
【テンプレートあり】運転日報とは?記載項目や保存期間、活用方法を解説!
運送業をはじめ、日常的に事業で自動車を活用する企業は、運転日報を作成することになります。
運転日報は法律によって作成が義務づけられており、さらに一定期間保存が必要です。
また、運転日報の記録は、業務における問題点や課題の解消に活用できます。
そのため、企業側はなぜ運転日報の作成が必要なのか、何を記録して、どう活用できるのかを理解しておく必要があります。
そこで今回は、運転日報の概要から作成の義務に関する法律・必要な記載事項・保存期間・活用方法まで詳しく解説しますので、参考にしてみてください。
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目次[非表示]
- 1.運転日報とは?
- 2.運転日報の作成は2つの法律によって義務づけられている
- 2.1.貨物自動車運送事業輸送安全規則
- 2.2.道路交通法施行規則
- 3.運転日報の記録と保存が義務となっている企業
- 4.運転日報の記載項目と書き方のポイント!
- 4.1.一般貨物自動車運送事業の許可を受けている企業の場合
- 4.1.1.【 運転日報への記載項目 】
- 4.1.2.【 運転日報の書き方のポイント 】
- 4.2.上記に当てはまらないが規定以上の社用車を保有する企業の場合
- 4.2.1.【 運転日報への記載項目 】
- 4.2.2.【 運転日報の書き方のポイント 】
- 5.運転日報はテンプレートを利用しよう!
- 6.運転日報は労働基準法に合わせて3年の保管期間を取ると確実
- 7.運転日報の記録には活用できる要素が詰まっている
- 8.運転日報に関するよくある質問
- 9.まとめ:運転日報を有効活用しよう!
- 10.運転日報をシステムで管理、アプリで簡単操作「ロジスティクスサービス」
運転日報とは?
運転日報とは、業務で自動車を運転した人が、その内容を都度記録する書類です。
日々の記録により、従業員の就業状況や、保有車両の状態等を把握できます。
運転日報は、紙ベースの書類や、アプリやパソコンで記録する等記録方法はさまざまです。
主な記載項目として、運転者氏名や日時、走行距離、給油量、運転前後の車両点検結果等が挙げられます。
運転日報の導入により、企業内において定期的に記録情報の確認及び共有をすることで、勤務の改善につなげることも期待できるでしょう。
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運転日報の作成は2つの法律によって義務づけられている
日々の運転日報の記録や管理といった作業が負担になったり、不要に感じたりするかもしれません。
しかし、運転日報の作成は法律により義務づけられています。
その法律は以下の2つです。
- 貨物自動車運送事業輸送安全規則
- 道路交通法施行規則
それぞれ解説します。
貨物自動車運送事業輸送安全規則
貨物自動車運送事業輸送安全規則は、貨物を自動車にて運送する事業者に対し、安全な輸送を確保するために国土交通省が定めている規則です。
この規則は、1990年に発令されて以降、トラックドライバーの長時間労働や飲酒運転の事故等といった社会問題を契機に、これまで多くの改正が行われてきました。
運転日報の作成は、同規則第8条より国土交通省の認可を受けた一般貨物自動車運送事業者等でトラック等の事業用自動車を運転する乗務員に対し、乗務等の記録を行うことを義務づけています。
道路交通法施行規則
道路交通法施行規則は、道路上のさまざまな危険を防止し、円滑で安全な道路交通を図るために、警察庁が定めている規則です。
この規則により、自動車を使用する事業者に対し、交通事故を防止することを目的に安全運転管理者を選任し、事業所の近くの公安委員会に届け出を行う必要があります。
対象となる事業者は以下のとおりです。
- 乗車定員が11人以上の自動車を1台以上保有する事業者
- 5台以上の自動車を保有する事業者
安全運転管理者の業務には、同規則にて運転日誌の備え付けと、運転終了時の記録の実施を行うことが義務づけられています。
運転日報の記録と保存が義務となっている企業
運転日報の記録と保存が義務化されている企業は、「一般貨物自動車運送事業の許可を受けている」もしくは「規定以上の社用車を保有する」という条件に当てはまる企業になります。
ここでは、記録・保存が義務となっている企業の詳細をご紹介します。
一般貨物自動車運送事業の許可を受けている企業
一般貨物自動車運送事業の許可を得ている企業とは、緑色のナンバープレート(緑ナンバー)を付けた事業用自動車を用いて企業活動を行う企業が該当します。
