
経路検索(ルート検索)のAPIとは?導入時に抑えておきたいポイントや3つの導入事例も紹介
経路検索APIやルート検索APIといったサービスは、さまざまな会社から提供されています。そのため、どのサービスを活用すれば良いのか迷ってしまう方も多いでしょう。
中には、経路検索APIの基本的な仕組みや詳細な機能について難しいと感じる方もいるかもしれません。
そこで本記事では、経路検索APIの概要や主な機能、利用シーンや選ぶ際のポイント等、経路検索APIを活用する上で役立つ情報をお伝えしていきます。
開発実例も一緒にご紹介していくので、自分のニーズに合った経路検索APIを探すためにも参考にしてみてください。
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目次[非表示]
- 1.経路検索APIとは?
- 1.1.有料と無料の経路検索APIの違い
- 2.経路検索APIの主な機能
- 2.1.自動車ルート検索
- 2.2.歩行者ルートの検索
- 2.3.複数の交通手段を合わせたルート検索
- 2.4.最適巡回ルートの計算
- 2.5.有料道路や交通状況を加味したルート検索
- 3.経路検索APIの主な利用シーン
- 4.経路検索APIを選ぶ際のポイント
- 4.1.対応している交通手段の種類
- 4.2.リアルタイムデータの更新頻度や精度
- 4.3.APIのカスタマイズ性や追加機能の有無
- 4.4.商用利用やアクセス制限の条件
- 4.5.APIの提供元やサポート体制の信頼性
- 5.経路検索APIを活用した実際の開発事例
- 6.まとめ:自社に合った経路検索APIを導入しよう
- 7.今すぐ試せる!無料トライアルでZENRIN Maps APIを体験
経路検索APIとは?
経路検索APIとは、出発地と目的地を指定することで、その間の移動経路を計算し提供するAPI(アプリケーション・プログラミング・インターフェース)のことです。これにより、最短距離や最適なルート、移動にかかる時間や費用などを考慮した経路を簡単に取得できます。
経路検索の技術がなかった時代では、人やものが移動する場合は路線図や地図を参考にしたり、経験に基づいての移動が一般的でした。
しかし、経路を調べるには時間がかかるだけではなく、実際に移動するにしても道を間違えてしまう可能性があるため、さまざまな無駄が生じていました。これらの無駄をなくし、効率的な移動経路を見つけるために、経路検索技術が開発されました。
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有料と無料の経路検索APIの違い
経路検索APIは、複数の企業から提供されており、その内容や費用には違いがあります。無料サービスと有料サービスがあり、それぞれ利用できる機能が異なります。
無料サービスはコストがかからず利用しやすいですが、有料サービスには無料では利用できない便利な機能が含まれていることが多いです。
そのため、APIを選ぶ際には、提供される内容をよく確認することが重要です。例えば、無料と有料のサービスには以下のような違いがあります。
- 最大画像解像度
- 最大取得解像度
- 設定可能な経由地の数
画像品質の指標である解像度の最大値は、最大画像解像度と呼ばれます。数値が高いほど高精細な画像が表示されますが、無料サービスは有料サービスに比べて劣ることがあります。高解像度の画像を表示したい場合は、有料サービスの利用をおすすめします。
また、設定できる経由地の数についても、無料サービスより有料サービスの方が多い場合が多いです。多くの経由地を設定する必要がある場合は、有料サービスの利用をおすすめします。
経路検索APIの主な機能
ここからは、経路検索APIの主な機能をご紹介します。多様な機能が搭載されているため、ニーズに合ったサービスが提供されているかどうかを確認してみてください。
自動車ルート検索
人や荷物の配達等で使える機能です。出発地から目的地までのルートを自動車で検索できます。配達には大型車を使用することもありますが、道路状況によっては大型車が通行できない経路もあります。その場合、迂回路を探す手間が増え、時間がかかってしまいます。
