
災害時の安否確認とは?目的や確認方法、手順を解説
地震や台風の多い日本では、災害発生時に企業が従業員やその家族の安否情報をいち早く確認するためにどのような対応をとるべきなのかを事前に考える必要がでてきました。
特に企業にとって従業員やその家族の安否をいち早く確認することは、取り組むべき優先事項のひとつです。
そこで、この記事では企業における災害時の安否確認について解説していきます。
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目次[非表示]
- 1.安否確認とは
- 2.企業が従業員の安否確認を行う目的
- 2.1.事業継続計画(BCP)の判断のため
- 2.2.従業員の安全・安心のため
- 2.3.取引先への情報共有のため
- 2.4.企業に求められる安全配慮義務
- 3.災害時の安否確認で確認すべきこと
- 3.1.1.従業員との連絡が可能か確認する
- 3.2.2.従業員とその家族の安否状況を確認する
- 3.3.3.現状況で出社して緊急時対応にあたれる従業員を把握する
- 3.4.4.集まった情報を集計し、分析・人材の采配を行う
- 4.安否確認のポイント
- 4.1.安否確認の手段・報告内容の統一
- 4.2.初動対応フローの構築
- 4.3.安否確認訓練の実施
- 4.4.安否確認時の報告事項を決めて周知する
- 5.企業が行う安否確認の方法とそれぞれのメリット・注意点
- 5.1.電話・メールのメリット・注意点
- 5.2.SNS・チャットのメリット・注意点
- 5.3.災害伝言ダイヤル・伝言板のメリット・注意点
- 6.安否確認にはシステムやサービスの導入がおすすめ
- 7.自社に適した安否確認システムの選び方
- 7.1.必要な機能の洗い出しと優先順位付け
- 7.2.操作性と従業員の使いやすさを確認
- 7.3.セキュリティ対策と個人情報保護の確認
- 7.4.災害時の稼働実績とサポート体制の評価
- 7.5.費用対効果の検討
- 8.まとめ:災害時は企業運営を早期に復旧するための安否確認の迅速さが重要
- 9.多拠点企業の安否確認、危機管理には「Area Marker」
安否確認とは
安否確認とは、文字通り「安否(無事であるかどうか)」を確認することを指します。
企業においては、災害や事故などの緊急事態が発生した際に、従業員やその家族が無事であるか、どのような状況にあるかを把握するための活動全般を意味します。
単に無事を確かめるだけでなく、負傷の有無、現在地、避難状況などを確認し、必要な支援や指示を行うための情報を収集するプロセスです。
この情報は、企業の危機管理体制における初動対応の基礎となります。
企業が従業員の安否確認を行う目的
従業員の安否確認を行うのには、さまざまな目的があります。
具体的にどのような目的で行われているのか見ていきましょう。
事業継続計画(BCP)の判断のため
従業員の安否確認は、事業継続計画(BCP)の一環として行われています。災害発生時、規模によっては営業や稼働が停止する恐れがあるでしょう。
その際、企業は事業の継続や復旧作業の実施といった判断を下さなければなりませんが、この判断が遅れてしまえば大きな経済的損失につながる可能性が高いです。
速やかに判断を下すための材料として、従業員の安否確認が行われています。安否確認を行うことで被災状況を把握でき、その情報から事業継続の決断や復旧作業に向けた人員の確保、復旧にかかる時間の予測が可能です。
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従業員の安全・安心のため
従業員の安全確認や安心感を与える意味でも安否確認は重要です。自然災害は、勤務時間の夜間や休日、または出張中に起きることがあります。
その場合、従業員自ら状況の把握と対応にあたらなければなりませんが、突然の出来事にスムーズな対応ができるとは限らないでしょう。
災害発生直後、会社側から安否を確認する連絡や指示があれば、従業員は混乱せずに対応をとることができます。状況次第では当面休みの指示もできるので、二次災害の防止にもなるでしょう。
また、営業・出張・休暇等で社外にいる従業員の位置情報の把握も可能です。現在位置が被災している地域であれば、従業員は速やかに救助要請ができます。
