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WebGISを使いこなす!無料で使えるWebGISツールや活用メリットを解説


WebGISは、手軽にGISの機能を活用できる便利なツールです。位置情報と関連付けたデータ分析が可能で、必要な情報を可視化するだけでなく、業務の効率化にも役立ちます。

しかし、WebGISについて詳しく知らない方もいるのではないでしょうか。業務で効率的に活用するためには、基本的な仕組みを理解することが重要です。

そこで本記事では、WebGISの基本機能や従来のGISとの違いについて解説します。また、WebGISを利用するメリットや、無料で使えるWebGISツールも紹介します。

自分や自社に最適なツールを選ぶ際の参考にしてみてください。


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目次[非表示]

  1. 1.WebGISとは?
    1. 1.1.WebGISでできること
    2. 1.2.一般的なGISとの違い
  2. 2.WebGISを利用するメリット
    1. 2.1.インストール不要で手軽に利用できる
    2. 2.2.無料または低コストで利用できる
    3. 2.3.リアルタイムで地理情報を取得できる
    4. 2.4.マルチデバイス対応でどこでも利用できる
    5. 2.5.データ共有やコラボレーションが簡単
  3. 3.無料で使えるWebGISツール
    1. 3.1.国土地理院の「地理院地図」
    2. 3.2.OpenStreetMap(OSM)
    3. 3.3.Google Maps API
    4. 3.4.環境省の「環境GIS」
  4. 4.WebGISの主な活用シーン
    1. 4.1.防災・災害対策への活用
    2. 4.2.都市計画やインフラ管理への活用 
    3. 4.3.環境モニタリングと自然保護への活用
    4. 4.4.ビジネス・マーケティング分野での活用
    5. 4.5.教育・研究分野での活用
  5. 5.まとめ:WebGISを活用すれば、業務効率や分析力が向上する!
  6. 6.WebGISを活用するなら「ZENRIN Maps API」の活用もご検討を


WebGISとは?


WebGISは、インターネット上でGIS機能を利用できる技術です。地図の閲覧だけでなく、さまざまなデータの分析や編集が可能で、顧客の行動把握、市場の理解、戦略立案などにも活用されています。これにより、幅広い業界で導入が進んでいます。

そもそも、GIS(地理情報システム)とは何かを知らない方もいるかもしれません。GISは、電子地図にさまざまなデータを重ね合わせ、地理情報と他の情報を結びつけるシステムです。

これにより、データの分析・編集・検索が可能となり、地図上での可視化を通じて業務の効率化やマーケティングへの応用も期待できます。


WebGISでできること


WebGISツールを活用すると、さまざまな機能を利用できます。ここでは、その一例をご紹介します。

機能
詳細

地図の表示

デバイス上で多様な地図を表示し、拡大・縮小・移動などの操作が行えます。

データの重ね合わせ

顧客データ、売り上げデータ、人口統計データなどを地図上に重ねて表示することで、顧客分析が可能となり、マーケティング戦略にも活用できます。

ルート検索

出発地点と目的地を指定することで、最適なルートを検索できます。渋滞状況を考慮したルート案内が可能なツールもあります。

地図上への

書き込み

地図上に顧客情報や日報の内容を直接書き込むことができます。例えば、訪問先を日報に記録しておけば、地図と照らし合わせながら確認できるため、訪問活動の管理に役立ちます。

情報共有

作成した地図や分析結果は社内で共有可能です。ルートや訪問先での注意事項を共有することで、業務の属人化を防ぎ、ミスの減少にも寄与します。書き込みをした地図や分析結果は社内で共有できます。



一般的なGISとの違い


一般的なGISとの違いを知りたい方もいるかもしれません。GISには、WebGISとデスクトップGISの2種類があります。

デスクトップGISは、専用のソフトウェアをパソコンにインストールして使用するタイプです。

特定のソフトが必要となり、OSによっては利用できない場合もあります。また、パソコン専用のため、スマートフォンやタブレットでは使用できません。

一方、WebGISは、インターネット環境があればGISの機能を利用できるため、スマートフォンやタブレットでも使用可能です。デバイスを選ばずに活用できる点が大きなメリットです。

さらに、デスクトップGISは、GISの専門知識や経験を持つユーザー向けに設計されているのに対し、WebGISは幅広いユーザーを対象としており、より手軽に利用できます。