主に旅客・貨物等を有償で運ぶ運送会社やバス・タクシー事業者等です。
トラック等の貨物運送業では、上記でご紹介した「貨物自動車運送事業輸送安全規則第8条」が適用されるため、運転手毎に運転日報の記録と保存が法律で定められています。
バス・タクシー等の旅客運送業においても、「旅客自動車運送事業運輸規則第25条」によって運転日報の記録・保存が義務づけられています。
さらに運送業の場合、一定の車両数を保有する事務所毎にその台数に応じた数の運行管理人の配置が必須です。
運転管理者は事業用自動車の運行を管理する立場であり、業務の一環として、乗務記録の管理があります。
記録を通してドライバーの乗務状況を正確に把握できるので、長時間運転による過労や運転事故、過積載等の防止に役立ちます。
参考:
e-Gov法令検索「貨物自動車運送事業輸送安全規則」
e-Gov法令検索「旅客自動車運送事業運輸規則」
規定以上の社用車を保有する企業
白いナンバープレート(白ナンバー)を付けた自動車は自家用自動車と扱われます。
そんな白ナンバーの車も社用車として規定以上の台数を保有している企業には、運転日報の記録・管理の義務が生じるので注意が必要です。
企業活動で使う自動車でも、トラックで自社商品を運送する場合や取引先の営業回り等で使われる自動車は白ナンバーとなります。
規定以上の社用車・営業車を保有する企業は、「道路交通法施行規則第9条の8」に基づいて安全運転管理者等の選任が必須です。
先に述べたとおり、乗車定員が11人以上の自動車を1台以上、もしくは自動車を5台以上保有する事業者に安全運転管理者の配置が義務づけられています。
安全運転管理者の業務の一環に運転日報の管理があるので、記録・保存の義務も生じます。
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運転日報の記載項目と書き方のポイント!
運転日報の作成には、定められているフォーマットはありません。
しかし、前述した法律によって、記載する項目が異なります。
2つの業種に大別し、運転日報への記載項目と書き方のポイントについて紹介します。
一般貨物自動車運送事業の許可を受けている企業の場合
まずは、一般貨物自動車運送事業の許可を受けている企業の運転日報の書き方について解説します。
【 運転日報への記載項目 】
貨物自動車運送事業輸送安全規則に準じて、必要となる記載項目は以下のとおりです。
- 運転者の氏名
- 乗務した事業用自動車の自動車登録番号
- 発車及び到着した地点と日時、主な経過地、運転した走行距離
- 業務上で交替した地点
- 休憩した地点及び休憩時間
- 貨物の積載や集荷等の状況(車両総重量8t以上、最大積載量5t以上の事業用自動車に乗務した場合)
- 道路交通法または自動車事故報告規則に規定される事故、著しい運行の遅延等の異常事態が発生した際の概要及び原因
- 運行経路等の運行指示内容
【 運転日報の書き方のポイント 】
運転日報には、前述の義務づけられている必要項目を記載する必要があります。
しかし、一般貨物自動車運送事業者向けの運転日報には、指定されたフォーマットがありません。
どのように作成するべきかお困りの場合は、各都道府県トラック協会のホームページにて、記入例も含めたエクセル等のテンプレートが公開されていますので、参考になるでしょう。
上記に当てはまらないが規定以上の社用車を保有する企業の場合
次に、一般貨物自動車運送事業の許可を受けている企業に当てはまらないが、運転日報の作成が必要な企業の場合で解説します。
【 運転日報への記載項目 】
道路交通法施行規則に準じ、選任された安全運転管理者は社用車を運転する従業員に対し、運転終了後に以下の項目を記載できる運転日報(日誌)を事業所に備えておく必要があります。
- 運転者の氏名
- 運転の開始及び終了の日時
- 運転した走行距離
そのほかにも、車両点検等の項目を必要に応じて運転日報に追加することで、日々の運転状況を把握できます。
【 運転日報の書き方のポイント 】
一般貨物自動車運送事業者を対象とした運転日報と比較して、記載する必要項目は少なくなります。
運転日報の書き方のポイントとしては、前述の義務づけられている必要項目のみ記載しておけば問題ありません。
運転日報自体に定められたフォーマットがないことから、自由に作成できます。
作成にお困りの場合は、市販品の購入やインターネットで公開されているテンプレートを参考に作成するとよいでしょう。
運転日報はテンプレートを利用しよう!
