数のデータソースを統合しやすい
- 6.GISデータが役立つ業界と活用例
- 7.まとめ:GISを利用して効率よくデータを分析しよう!
- 8.マップ上での人流把握には「混雑統計®」を利用しよう!
GIS (地理情報システム)とは
GISとは「Geographic Information System(地理情報システム)」の略称であり、地理情報を統合するシステムです。
具体的には電子地図にさまざまな情報を重ね合わせて、地理情報と他の情報を紐づけます。
さらに紐づけた情報の編集・分析・管理・検索等のアクションを行い地図上にデータを可視化することで、業務効率の向上や集客・マーケティング等に活用することができるのです。
GISは、地理に関するさまざまな情報を統合管理するため、精度の高い情報検索・分析が可能です。
また、地図情報と店舗情報等、さまざまな情報を関連付けられるため、情報の相関性やデータの傾向の視認性が高まります。
不動産情報の管理や店舗の出店計画・顧客管理、さらには災害時の防災計画など様々な分野にGISは活用されています。
GISとGPSとの違い
GISと混合されやすい言葉として、GPSがあげられます。
GPSとは、「Global Positioning System(全地球測位システム)」の略称で、現在地情報を取得するシステムのことです。
具体的には、人工衛星から取得した位置や距離、時刻等を解析して、現在地を割り出します。
Google Maps等の電子地図に採用されており、経路検索や現在地確認に欠かせません。
GISにはGPSのように現在地を割り出す能力はなく、あくまで電子地図上にさまざまな情報を統合して地図情報を有効活用するシステムです。
GISとGPSでは目的と役割が異なっており、現在地情報を取得するシステムか地図情報を管理・有効活用するためのシステムかという違いがあります。
関連記事|GPSとは? 仕組みやGPS機能を活用しやすい業種を紹介 | 株式会社ゼンリンデータコム (zenrin-datacom.net)
GISの主な機能
GISの主な機能は、次の3つです。
GISを活用するために、それぞれの機能を理解しておきましょう。
地図上でデータを表示
GISには、地図上に情報を表示する機能が備わっています。
情報の羅列だけでは、欲しい情報を瞬時に把握できません。
必要な情報を地図上に表示することで、迅速に情報を取得し、判断することができます。
たとえば、コンビニに行きたい際は地図アプリで「コンビニ」と検索すれば、近隣のコンビニ情報の表示が可能です。
位置情報だけでなく営業時間や電話番号等の店舗情報も取得できるため、ひとつのシステムで多くの情報を取得できるようになります。
他にも温度や標高等、地理に関する情報を地図上に表示できるので利便性も高いです。
各データの重ね合わせ
GISの特徴は、各データを重ね合わせられることです。
複数のデータを重ね合わせて統合することで、よりデータ同士の関連性を高めた地図データの取得ができます。
たとえば、新店舗を出店しようとGISを活用する際には、店舗情報や位置情報だけでなく人口情報や流通経路等、顧客の需要と照らし合わせて出店場所を決めることが可能です。
ひとつの情報では判断できないケースでも、複数の情報を重ね合わせることで多角的な視点から物事を捉えられます。
GISは位置情報に関連する複数のデータを重ね合わせて分析できるため、さまざまな業界・職種で活用されているのです。
地図上のデータの分析
ここまでに説明した通り、GISは地図上のデータを分析する際に活用できます。
経路検索や店舗情報・エリア情報を検索・分析し、対象エリアの中で「最寄り駅から徒歩10分圏内の物件」等、条件に合った情報を瞬時に得ることが可能です。
地図上のデータを分析できるGISは、エリアマーケティングや店舗集客に活用できます。
地図上のデータを分析して、自社の目的にあったGISマップを作成することも可能です。
自社の目的・用途に応じた情報分析を行い、地図上のデータを有効活用しましょう。
GISデータの種類
地理情報システムで取得・活用されるデータはさまざまな種類があります。
GISデータは大きく分けて、次の4種類です。
それぞれの特徴を理解して、GISデータを活用してください。
ベクターデータ
ベクターデータは、地図上のデータをポイント(点)・ライン(線)・ポリゴン(面)で表します。
ベクターデータの名称は、コンピューターグラフィックのような線と円の幾何学的な図形で表す「ベクター形式」を採用していることが由来です。