労働契約を結ぶ従業員の命や身体の安全を確保することは、労働契約法第5条で定められている法的義務です。
安否確認や適切な指示を行わなかった場合、安全配慮義務違反となる可能性もあるので注意しましょう。
取引先への情報共有のため
災害発生後、取引先と情報共有を行うためにも従業員の安否確認が必要です。
たとえ自然災害が原因だとしても、事業活動が停止すれば取引先に迷惑をかけてしまいます。そのため、状況や事業再開の目途等の情報を共有し、復旧後は速やかに取引を再開できるように準備する必要があるでしょう。
従業員の安否確認を怠れば、営業再開の判断や復旧作業にあてられる人員がいるか把握できず、取引先と適切な情報共有ができません。
対応が遅れれば取引先からの信頼を失い、取引停止の可能性も高まります。信頼を維持し続けるためにも、災害時は速やかに安否確認を実施し、取引先と情報共有を行いましょう。
企業に求められる安全配慮義務
企業は、従業員が安全かつ健康に働けるよう配慮する義務を負っています。
これは「安全配慮義務」と呼ばれ、労働契約法第5条に明記されています。
「使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする。」
引用元:労働契約法のあらまし
と定められており、災害発生時に適切な安否確認や避難指示を怠った場合、この安全配慮義務違反に問われる可能性も否定があります。
そのため、安否確認の実施は、この法的責任を果たす上でも重要な取り組みと言えます。
災害時の安否確認で確認すべきこと
「従業員の安否確認は重要である」とは理解しても、具体的にどのように安否確認をすればいいのかと疑問に持つ方もいるのではないでしょうか?
ここからは、災害時に行うべき安否確認の方法について順を追って解説していきます。
1.従業員との連絡が可能か確認する
まず、災害が起きた時には、なるべく早く従業員の安全を確認する必要があります。
確認する内容は従業員本人が負傷していないか、負傷している場合症状はどのくらい重いか、どこに避難しているのか等です。
短い時間で多くの安全を確認できるように、確認内容を事前に決めておきましょう。
2.従業員とその家族の安否状況を確認する
従業員自身は大丈夫であっても、従業員の家族が被害を受けている場合もあります。その場合、従業員は家族の対応をしなければならず、すぐに仕事を再開することはできません。
したがって、従業員の安否確認を行う場合には同時に家族の安否確認も行う必要があります。
安否確認の連絡をする際は家族に被害がないか、手当が必要かどうか等を確認するようにしましょう。
3.現状況で出社して緊急時対応にあたれる従業員を把握する
安否確認で従業員とその家族の安全を確認できた後は、出社が可能かどうかを確認する必要があります。
さらに、もし出社が可能であればどのような手段で会社に来るのか、出社にはどのくらいの時間がかかるのかを確認しなければいけません。
本人が出社可能だと言っていたとしても、交通状況やオフィスの安全上、出社することが難しいと企業側が判断した場合はその旨を従業員に伝えるようにしましょう。
従業員が無理に出社をしないように判断することが企業側には求められます。
4.集まった情報を集計し、分析・人材の采配を行う
従業員の安否確認と、出社可能な従業員の人数を把握した後は、その結果を集計して、適切な人員を業務に割り当てる必要があります。
人員を割り当てる際には業務の優先事項をしっかりと分析して、優先度の高い業務を迅速にこなしていくことが大切です。
災害時は刻一刻と状況が変わっていくため、細かく状況を把握し、臨機応変に対応していくことが企業側に求められます。
安否確認のポイント
災害時、スムーズに安否確認が行えるように企業は準備をしておくことが大切です。
ここでは、企業が行いたい安否確認の準備とそのポイントをご紹介します。
安否確認の手段・報告内容の統一
まずは、安否確認を行う手段や報告内容をルール化し、災害時の対応マニュアルにまとめておきましょう。確認する手段や報告内容が決まっていれば、混乱することなく対応できます。
安否確認を行う手段は、電話・メール・SNS・災害伝言ダイヤル等、さまざまです。
従業員がどのツールを使えばよいか迷わないようにするために、優先的に使うツールを決めておきましょう。
災害状況によっては使えないツールもあるので、メインの連絡手段とは別の手段もルール化しておくとよいでしょう。