決まったフォーマットがないので、どのように運転日報を作成するべきか悩む企業もいるでしょう。
フォーマットに悩んでいるのであれば、無料でダウンロードできるテンプレートを利用するのがおすすめです。
一般貨物自動車運送事業の許可を受けている企業向けのテンプレート
都道府県のトラック協会・安全運転管理者協会等のサイトで、運転日報のテンプレートが公開されています。
テンプレート上には必須項目がすでに用意されているので、それを参考にしながら自社で記録したい項目の追加等をすれば、自社用の運転日報を作成することが可能です。
都道府県のトラック協会や安全運転管理者協会毎に、運転日報・日誌以外に酒気帯び確認記録簿や運行計画表、交通事故報告書、日常点検表等安全運転管理に関するさまざまな形式のテンプレートが用意されています。
自社にとって使いやすいテンプレートを選び、参考にしてみてください。
- 一般社団法人 長野県安全運転管理協会:安全運転管理のための各種様式例 目次
- 公益社団法人 奈良県トラック協会:様式ダウンロード
規定以上の社用車を保有する企業向けのテンプレート
規定以上の社用車を保有する企業も協会や企業等が配布するテンプレートを参考に、自社で必要な事項を追加して使用してみましょう。
悩んだときは、日本法令が配布している「自動車運転日報テンプレート」がシンプルなフォーマットとなっているのでおすすめです。
日報を自動車のメンテナンス管理に活用できるように、テンプレートの内容に使用前の点検に関する項目、燃料購入の有無の項目等を追加してもよいでしょう。
- 日本法令:自動車運転日報
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運転日報は労働基準法に合わせて3年の保管期間を取ると確実
運転日報の保存期間は、貨物自動車運送事業輸送安全規則および道路交通法施行規則、ともに最低1年間とされています。
しかし、運転日報は労働者の運転時間を記載する書類になることから、前述した法律のほかに、労働基準法についても確認することが必要です。
労働基準法によると、書類の保存期間は3年間とするとなっています。
そのため、運転日報の保存期間は最長である労働基準法に合わせておくとよいでしょう。
運転日報の記録には活用できる要素が詰まっている
ここまで運転日報の作成方法や保存期間等について解説しましたが、運転日報にはただ記録して保存しておくだけではもったいない要素が詰まっています。
ここからは、日々記録している運転日報の記載項目の活用方法について紹介します。
燃費がわかる ⇒ エコドライブを推進できる
走行距離は、義務づけられている必須記載項目のひとつですが、ガソリン等の燃料を給油した時点の走行距離ならびに給油量を記録しておけば、燃費を計算できます。
給油する際の燃費のデータを集積することで、エコドライブの推進や改善につなげることが可能です。
また、走行距離はエンジンオイルの交換といったカーメンテナンスの目安になることから、車両の維持管理効果も期待できるでしょう。
車両の日常点検を行う ⇒ 車両の異常を早期発見できる
車両の日常点検に関する項目を運転日報に追加することによって、社用車の異常を早期に発見、対処することが可能です。
例えば、社用車を使用する前後に、フロントライトの点灯状況や、タイヤやワイパーの摩耗状況等を簡単に点検することで、運転中の視界不良や走行不良といったさまざまなリスクを軽減する効果が期待されます。
運転日報の記録事項が増えることにはなりますが、日々の安全運転につながっていくでしょう。
運転手の状況が記録される ⇒ 勤務状況の改善に取り組める
運転日報は、社用車を運転する従業員の運転時間等といった運転手の状況を把握することが可能です。
記録データを活用することにより、長時間運転等の労働環境の改善につながります。
また、複数人の従業員の運転記録や目的地までの運転経路、走行距離等のデータを確認し比較することによって、運転の負担を軽減する最適な運転経路を事業所内で共有することも可能です。
運転日報に関するよくある質問
最後に、運転日報に関するよくある質問にお答えしていきます。
運転日報の厳格化や特定の記載事項の義務化はいつから?