ベクターデータは測量や計測・CADデータから変換されて取得されます。
取得されたデータは写真や高度な図ではなく、簡略的な図形で表される点がベクターデータの特徴です。
GIS データの代表的なフォーマットであるシェープファイル(Shapefile)は、このベクターデータに属性データ(特徴や数値情報など)を加えたもので、広く用いられています。
ラスターデータ
ラスターデータは、空間を一定間隔の格子点に分割してセル(ピクセル)で表します。
航空写真や衛星写真からデータを受信し、高精度な写真に変換できるデータ様式です。
そのため、ラスターデータは写真や地理図形等、高精度な図が必要な際に使用されます。
他にも土地被覆分類図や植生分布図、メッシュ気象データ等高精度なデジタル画像が必要な際は、ラスターデータが必要です。
ラスターデータは、地図上の画像・写真・図形を表すために必要なデータ様式といえます。
属性データ
属性データは、地図上に追加するデータ情報のことです。
属性データとして追加できる項目としては、性質・特徴・数値等さまざまな情報が該当します。
たとえば、電話番号や建物名称・都市の名前や人口、建物の構造や築年数等、地図に記載したい多種多様な情報を属性データとして追加可能です。
GISは、ラスターデータやベクターデータ等、人工衛星や測量・CADデータから取得した情報だけでなく、利用者が求める情報を追加できます。
そのため、企業の業務効率を向上させるツールとしてGISが普及しているのです。
メタデータ
メタデータは、GISデータの信用性を表すデータです。
メタデータは「高度な情報」の意味合いを持ち、GISデータが表す情報が「どのような数値を用いているのか」「ソースはどこから取得しているのか」等詳細を示しています。
GISにおけるメタデータとして、次のようなデータが挙げられます。
- データの取得範囲
- データを作成した機関
- データ作成日
- データの利用ルール
- 座標精度
- 測地系
- 地図投影法
なお、メタデータの項目や記述方式のばらつきを防ぐために、ISO/TC211(国際標準化機構の地理情報に関する専門委員会)や日本国内では、メタデータの標準規格を定めています。
GISデータを活用するメリット4つ
GISを活用すると、主に以下の4つのメリットが得られます。
GISをうまく活用すれば、地図上のデータ分析・検索・統合がしやすくなります。
GISデータを活用する4つのメリットを確認して、GIS導入を検討してみてください。
①さまざまな視点からのデータ分析が可能
GISデータを活用すると、得られる多くの情報をもとに、さまざまな視点からデータ分析が可能です。
単一のデータでは見えてこなかった傾向や関連性が、GISデータを分析することで見えてきます。
GISデータを活用するメリットは、多角的な視点からデータ分析を行い「新しい着眼点を見いだせる」ことです。
②効率的な意思決定に役立つ
GISデータは、効率的な意思決定に役立ちます。
企業が場所に関する意思決定をする際、人流情報等のさまざまな情報を精査して、最適な選択をしなければなりません。
たとえば、店舗出店を決める際には、会議で各々の主張が出てしまいなかなか出店エリアを決定できないケースもあるでしょう。
その際にGISデータを活用すれば、エリアの傾向や人口・業者の配送ルートや集客率等を、各方面のデータから割り出せます。
GISデータを活用すれば、誰が見ても納得ができる情報源を提示できるため、意思決定までの時間の短縮が可能です。
③容易にデータの可視化ができる
場所に関する情報を取得する際に、文面や数字だけではデータを読み取るのに時間がかかります。
しかし、GISデータを活用すればデータの可視化ができるため、業務効率の向上が可能です。
ラスターデータなら航空写真や地理図形等、場所に関するデータを可視化できるため、データ上で具体的な場所をイメージできます。
また、わざわざ現地に赴いて調査しなくても、GISデータを活用すればストリートビュー機能で現地のイメージをつかむことも可能です。
④複数のデータソースを統合しやすい
GISデータを活用するメリットは、複数のデータソースを統合しやすいことです。
企業にとって必要な情報を、複数のデータソースを重ねて検索・管理できるため、業務効率の向上が期待できます。
各データソースを個別に検索して情報を取得するには時間と手間がかかってしまうでしょう。
しかし、GISデータを活用すれば情報収集を簡略化できます。
複数のデータソースを統合できるGISデータは、多角的な視点から企業の課題を解決するツールとなるでしょう。
