
店舗出店の成功を左右する立地戦略とは? プロセスや考え方を紹介
店舗出店の成功のためには、しっかりと計算と検証を行った立地戦略が必要です。
しかし、立地戦略と一概に言っても抽象的なため、具体的にどのような流れで行えばよいかわからない方も多いのではないでしょうか?
そこで今回は、立地戦略の概要と成功例等も含めて説明します。
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立地戦略とは?
立地戦略とは、顧客が集まりやすい場所を事前にフォーカスし、店舗を出していく戦略です。
単純に人が集まるかだけではなく、アクセスや地理的な居住者の傾向等、さまざまなことを考慮して戦略を立てます。
多面的な分析で顧客が集まりやすい場所を見つけ出すのが立地戦略
立地戦略は、お店ごとの商圏を分析して自分の経営するお店にとって最適の場所を確保するのがゴールです。
お店といっても、個人経営の飲食店やフランチャイズ加盟のコンビニ、スポーツジムや美容室などといったサービス業など多岐にわたります。
競合する店舗があるのか、場所ごとに集まる人々の年齢・性別・職業といった属性の調査、好まれている食品やサービスの傾向など、戦略を立てる上で多面的に調べなる必要があります。
基本的に調査を行う際は、
- 専用のツールで場所ごとの人流データを収集
- データを基にした資料を作成し、スタッフ間で共有
- 自分たちのお店にあった商圏を見つけ出し、商圏内からお店の物件を選定
というのが大まかな流れです。
立地戦略は店舗ビジネスを行う上で不可欠
立地戦略は、店舗ビジネスを行う上で不可欠な要素です。
とくに、新しく単独でお店を構えたり、事業拡大で店舗数を増やしたりする場合は、限られたコストと店舗の中で経営を行わなければなりません。
大手がチェーンを展開してビジネスをしていると、うまくいかない場所の店舗は撤退したり、リスクを分散するためにフランチャイズを募ったりすることもできます。
しかし、全国的な知名度があるわけではなく少ない店舗を経営する際は、直営でいかに効率的に利益を上げるのかが重要です。
最大限コストを削減しながら多くの人が集まる場所を選択しなければならず、そのためには事前の立地戦略は欠かせません。
最初に意識したい立地戦略の3つのプロセス
立地戦略には大きく下記3つのプロセスがあります。
立地選択 |
立地選択は人の多い場所を選ぶ立地戦略のことで、基本的なプロセスのひとつです。 |
立地適応 |
立地適応は、時代や流行に応じてビジネスモデルを臨機応変に変更する戦略です。 デパートや百貨店のような大型の店舗を立地させた戦略が流行した時代、現代のような家に注文した商品を配送するネットショップが流行する時代など、流行するビジネスの形に合わせた立地を考慮します。 |
立地創造 |
立地創造は、あえてあまり人気のない場所に立地してその場所自体の人流を増やすことを目指す戦略です。 うまくいけば多くの利益を独占的に作れる一方で投資する金額も莫大で、大手のチェーン店の参入や大企業の新規店舗事業計画等でとられる手法となります。 |
立地戦略の考え方
ここからは、立地戦略の考え方について説明します。
人通りが多いところを選定するだけでなく、ビジネスモデルを明確にすることについては触れましたが、より掘り下げて解説するのでご確認いただき参考にしてみてください。
人通りの多い場所だけを選んでもうまくいかない
立地戦略と聞くと、「人が集まりやすい場所に店舗を出せば大丈夫」と考えるかもしれません。
しかし、多くの人が集まりやすい場所に出店したお店が撤退することもあれば、人通りがあまり多くない場所のお店が長い間人気を博すといったこともあるので、一概に多くの人口だけにフォーカスしてはならないことがわかります。
立地戦略では、まずお店の形態(コンビニ、マーケット、飲食店など)からビジネスモデルを考慮し、ビジネスモデルにあった場所を見つけ出さなければなりません。
また、戦略の中では出店に当たって投資できるコストについても考慮が必要です。
単純に多くの人が集まる地域に出店するという結論になっても、人気のある場所に出店する際は借りる物件も高額になる傾向があります。
立地戦略では、ビジネスモデル上の理想と現実的にビジネスを成り立たせるためのコスト管理をすり合わせる作業が大切です。
店舗に合ったビジネスモデルを明確にして立地戦略を行う
たとえば、チェーン店やコンビニといった属性のお店なら「このお店ならではの商品・食品・サービスを利用したい」という心理の顧客より、「気が向いたときに立ち寄って利用したい」という心理の顧客が多いと思われます。
対照的に、ご当地の食品を利用した料理店や人気ヘアメイクアーティストが在籍する美容室等は、固定化したファン心理を持った顧客を獲得するビジネスモデルです。
このように、お店の属性によってビジネスモデルが大きく変わり、それにより商圏も変化するのが店舗経営となります。
そのため、ビジネスモデルを店舗ごとに明確にし、どのような属性の顧客を獲得するかを考慮し、立地を選定しましょう。