この使いやすさが、WebGISの大きな魅力と言えるでしょう。


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WebGISを利用するメリット


WebGISを活用することでどのようなメリットが得られるのでしょうか。考えられるメリットは5つあり、それぞれについて解説していきます。


インストール不要で手軽に利用できる


デスクトップGISは、専用のソフトウェアをパソコンにインストールして使用します。そのため、インストール作業が必要で、使用するパソコンが多いほど時間がかかります。

しかし、WebGISなら特別なソフトやシステムをインストールする必要がありません。

さらに、デスクトップGISではソフトウェアの更新やデータのバックアップを個別で行う必要がありますが、WebGISではこれらが中央で一括管理されます。

これにより、ユーザーは常に最新の状態で利用でき、個別の対応は不要となり、運用の負担が大幅に軽減されます。


無料または低コストで利用できる


デスクトップGISの中には高額なものもあり、導入にはコストがかかる点に注意が必要です。初期費用が大きい場合、予算の都合で導入を躊躇する企業担当者もいるでしょう。

一方、WebGISには無料で利用できるものも多く、費用が発生する場合でも比較的低コストで導入できます。

また、多くの従業員がGIS機能を利用する際も、WebGISなら中央で設定するだけで簡単に共有が可能です。コストを抑えた導入を目指しているなら、WebGISの活用を検討してみてください。


リアルタイムで地理情報を取得できる


WebGISを活用することで、地理情報をリアルタイムに取得できます。例えば、運送業ではリアルタイムの地理情報を活用することで、交通状況を分析し、最適な配送ルートを決定できます。

これにより、配送の効率が向上し、配送時間の短縮が可能になります。また、燃料コストの削減にもつながるため、全体的なコストダウンにも寄与します。


マルチデバイス対応でどこでも利用できる


前述のとおり、デスクトップGISは専用ソフトをパソコンにインストールして使用します。そのため、スマートフォンやタブレットでは利用できません。

しかし、WebGISはマルチデバイス対応のため、パソコンだけでなく、スマートフォンやタブレットでも活用できます。

スマートフォンやタブレットで利用できることで、車の運転時にも画面が見やすく、ルート案内の確認もスムーズになります。

また、インターネット環境さえあれば、パソコンを使わずに必要な情報を確認・分析できるため、移動中や仕事の合間等、場所を問わず活用できます。


データ共有やコラボレーションが簡単


WebGISはデータをサーバー上に保存するため、複数の従業員がリアルタイムで作業を進められます。

一方、デスクトップGISでは、専用ソフトで作成した分析結果を共有する際にシェイプファイルがよく使われますが、圧縮して送る必要があり、環境によっては文字化けなどの不具合が発生することがあります。

こうした問題が発生すると、次の作業者がスムーズに業務を進められず、作業の遅延につながる可能性があります。

一方、WebGISであればシェイプファイルを使用する必要がなく、送付ミスも減るため、作業効率の向上に役立ちます。さらに、企業間や市町村同士でデータを共有できるため、サービスのコラボレーションも容易になります。


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無料で使えるWebGISツール


ここでは、無料で利用できるWebGISをご紹介します。事業に役立つツールもあるため、WebGISの活用を検討している方はぜひ参考にしてみてください。


国土地理院の「地理院地図」

地理院地図は、国土地理院が提供するWebGISサービスです。地図や年代別の空中写真、災害情報など、さまざまな地理空間情報をWebブラウザ上で閲覧できます。

地形断面図の作成や、新旧の写真を比較する機能があり、地理院地図上で目的地までの距離を計測することも可能です。

また、作図機能を使えば、地図上に面や線を描いてオリジナルの地図を作成できます。さらに、表示した地図や情報はQRコードやSNSを通じて簡単に共有できます。

過去の自然災害の発生場所を表示できるため、防災対策にも役立ちます。災害発生時には、被災地の空中写真や被災状況を示した地図が公開されるため、現状を迅速に把握するのにも活用できます。


OpenStreetMap(OSM)

OpenStreetMapは、OSM財団が提供する無料の地図サービスです。世界中の有志が参加し、建物の形状や種類、用途等のデータに加え、道路の種類や規模といった情報を入力・編集できます。

その自由度の高さから「地図のWikipedia」とも呼ばれています。

ユーザーがリアルタイムで地図を更新できるため、新しい建物や道路が完成すると即座に反映されています。詳細な地図のデータが充実していれば、効率的なルート計画も立てやすくなります。


Google Maps API

Google Maps APIでは、Google Mapの機能をサイトやアプリなど、さまざまなサービスに埋め込むことができます。利用できるサービスの一部をご紹介しましょう。

  • Dynamic Street View:360度パノラマ画像を埋め込める
  • Directions:複数の地点間の公共交通機関、自動車、自転車、徒歩でのルート情報の提供
  • Roads:車両が移動する経路の特定
  • Geolocation:GPS機能がない環境でのユーザーの位置情報を特定する
  • Place Search:現在地や電話番号等で周辺の店舗やサービス情報を提示する

ゼンリンデータコムでは「Google Maps Platform」を提供しています。Googleが提供するWeb地図サービスであり、サイトやアプリに組み込める多様なAPIを利用できます。

ゼンリンデータコムはGoogle Cloud Partnerとして認定されており、正規代理店として万全のサポート体制を整えています。

Google Maps Platformのご相談はこちらから

導入に関する疑問や不安があれば、お気軽にご相談ください。また、ゼンリングループが提供するZENRIN Maps APIなど、さまざまなAPIを活用した開発支援やご提案も可能です。

