APIとは？APIの仕組みから種類、メリット・デメリット、活用事例まで解説

ソフトウェアの機能をほかのソフトウェアから読み出す仕組みがAPIです。サービス開発の現場においてAPIは欠かせないシステムといえます。

そこで本記事では、APIの定義や仕組みをまとめていくとともに、SDKとの違いやAPIの種類、利用する利点や欠点を解説していきます。事例もご紹介していくので、APIを理解したい方や活用予定がある方は、ぜひお役立てください。

APIとは？

まずは、APIの定義や仕組みを解説していきます。

APIの定義

APIは「Application Programming Interface」を略した言葉で、それぞれの頭文字をとって構成されています。インターフェースは接続や接点を意味し、異なるものをつなぐ意味合いがあります。

そのため、APIは異なるアプリケーションやソフトウェアとプログラムをつなぐものを指します。サーバー上でほかのプログラムからリクエストを受け取り、レスポンスを返す一連の流れがコード化されたものと定義できるでしょう。

アプリやソフトウェアの一部を外部に公開することで、第三者が開発したソフトと機能を共有できる仕組みです。たとえば、異なるサービスとの間で認証機能を共有するほか、チャット機能の共有、取り込んだ数値データをほかのプログラムで解析できます。

APIの仕組み

仕組みを詳しく理解するためにも以下の図をご覧ください。

APIはサービスを利用する人と提供する人の間で役割が違います。B社が自社のサービスを広げるため、目的に応じてAPIを公開します。その公開したサービスを利用したいA社は、定められた形式に沿ってリクエストを行い、受け取ったB社は条件を処理してレスポンスを返す仕組みです。

例えば、ある企業（A社）が自社サイトに自社までのアクセス経路を表示するために地図データを追加したいと考えたとします。その場合は、地図データを提供しているAPI提供者（B社）に向けてリクエストを行い、受け取ったサービスB社は条件を処理してレスポンスを返す仕組みです。

その結果、A社はB社が提供する機能やデータを使用することができ、自社サイトに簡単に地図を表示することができます。

APIとSDKの違いは？

APIとSDKは、どちらも開発を効率化する特徴は同じですが、役割には大きな違いがあります。APIはアプリケーションの一部となり、異なるソフトウェアやプログラムをつなぐ役割があります。

一方、SDKはAPIといったツールを使用するために必要な補助ツールやパーツ等をまとめた開発キットです。そのため、APIはSDKに含まれるツールと考えるとわかりやすいでしょう。

また、SDKは特定のプログラミング言語もしくはプラットフォームで動作します。Java SEプラットフォーム用のアプリを開発する際にはJava開発キットが使用される仕組みです。

一方APIは、データリクエストをさまざまなプログラミング言語で実行できます。特定のプログラミング言語に依存していないため、SDKで希望する言語がない場合はAPIを活用して開発するケースもあります。

サイズにも大きな違いがあります。SDKはソフトウェア開発のためのツールが含まれているため、インストールするためのスペースが必要です。対照的にAPIは呼び出すのに数行のコードを書くのみなのでスペースを多く確保する必要がありません。このように、APIとSDKにはさまざまな違いがあるのです。

SDKについては以下の記事でも解説していますので、参考にしてみてください。

APIの種類

APIには、以下のような種類があります。それぞれ特徴が違うので確認しておきましょう。

Web API

HTTP/HTTPSプロトコルを用いてやり取りをするAPIです。Web上で動作し、プログラミング言語の仕様に左右されない特徴があります。

そのため、違うプログラミング言語のアプリでも連携できる点がメリットです。一般的に広く利用されているAPIなので、なかには無料のものも公開されているので使いやすさにも魅力があります。

通信にはHTTP/HTTPSを使用するため、HTTP通信の仕様を理解しておきましょう。また、Web APIにも種類があり、一般的に公開されているオープンAPIをはじめ、特定の相手のみに公開するパートナーAPI、内部利用を目的とするクローズドAPIがあります。

APIキーとは？

Web APIでは、認証情報を使用してアクセスします。提供事業者が発行する情報でAPIキーやシークレットと呼ばれているアイテムです。取得する方法は、利用するAPIによって異なりますが、一般的には以下の手順で取得可能です。