そんな時でも大型車規制情報を加味したルートを表示してくれる機能を搭載したAPIがあれば、大型車でも通行できる道路のみしか表示しないため、効率の良い配達が可能です。
歩行者ルートの検索
自動車や公共交通機関を使用せずに徒歩での移動にも対応する経路検索APIがあります。出発地から目的地までの最短時間で行ける経路を検索するだけではなく、屋根がある道路を優先した経路を表示することも可能です。
バリアフリーを優先した経路にも対応しているサービスもあるため、高齢者と一緒に移動する場合や福祉関係の仕事でも経路検索APIが役立ちます。
複数の交通手段を合わせたルート検索
移動の際には、徒歩以外にもバスや鉄道といった公共交通機関等、複数の移動手段や交通手段を組み合わせて目的地に向かうこともあります。
その場合は、乗り換えをする必要があり、駅や降りる場所を間違えると、再度経路を検索する手間がかかります。経路を検索するとしても、複数の交通手段を調べる必要があり、時間と労力がかかることもあります。
そんな時でもマルチモーダル検索ができるAPIを利用すれば、複数の交通手段を組み合わせたルートを簡単に検索できます。時間をかけずに経路が表示され、時間の節約につながります。
最適巡回ルートの計算
配達業務を行う事業者は、複数の目的地を経由して業務を進めることがよくあります。その際、各出発地点から目的地までの経路を考える必要があり、多くの時間がかかります。
しかし、最適巡回ルートを検索してくれるサービスを利用すれば、複数地点に向かう場合でも、最適な順番で巡回できるルートを自動的に算出してくれます。効率的な業務遂行が可能になるので、業務時間の短縮にもつながるはずです。
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有料道路や交通状況を加味したルート検索
移動する際には有料道路を利用することもあります。その場合、目的地までの有料道路利用料金や所要時間等を算出でき、必要に応じて有料道路を避けるルートを検索することも可能です。
また、時間や日によって交通状況には変化があります。渋滞や工事などが予想されるため、事前に情報を収集し、それを考慮した経路を計画する必要があります。
しかし、交通状況を考慮したルート検索ができるAPIを使用すれば、ポリラインで交通状況を表示することができます。
経路検索APIの主な利用シーン
ここからは、経路検索APIが利用される主なシーンをご紹介していきます。どういった場面で必要になるのか理解するために参考にしてみてください。
物流業界における最適なルートの提案
物流業界では、配送先までの距離や納品時刻、車両の種類など、さまざまな条件を考慮したうえで経路を組み立てていきます。
経験豊富なベテランの従業員が配送ルートの算出業務の算出を担当していますが、人材不足や高齢化、労働時間の短縮などの問題から、業務の効率化が求められています。
このような状況で、経路検索APIを活用すれば条件を入力するだけで最適なルートを提案してくれます。配送ルート作成の時間を節約できるだけでなく、道路状況を考慮したルート検索が可能となり、配送時間の短縮にもつながります。
労働時間の負担が軽減すれば、思わぬ事故や健康被害の防止にも役立ちます。人件費や燃料費の削減にもつながるため、事業者にとっても魅力的なサービスです。
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乗換案内サービスでのリアルタイム経路表示
交通機関の乗換案内やナビゲーションが必要になる場面も多くあります。。例えば、店舗やホテル等、「施設へのアクセス方法」で悩む利用者もいます。
自家用車だけでなく、さまざまな移動手段を考慮した経路を公式サイトやパンフレットに掲載することで、従業員が案内をする手間を省くことができます。
特に観光業においては経路を算出する機会も多くあるはずです。そんな時でも経路検索APIを活用すれば、リアルタイムで経路や乗換案内を算出できます。
交通費精算システムにおける運賃計算の自動化
日本には電車や地下鉄、飛行機、バス、船など多彩な交通手段があります。そのため、経路を導き出したとしても経費計算の際には交通手段の記録や費用の計算が複雑になり、手間がかかります。