初動対応フローの構築
災害発生後は、初動の対応が肝心だといわれています。安否確認を含めて災害発生時に備えて、人命の安全確保のための初動対応を明確にしておきましょう。
例えば、地震や火事等の災害に自社が直面した際、速やかに避難誘導をしなければなりません。
避難場所や経路を把握し、安全な場所に従業員全員を誘導する手段を考える必要があります。避難が完了したら従業員の安否確認をしましょう。
安否確認をスムーズに行うためには、連絡先のリストの作成や安全確認システムを活用する等の対策が必要です。
この他にも、生産設備の停止手順の確認や顧客・取引先への対応等、初動でやるべきことを決めておくことが大切です。
安否確認訓練の実施
安否確認の方法や緊急時の初動対応を周知させることも大切です。定期的に安否確認訓練を行っていれば、ツールがうまく使えない・連絡がとれない・初動対応が遅れたといったリスクを防げます。
安否確認訓練では、実際に安否確認の連絡を従業員に送信し、回答してもらってください。訓練の経験を通じて回答のやり方や集計方法等を把握でき、改善点の確認も行えます。
新年度や防災の日(9月1日)等のタイミングを決めておき、年間スケジュールに組んでおけば、毎年忘れずに訓練を実施できるでしょう。
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安否確認時の報告事項を決めて周知する
災害時に従業員とスムーズに連絡をとるためには、報告事項をあらかじめ決めて、従業員に知らせておくことも大切です。
具体的には本人や家族の安全、避難場所、出社の可否、今後の連絡手段等の事項があります。
加えて家族に被害があった場合や、交通機関が運休になった場合等さまざまな状況に合わせた報告事項も決めておくと、よりスムーズに連絡をとれるでしょう。
災害時はパニックになる可能性も高いため、あらかじめ決められた内容を文書化して配布しておくことも効果的です。
企業が行う安否確認の方法とそれぞれのメリット・注意点
災害時の連絡手段はあらかじめ決めておく必要があると解説しました。
ここでは電話やメール等の連絡手段に関する特徴を良く理解していただくために、それぞれのメリット・注意点を解説していきます。
それぞれのメリット・注意点を良く理解した上で、災害時の連絡手段としてどれが適切であるのかを判断するようにしましょう。
電話・メールのメリット・注意点
災害時の連絡手段として、まず初めに電話やメールを思いつく方も多いのではないでしょうか。確かに電話は細かな状況の確認、そして状況にあった的確な指示を出すことに向いています。
また、メールでは正確な情報を同時に複数人に送ることが可能なこともメリットといえるでしょう。
しかし、電話は詳細な確認できる代わりに、同時に複数人とやり取りができません。回線状況によっては連絡がとれなくなってしまうこともあるでしょう。
メールでは、複数人に情報を送ることはできますが、すぐに返信が帰ってこない可能性もあります。
SNS・チャットのメリット・注意点
SNSやチャットでは複数人とリアルタイムで連絡がとれるため、災害時に迅速な安否確認をできるメリットがあります。
しかし、回線問題によりネットがつながらないと、連絡がとれなくなる可能性があります。
また、SNSやチャットを連絡手段として使う際には普段から操作に慣れておいて、緊急時にパニックにならないようにしておきましょう。
災害伝言ダイヤル・伝言板のメリット・注意点
「171」の番号で安否確認を行うことができる災害伝言ダイヤルや、Webやアプリ上で安否確認を一斉に行うことができる伝言板は災害時に適した連絡手段です。
このような連絡手段は、災害時に回線が混雑していても伝言メッセージを残すことができるため、速やかに連絡がとれます。
しかし、伝言ダイヤルに登録できる電話番号の数や録音時間等に制限が設けられているため注意が必要です。
緊急時に使い方等で手間取らないように、事前に使い方の把握や必要情報の登録をしておくことが大切です。
安否確認にはシステムやサービスの導入がおすすめ
さまざまな安否確認のための連絡手段について解説しましたが、どれもメリットと注意点があります。
安否確認システムは災害時における安否確認の手段として活用できるため、導入することをおすすめします。
安否確認システム/サービスとはどんなものなのか?