2022年4月1日から運転日報の記録が以前より厳格化しています。
その背景には、2021年6月に千葉県にて白ナンバーのトラックに乗っていた運転手が起こした飲酒運転による悲惨な事故があります。
改正前は、緑ナンバーにはアルコール検査の義務があったものの、白ナンバーは義務づけられていませんでした。
そこで、この交通事故を契機に道路交通法施行規則が改正され、2022年4月より安全運転管理者の業務が拡充されることになったのです。
同時に、運転手には酒気帯びの有無の確認と、その記録の保存が義務づけられるようになりました。
具体的には、安全運転管理者が運転業務を行う前と終わってから目視で運転手に確認を行い、結果を記録することになります。
さらに、2023年12月1日からは目視での酒気帯び確認に加え、公安委員会が定めるアルコール検知器による確認も義務付けられているので、運転日報にその結果を記録するとよいでしょう。
運転日報の保存期間は?
運転日報の保存期間は、公安委員会に業務日誌として提出する場合もあるため、緑ナンバー・白ナンバー問わず最低1年間となっています。
ただし、労働基準法の考え方として5年間の保存がよいといえるでしょう。
労働基準法では、労働関係に関する重要書類は5年間(2020年4月1月以降)保存することが義務づけられています。
運転日報には運転手個人の情報も記録されるので、労働関係の重要書類と見なされる可能性があることから、5年間は保存した方が無難と考えられます。
保存方法は紙でも電子データでも問題ありませんが、紙はファイリングの手間や保管スペースが必要になるためあまりおすすめではありません。
電子データで保管する場合は、データの改ざんを防ぐために編集履歴が残る仕組みが必要です。
運転日報の作成・保管を怠ったときの罰則は?
運転日報の作成や管理を怠ったことで何か罰則を受けることはありません。
しかし、運転日報の作成・保管ができていない理由を調べる中で、安全運転管理者の選定や届け出を出していない等の事実が発覚した場合は罰則があります。
安全運転管理者が選定されていない場合は、50万円以下の罰金です。
選定はしているものの未届けであれば、5万円以下の罰金となります。
未選定や未届けのまま事故が起きれば、社会的に大きな信頼を落とす可能性があるので注意しましょう。
運送業は巡回指導の際に、運転日報を通じて安全運転管理の実施状況をチェックされるので、日報をしっかり管理しておいてください。
まとめ:運転日報を有効活用しよう!
貨物の運送やバス・タクシーの運転、営業活動で社用車を使っている場合、法律に基づいてしっかり運転日報をつける必要があります。
運転日報は、運転手が安全に自動車を運転して業務を遂行しているか確認する上で重要なデータです。
また、記録の内容から燃費やメンテナンス状況、運転手の状況を確認できるので、エコドライブの推進・車両の異常の早期発見・勤務状況の改善を検討しやすくなります。
運転日報に正確にデータを記録してもらい、蓄積されたデータを社内で把握・共有しやすい環境を作れば、運転手の安全運転の意識はより高まっていくことでしょう。
運転日報をシステムで管理、アプリで簡単操作「ロジスティクスサービス」
ゼンリングループでは、物流事業者様やシステムベンダー様を対象にサポートを行う「ロジスティクスサービス」を開発・提供しています。
ロジスティクスサービスの「車両動態管理」サービスを活用することで、運転日報の作成を効率化することが可能です。
主な機能は下記の通りです。
- スマートデバイスとの連携により業務日報を自動で作成
- すべての車両位置や走行経路、業務進捗を可視化
- 業務の遅延や急なトラブルをリアルタイムで把握でき、スピーディーに対応できる
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