そんな時でも、交通費精算システムを搭載している経路検索APIを導入すれば、移動の際に発生した費用を検索してくれます。記入ミスを減らすだけではなく、計算にかかる時間や負担を軽減してくれるため、業務効率化を目指せます。
経路検索APIを選ぶ際のポイント
経路検索APIにはさまざまな種類があります。ここでは、選ぶ際のポイントをご紹介しますので、自社に適したサービスを選ぶ際の参考にしてください。
対応している交通手段の種類
交通手段にはさまざまな種類があります。電車やバス、飛行機や船といった種類が公共交通機関です。その他にも、道路交通手段として徒歩や自転車、車等があります。経路検索では、利用するデータに違いがある点が特徴です。
公共交通機関の場合、バス停や駅などの交通結節点と接続関係、発着時刻をまとめた時刻表データを活用して検索します。
一方、道路交通手段では、道路ネットワークデータを使用して検索します。多くの会社は一方のみに対応しているため、対応している交通手段の種類を調べてから導入をご検討ください。
また、対象となる交通手段に対応していても、対応状況には違いがあります。車両のサイズや種類によって通れない道路があり、それらの対応に関しては各社によって対応の有無に違いがあります。細かな状況についても確認し、自社に合ったサービスを選ぶことが重要です。
リアルタイムデータの更新頻度や精度
経路検索APIでは、出発地から目的地までの地点を結ぶ経路が表示されますが、ただ単に地点間を結ぶだけでは不十分です。
例えば、道路状況を加味したルートを検索できない場合、渋滞に巻き込まれる可能性があります。更新頻度が遅ければ、古い情報によって経路が検索されるため、新しい道路や既にない道路が表示されるケースも考えられます。
また、理論上は最短距離で移動できる経路でも、実際に通ってみると対向車とすれ違えないような細い道路であることもあります。
その場合、バスや大型車では通行できないことがあります。経路の品質については、実際に利用して問題ないかチェックすることがおすすめです。
APIのカスタマイズ性や追加機能の有無
経路検索APIを選ぶ際には、カスタマイズ性や追加機能についてもチェックしてみましょう。一口に経路検索APIといっても、利用できる機能は各社によって異なります。
渋滞情報を加味してくれるサービスもあれば、雨雲レーダーを表示できるサービス、台風や地震といった災害情報を取得できるサービスも存在します。
必要な機能が備わっている経路検索APIを選ぶことでより満足できる活用ができます。使用する企業によって適切なサービスは異なるため、導入時には機能面をしっかりと確認しておきましょう。
商用利用やアクセス制限の条件
サービスを導入する際には、商用利用の可否も確認してください。商用利用を制限している場合、無断で使用するとトラブルに発展する可能性もあります。必要に応じて有償のライセンスの取得を検討してみてください。
また、利用者を対象にしたAPI制限を設けているサービスもあります。サーバーにかかる負担を軽減することが目的です。
制限がなければ利用しやすいと感じるかもしれませんが、過剰な負担がかかるとサーバーダウンなどのトラブルを引き起こす可能性があります。利用規約や利用条件をしっかり確認しましょう。
APIの提供元やサポート体制の信頼性
経路検索APIを選ぶ際には、提供元やサポート体制のチェックも欠かせません。これまでの実績を確認するためにも導入事例を参考に提供元となる会社についての情報を調査してみましょう。
また、サポートが充実していると導入した後もさまざまな支援を受けられます。不明な点があった際にすぐに対応してくれる会社であれば信頼性も高いでしょう。
問い合わせの方法も電話やメール、チャットといった種類があり、提供元によって異なります。導入する前にしっかりとチェックをして、十分なサポートが受けられるか確認してください。
ゼンリングループが提供する実績豊富で信頼性の高いAPI 「ZENRIN Maps API」 |
経路検索APIを活用した実際の開発事例