• Web APIを提供するサービスにユーザー登録
• 管理画面でAPIキーを取得

登録の際には、利用者の状況だけではなく、接続するアプリの用途や詳細を求められることもあります。海外サイトであれば英語での入力が必要です。翻訳ソフトを使用する等して正しく登録しなければいけません。

また、APIキーはパスワードのような役割を持つ情報です。他人との共有や複数サイトでの使いまわしは行わず、厳重な管理が必要です。

★Google Maps PlatformのAPIキー取得・設定方法はこちら
APIキーの取得・設定｜Google Maps Platform｜ゼンリンデータコム法人向けサービス (zenrin-datacom.net)

ネイティブAPI

AndroidやWindowsといったOSに組み込まれているAPIを指し、OSAPIとも呼ばれています。たとえば、Windows APIは、WindowsでプログラミングができるAPIとなり、プログラムからWindowsの機能だけではなく情報を利用できる仕組みです。

ディレクトリやファイルの操作、メモリの確保や解放等が当てはまります。

ライブラリAPI・ランタイムAPI

ライブラリAPIは、プログラム言語のライブラリが提供しているAPIです。外部から利用できる機能を持ったプログラム部品をクラスといいますが、複数のクラスをひとつのファイル等にまとめたものをクラスライブラリといいます。クラスライブラリを活用すれば、膨大なコードを書く必要がなく、数行のみで機能の実装が可能です。

一方、プログラムを動かす環境となるランタイムが提供するAPIがランタイムAPIです。プログラムの実行時に使用され、動的な操作が可能になるのでシステムの状態をリアルタイムでモニタリングすることが可能です。

問題が発生しても早い段階で適切なアクションを起こせるので、運用レベルをアップする際に役立ちます。プログラミング言語のjavaでは、アプリの開発に必要な標準機能をAPIとして提供しています。

APIを利用するメリット

APIにより、さまざまな魅力を自社サービスに与えられます。

効率的にソフトウェア開発ができる

実装済みの機能を利用できるので、効率的なソフトウェア開発が可能です。たとえば、自社でなんらかの機能を一から開発する場合、仕様を決定するだけでもデータ収集が必要です。複雑な処理が必要な場合は、開発工数も多くなるため機能を実装するにも膨大な時間がかかります。

しかし、APIがあればサービスを提供している事業者が用意した機能を利用できるため、開発する手間がありません。自社の作業工数も減るのでほかの機能開発にリソースを割り振ることもできます。

API提供元のデータを利用できる

APIを提供している事業者が保持しているデータを利用できる点も魅力です。データの収集や登録、新しいデータへの更新にも膨大な時間がかかり、自社で実施する場合には人材も足りずに作業が難航するケースもあります。

しかし、APIを活用すればデータの利用が可能な場合もあるため、時間をかけずにデータの取得や連携が可能です。

たとえば、サービスを提供している事業者がECサイトだった場合、保有している顧客の情報や商品・在庫情報のデータを受け取れることがあります。

自分たちで収集する手間なく、マーケティング活動に利用できます。機能の開発に集中できるので、システム機能の拡大や精度向上をスピーディーに目指せるはずです。

ユーザーの利便性を高められる

APIを活用してサービスを提供すれば、ユーザーの利便性も向上します。たとえば、Webサービスを利用したい場合、新規登録が必要であれば住所や電話番号等、さまざまな項目を入力する必要があります。細かく記入するため、手間だと感じて登録を諦めてしまう方もなかにはいるはずです。

しかし、APIによってアカウント情報を利用できるログイン方法を実装すれば、ユーザーは自分で情報を入力せずとも会員登録が可能です。

ユーザーは手間をかけずに商品の購入が可能になります。また、他社サービスのポイントを付与することもできるので、付加価値を付けることも可能です。ユーザーが魅力だと思えるサービスを提供するためにも、API連携をご検討ください。

セキュリティの向上が見込める

セキュリティ向上にもAPIは役立ちます。自社でシステムを構築し、ユーザーの会員情報も管理することになれば、セキュリティ機能も構築する必要があります。情報の漏洩につながれば、信用問題にもなりユーザー減少に陥る可能性があります。