コンビニやチェーン店における立地戦略の考え方と成功例
ここからは、立地戦略における考え方や実際の成功例について説明します。
コンビニやチェーン店の立地戦略においては、以下のような戦略例と成功例があります。
近くに競合店舗があっても気にしない
飲食店やサービス施設の場合は、近くに競合している店舗がないかを気にする傾向にあります。
一方で、コンビニに関しては近くに競合店舗が立地しているケースも多く、立地戦略において競合店舗の存在はあまり気にしていない印象です。
コンビニのような気軽に立ち寄れるタイプの店舗は、ドライバーの目線に立った立地戦略が成功の鍵となっています。
コンビニチェーンにおいて詳細は異なりますが、道路の右側と左側の路線どちらを走行しているかによって、入りやすさは異なります。
気軽に立ち寄れる店舗だからこそ「たまたまコンビニの近くを通った」顧客を獲得できるケースが増えるだけに、道路の対向車線や近くに立地する戦略を考えること大切です。
エリアを取るか場所を取るか
では、コンビニチェーンごとにどのような立地戦略がとられているのでしょうか。
ある大手コンビニチェーンは、立地している場所に関係なく一貫して同じ形態の店舗で出店しています。
細かい場所にフォーカスせずに広めのエリアを商圏に設定して、売り上げの成否にかかわらず広いエリアに自社の店舗を浸透させるような戦略をとっているのです。
またほかにも、立地の特性によってお店の形態を細かく変えるという、臨機応変型の対応で成功した大手コンビニチェーンもあります。
立地ごとに詳細を変えるだけでなく、売り上げ的にうまくいかなければ、さらなるテコ入れ戦略や撤退も視野に入れる方針です。
双方ともに対照的ですが、いずれも大きな成功例として参考になると思いますので、参考にしましょう。
駐車場を用意できる環境が大事
一度人気を博したチェーン店の場合は、その存在が大きなブランド価値を持ちます。
そのため、立地戦略においても、場所を選ぶ立地選択というよりは立地創造で場所選びを行うケースが多くなるでしょう。
立地が良くない状況でもブランド力のある大手チェーンであれば「この場所に大手チェーンができたから行ってみよう」といったケースも出てくるので、むしろ人気のない場所を狙って集中的に顧客を集めるといった戦略も取られます。
しかし、立地が良くないということは駐車場の充実が必須となります。
車を利用してお店に来る人も増えますので、駐車場をキャパオーバーさせないのはもちろん、混雑して出入りを難しくしないようなスペース確保が必要です。
立地戦略が必ずしも必要でないケースもある
一方で、以下のように立地戦略が必ずしも必要ないケースの店舗もあります。
このようなタイプの店舗の場合、立地戦略自体は必要ないかもしれませんが、売り上げや利益を確保するための戦略は必須です。
顧客のファンを作りやすい業種の場合
ファンを獲得するタイプのサービスや商品を提供している業種の場合、店舗や施設に人を集めることも可能で、立地戦略自体が必ずしも必要ありません。
スポーツ施設を例に挙げると、2023年にあるプロ野球チームが拠点地域に新球場を開場し、その後も周辺施設の開発を計画しています。
球場ができる前の土地周辺は未開発で人が多く集まる場所ではありませんでしたが、早くも多くの顧客を集め大きな経済効果が表れると試算されている状況です。
このような業種の場合は、立地戦略以上に「新規ファンの獲得とファンを手放さない戦略」が重要となります。
ファンがいる現状に満足し、サービスや提供する商品の品質向上を怠ると、一気にビジネスモデルが瓦解してしまうので注意しなければなりません。
競合店舗がない場合
先ほどのケースと少し似ていますが、提供している商品やサービスがないために競合店舗自体がないといった場合もあります。
そうなると、あまり人がいない場所やアクセスが良くない地域であっても「穴場」・「隠れ家」的なキャッチコピーで人気を集めるといったケースも考えられます。
もちろん、商品・サービスが優れていることが前提ですが、このケースも人が集まる地域にフォーカスした立地戦略はさほど重要ではありません。
駅や通りなどに人が集まらなくても顧客をうまく誘導している店舗はあります。
唯一無二の魅力を持っている店舗の場合は、認知度向上やお店へ誘導するための立地戦略を参考に顧客を獲得しましょう。
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まとめ:立地戦略は分析内容が重要! サービスを活用して情報を集めよう
立地戦略は単純に人の多い場所をフォーカスするだけでなく、お店の形態や人気店舗の拡大といった状況を踏まえると、あえて人気のない立地を選ぶといった戦略もあるなど奥が深いです。
立地選択や立地創造など人の流れを知る必要がある場合は、人力での調査ではなく「混雑統計®」など人流データ分析サービスを活用し、精度の高い分析を行うことで正確な立地戦略が立案できるでしょう。
ビジネスモデルにあったデータの収集で、最適な立地を見つけましょう。