最後に、経路検索APIを活用した開発事例をご紹介していきます。どういった活用法があるのか知るための参考にしてください。
タクシー業界のDXを推進した配車システムのクラウド化
まずは、タクシー事業者向けの配車関連サービスを提供している企業の事例です。
あらゆる業界でクラウド化が進められている中、タクシー業界は他の運輸業界と比べてシステムの遅れが課題となっていました。新しいシステム開発には手間がかかり、採算が取りにくいと判断されていたためです。
そんな中、ゼンリンデータコムのZENRIN Map API・いつもNAVI API・Google Maps Platform・Z‐NAVのサービスを導入したことで、コストを抑えた配車サービスの提供が可能になりました。
タクシーに搭載されている車載ナビは古い地図を使用していることが多いため、頻繁に情報が更新されるZ‐NAVを活用することで正しい経路を把握できます。ニーズに合わせたサービスの提供が可能となり、タクシー会社の事情に合わせた提案ができるようになりました。
★導入事例
ラストワンマイル配送における業務効率化
届け先との最後の接点といわれるラストワンマイルの配達効率を向上させるためにZNET TOWN mobileAPIを導入した企業の事例です。ラストワンマイル配送では、1日に配達できる数が収入に直結するため、効率的な配送が課題となっていました。
これまでは、紙の地図を用いて間隔や経験で経路を作成していたといいます。しかし、ZNET TOWN mobileAPIを活用したことで、経路作成をスマホで完結でき、運航前の作業時間を50%以上削減することに成功しました。
配送状況を100%見える化することで、荷物の状況や位置情報を瞬時に把握できるようになり、効率的な配送が実現しました。
新聞配達の労務課題を解決
新聞販売店の労務課題を解消するために配達管理サービスを提供している企業の導入事例です。
新聞配達では、新聞の銘柄や顧客の氏名、順路記号などが記された順路帳を使っての配達が一般的です。順路記号を覚えていないと配達先を把握できないため、新人の配達スタッフや外国人では配達が難しいという課題がありました。
こうした労務問題を解決するため、配達管理ができるクラウドサービスを立ち上げ、ZENRIN Maps APIを導入したのです。
結果として、配達準備にかかる時間の短縮に成功しています。配達スタッフに欠員が出た場合でも、代行スタッフが順路帳を見ながら配達する場所を確認したり、顧客状況を確認したりと出発前には1時間ほどの時間を要していたといいます。
しかし、サービスを導入した後はスマホさえあれば順路を確認でき、配達する新聞の銘柄も記されているため準備時間が0分と大幅に短縮できています。
新人教育に関しても、少ない期間での独り立ちが可能になったため、人手不足やスタッフの負担軽減につながっています。さまざまな労務改善に役立った事例です。
★導入事例
まとめ:自社に合った経路検索APIを導入しよう
今回は、経路検索APIについて解説しました。出発地から目的地までの経路を出力するサービスで、時間や移動手段、運賃等、さまざまな条件を考慮して経路を算出してくれます。
これまでは、経験や勘に頼って経路を導き出していた会社でも、経路検索APIを活用すれば時間をかけずに経路を算出できます。実際の移動時にも道路状況が加味されているため、無駄なく目的地まで移動できます。
ただし、提供元によってサービスの内容が異なり、企業によっては合う・合わないがあります。用途に合ったサービスを選ぶ必要があるため、提供している機能や追加機能、サポート体制等、あらゆるサービスを比較して選んでみてください。
今すぐ試せる!無料トライアルでZENRIN Maps APIを体験
提供する会社が多く迷った際には、ZENRIN Maps APIの活用をご検討ください。高精度な地図コンテンツを業務システムに連携でき、大型車規制情報を加味したルート検索や歩行者が安全に移動できるルート検索等も可能です。
無料トライアルも可能となっているため、導入する前に使用感を確認することもできます。実際に体験してからでないとわからない点もあるので、自社に合ったサービスであるか判断しやすくなります。お気軽にお問い合わせください。