安否確認システムとは災害等の緊急事態が発生した際に、従業員の安否や状況を確認できるシステムです。
安否確認システムには基本的にメール送信機能、返信状況確認機能、掲示板機能が備わっています。
また複数の通信機器に向けてのメールの送信機能や、何度もリコールしてくれる機能等、災害時に従業員と連絡がとれるような機能も豊富です。
したがって従業員の安否確認をより正確にするために、安否確認システムの導入を検討するのもおすすめです。
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安否確認システム/サービスの持つ機能とは
安否確認システムには緊急時における従業員の安否確認を、効率的に行うことができる機能が備わっています。
具体的には以下の3つの機能です。
- メールのテンプレートを使って一斉送信できる
- 緊急事態の発生に合わせて自動でメールを送信できる
- 安否確認状況をリアルタイムで集計してくれる
システムによって安否確認を効率化することで、企業側も素早い判断をできるようになります。
自社に適した安否確認システムの選び方
安否確認システムの導入を検討する際には、数多くの製品・サービスの中から自社のニーズに最も合ったものを選ぶことが重要です。
ここでは、安否確認システムを選定する際に比較検討すべき主要なポイントを解説します。
必要な機能の洗い出しと優先順位付け
まず、自社にとってどのような機能が必要なのかを明確にすることが大切です。
企業の規模、業種、従業員の勤務形態(テレワークの有無など)、既存のBCPの内容などを考慮し、必須機能、推奨機能、オプション機能といった形で優先順位をつけましょう。
操作性と従業員の使いやすさを確認
緊急時に使用するシステムであるため、管理者にとっても従業員にとっても、操作が簡単で直感的であることが非常に重要です。
複雑な操作が必要だったり、マニュアルを熟読しないと使えなかったりするシステムでは、いざという時に混乱を招き、回答率の低下につながる可能性があります。
無料トライアルやデモンストレーションを利用して、実際の操作感を確認することをおすすめします。
セキュリティ対策と個人情報保護の確認
安否確認システムでは、従業員の氏名、連絡先、場合によっては家族情報といった多くの個人情報を取り扱います。
そのため、システムのセキュリティ対策が万全であるかを確認することは不可欠です。データセンターの安全性、通信の暗号化、アクセス権限管理、プライバシーマークやISMS認証の取得状況などをチェックしましょう。
災害時の稼働実績とサポート体制の評価
過去の大規模災害発生時に、システムが安定して稼働した実績があるかどうかは、信頼性を測る上で重要な指標です。
システム提供会社に問い合わせ、具体的な稼働実績や、サーバーの分散化、負荷対策などの取り組みについて確認しましょう。
また、導入後のサポート体制(問い合わせ窓口の対応時間、FAQの充実度、障害発生時の対応フローなど)も、安心してシステムを運用していくためには欠かせないポイントです。
費用対効果の検討
安否確認システムの費用は、初期費用、月額利用料(従業員数に応じた課金が多い)、オプション機能の追加費用などで構成されます。
必要な機能と提供価格のバランスを比較検討し、自社の予算内で最も費用対効果の高いシステムを選びましょう。
単に価格が安いという理由だけで選ぶのではなく、長期的な視点で運用コストや得られる効果を総合的に判断することが大切です。
まとめ:災害時は企業運営を早期に復旧するための安否確認の迅速さが重要
災害時における従業員の安否確認の重要性、手順、活用できる連絡手段等について解説しました。
災害時に早急に企業運営を再開するためには、できるだけ迅速に安否確認をし、適切な対応をとることが企業には求められます。
BCPの観点も考慮すると、安否確認システムが従業員の安否を確認することにおいて非常に有効となる手段です。
災害時の連絡手段の見直しを行う際は、ぜひ安否確認システムの導入をご検討ください。
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