GISデータが役立つ業界と活用例
GISデータは、さまざまな業界で活用できます。
主にGISデータが役立つ業界は、次の通りです。
それぞれの業界でGISデータがどのように活用できるか確認して、自社の課題解決に役立てることを検討してみましょう。
飲食業界
飲食業界では、新店舗出店の際にGISデータが活躍します。
新店舗を出店する際には「どれだけの売り上げ見込みがあるか」事前に調査しておくことが大切です。
エリアの人口や過去の傾向、近隣の競合情報や主要駅からの経路等、さまざまなデータから需要を予測して出店場所を決められます。
メインターゲットの年齢層・性別を考慮し、最もターゲット層が訪れると予想できる立地で新店舗を出店しましょう。
また、飲食店を出店する際には、エリアによってどのようなサービス・メニューの需要が高いか見極められると集客率が高くなります。
飲食業界で新店舗の立地に悩んでいる方は、GISデータを活用しましょう。
不動産業界
不動産業界では、地域の物件価格や人口密度の高いエリアを調べる際にGISデータが活躍します。
不動産業界においては、土地や建物等の価格を把握しておくことが大切です。
物件価格は不動産需要によって変動するため、地域ごとの適正相場を見極めなければ不動産売買を円滑に進められません。
GISデータを活用すれば不動産の適正価格を調べられるため、不動産売買取引の参考にできます。
また、エリアのポテンシャルを調べて、マンションや建売住宅等の物件の立地選定に活用してみましょう。
物流・配送業界
物流・配送業界では、最適なルート検索・顧客情報の可視化にGISデータが活躍します。
地図上で配送業務に必要な情報を閲覧・検索できるため、業務効率の向上が期待できるでしょう。
複数の配達先があってもGISデータがあれば、交通量や交通情報をふまえた最適なルートを選定できます。
また、よく使用する経路や営業所、顧客住所を地図上に登録しておけば、目的地の検索や経路案内がスムーズです。
交通量や交通情報をふまえて最適なルートを案内できるGISデータを活用すれば、混雑の少ない最適なルートで業務を遂行できます。
地方自治体
地方自治体では、災害時の避難経路策定、通学路の可視化、公共交通計画の作成における工数の簡略化等さまざまな場面でGISデータが活躍します。
たとえば、GISデータを活用すれば防災マップ作成が可能です。
高齢者や身体が不自由な避難行動要支援者に対する避難経路の策定に役立てることもできます。
他にもバス停の位置決めをする際に、GISデータを活用して住民名簿と地形図から循環に最適なバス停の位置とバスの運行ルートを算出できます。
データから子どもの通学路を可視化して、交通安全に関する取り組みを自治体のホームページで公表することも可能です。
地方自治体が取り組む課題解決にGISデータはさまざまな情報を提供して役立ちます。
まとめ:GISを利用して効率よくデータを分析しよう!
GISは地図上に複数の情報を重ね合わせて、効率的にデータ分析ができます。
さまざまな視点からデータを可視化し分析できるため、意思決定や経路検索等さまざまな場面で活用可能です。
GISは飲食業界や不動産業界、物流・配送業界だけでなく地方自治体まで幅広く活躍します。
GISを利用して効率よくデータ分析を行い、事業に役立てましょう。
マップ上での人流把握には「混雑統計®」を利用しよう!
GISを活用してマップ上での人流を把握するにはゼンリンデータコムの「混雑統計®」を利用してみてください。
「混雑統計®」は、GPSを活用した高精度な位置情報データを提供しており、数分単位で更新されるズレが少ないGPS調査を実施しています。
また、ゼンリンデータコムが保有する独自の高精度マップと組み合わせて、より精度の高い移動経路・利用施設の判定が可能です。
人流データの活用を検討している方は「混雑統計®」を利用して、GISに人流データを組み合わせて精度の高い分析を実施しましょう。
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「混雑統計®」データは、NTTドコモが提供するアプリケーションの利用者より、許諾を得た上で送信される携帯電話の位置情報を、NTTドコモが総体的かつ統計的に加工を行ったデータ。位置情報は最短5分毎に測位されるGPSデータ(緯度経度情報)であり、個人を特定する情報は含まれない。
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