しかし、APIを活用すれば提供元となる事業者のシステムによって個人情報は管理されるため、システムを自社で用意する必要がなくなります。セキュリティレベルが高い事業者とAPI連携できれば、レベルの高い認証システムの利用が可能です。

ユーザーも安心度が増すので、登録を躊躇する必要がなくなり、ユーザー数向上にも役立つはずです。

常に最新の状態に自動アップデートされる

サービスにおける最新情報の取得も可能です。たとえば、自社のサイトとAmazonを活用して商品を販売している場合、Amazonで価格変更や在庫情報が変わった際にはAPI連携によって自社サイトの価格や在庫数も自動的に反映させられます。

自分たちで入力する手間がなくなり、入力間違いによるトラブル防止にも役立ちます。

APIを利用するデメリット

利点が多くあるAPIですが、欠点もあります。有効活用するためにも注意点をあらかじめ把握しておきましょう。

不具合が発生する可能性がある

提供元となる事業者のシステムで不具合が発生すれば、APIの機能が使えなくなる可能性があります。自社の設備に異常がない場合でも、APIの機能に異常があれば連携して不具合が発生してしまうため、定期的なチェックは欠かせません。

発生したトラブルは自社では対応できないので、不具合が解消するまで待つ必要があります。解消までに時間がかかればユーザーにも迷惑をかけてしまうので、リスクを踏まえた事業継続計画の策定が大切です。

また、メンテナンスによってサービスが中断するケースもあります。提供元が海外の会社の場合は、日本時間の日中にメンテナンスが始まる可能性もあるため、メンテナンス予定は常に把握しておきましょう。

コストがかかる

APIは無償で提供されているサービスも多いですが、なかには費用がかかるものもあります。月額制となれば、利用するだけでコストがかかるので継続利用が難しくなる可能性もあります。

ときには、無償提供していたサービスが有料になることもあるのでランニングコストを考えて、APIの継続利用もしくは代替サービスの活用をご検討ください。

サービスが終了してしまう可能性がある

サービスの提供者の事情によってAPI機能が停止する場合もあります。機能が停止すれば、利用している自社サービスでも使えません。その場合は、自社サービスに影響を与えないためにも、新しいサービスの活用を考える必要があります。

前もって終了を知らせるケースもあれば、突如終了するケースもあるので、あらかじめ対処法を検討しておくと事業に支障を与えません。

ビジネスでのAPIの活用事例

APIは、身近な場所でも使われている機能です。ここからは、実際に活用されている事例を解説していきましょう。

クラウドサービス連携による利便性の向上

Googleでは、さまざまなAPIを提供しています。たとえば「Google Calendar API」です。社員のスケジュールを共有でき、社内会議の時間や出張の予定等を全体で共有できる仕組みをつくれます。

また、「Google maps Platform」はGoogle MAPをホームページで表示することが可能です。目的地までのルート表示も可能で、ユーザーが知りたい情報を提供できます。

UI/UXの改善によるユーザビリティの向上

ユーザーの満足度向上や他社との差別化を図るためにもUI/UXの改善は欠かせません。その際にも、APIは活用できます。FacebookやXでもAPIが提供されていますが、活用すればユーザビリティの向上に役立ちます。

SNSに登録した情報を活用してログインができる、決済処理APIで個人情報を入力せずとも決済ができる等、手間を省いてサービスが利用できれば、ユーザーの満足度向上が期待できるでしょう。

社内システムの改善

社内システムの改善にもAPIは役立ちます。たとえば、Chartworkではサーバーエラーを探知してタスクを流すほか、カレンダーに予定が追加された際にタスクを振り分けるといった便利な機能を活用できます。

そのほかにも、さまざまなサービスがあるので、業務効率化を図るためにも利用をご検討ください。

まとめ：APIの導入で社内システムの改善を目指そう

今回は、ユーザーの満足度を高める際に役立つAPIについて解説してきました。API利用者は提供元のサービスを利用できるので、一からシステムをつくる必要がありません。

利用時には注意点もありますが、あらかじめ事業継続計画を策定する等、対策を施せば対処可能です。社内システムを改善し、効率的な事業を継続するためにも役立ちます。導入を検討しているならAPIの仕組みを理解し、自社の課題を補えるようなAPIの活用を考えていきましょう。

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