APIのご相談はこちらから


なお、Google Maps APIは従量課金制のサービスです。これまで毎月無料枠が設定されていましたが、2025年3月1日より無償枠の変更が予定されています。変更点は以下のとおりです。

  • 月額200USDの無償枠が終了
  • 機能(SKU)毎の無償利用枠の提供

SKUカテゴリ毎に無料リクエスト回数が設定されます。各SKUのカテゴリ区分は以下のとおりです。

  • Essentials:SKU毎に毎月10,000回まで無料
  • Pro:SKU毎に毎月5,000回まで無料
  • Enterprise:SKU毎に毎月1,000回まで無料

Google Maps Platformについて詳しく確認する​​​​​​​

環境省の「環境GIS」

環境GISは、環境省の国立環境研究所が提供するGISを活用したWebサイトです。

  • 暑さ指数
  • 星空観察結果
  • 大気汚染状況
  • 自動車騒音常時監視結果
  • 酸性雨調査結果
  • ダイオキシン類調査結果
  • 海洋環境モニタリングマップ

といった日本国内の環境状況を地図と併せて確認できるサービスです。さらに、地域内の人口分布シナリオや土地利用シナリオなども閲覧可能です。

暑さ指数を把握することで、屋外で働く従業員への注意喚起を促し、熱中症対策や健康管理に役立てることができます。


WebGISの主な活用シーン


WebGISはさまざまな場面で活用でき、多くの企業のサービスにも応用が可能です。では、具体的な用例を紹介していきます。

防災・災害対策への活用

災害対策の分野では、時系列データや地理情報の活用が重要であり、GISが多くの場面で活躍します。特に「ハザードマップ」「災害履歴の把握」「3Dマッピング」の3つのシーンでの利用が一般的です。

ハザードマップは、災害のリスクがある地域や避難場所、避難経路等を可視化した地図です。

被害が想定される地域を事前に把握することで、災害時の適切な行動を計画でき、防災に役立ちます。例えば、以下のような地図が作成されています。

  • 浸水被害
  • 土砂災害
  • 地震の被害想定
  • 火災発生予測
  • 避難場所

近年、国や自治体によるハザードマップの作成が進んでいます。企業でも、GISの活用はさまざまな場面で役立つでしょう。

また、災害の歴史を把握する手段としてもGISは有効です。過去の災害を分析することで、現代の防災対策に生かすことができます。

GISでは、過去と現在の地図データを組み合わせることで、比較や分析が容易になります。

これにより、同じ地域で過去に発生した災害の被害状況を把握し、今後の対策を検討する際の重要な情報源となるでしょう。防災意識の向上や具体的な災害対策の策定において、GISの活用は欠かせません。


都市計画やインフラ管理への活用 

都市計画ではWebGISが幅広く活用されています。土地の所有者情報や利用用途、地価の管理に加え、人口密度や交通量の分析を行うことで、より効果的な都市設計や計画立案が可能になります。

また、WebGISを活用することで、インフラの最適な配置にも役立てることができます。


環境モニタリングと自然保護への活用

GISは環境分野でも幅広く活用されています。例えば、大気汚染や水質汚染などの環境データを可視化することで、環境問題の分析や効果的な対策の立案にも役立ちます。

これにより、より良い環境づくりが可能となります。

さらに、土地利用の変化や森林伐採の状況を追跡することで、生態系への影響を監視・分析できます。また、保全区域の設定や管理計画の策定にも活用されており、適切な保全措置を講じるための重要な資料となります。

従来、文字や数値データでは把握しにくかった情報も、GIS上で視覚的に表示することで、より直感的に状況を理解できるようになります。


ビジネス・マーケティング分野での活用

WebGISは、ビジネスやマーケティングの分野でも幅広く活用されています。例えば、商圏分析では、人口や世帯数、年齢層といった統計データや顧客データを基に、出店を検討しているエリアの市場環境や特性を分析できます。

GISを活用することで、これらのデータを地図上に統合し、視覚的に把握しやすくなります。その結果、商圏分析が効率化され、商品開発や販売促進、出店戦略などのマーケティング戦略の構築に役立ちます。

また、顧客動向の調査にも有効です。自社の会員データやPOSデータを活用し、優良顧客を抽出した上で、年収や年代、位置情報等のデータを追加・可視化することで、需要の高いエリアや主要な顧客層の特徴を把握できます。

こうした可視化されたデータは、より効果的な販売戦略の立案に貢献します。

さらに、販促活動の効率化にも活用できます。地図データと人口データを組み合わせることで、ターゲット層が多いエリアを特定し、チラシ配布や広告展開を最適化できます。

WebGISを活用し、人口密度が高い地域やターゲット層が集中しているエリアを狙って集中的に販促活動を行うことで、より多くの顧客にリーチしやすくなります。


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教育・研究分野での活用

WebGISは教育や研究の分野でも活用が進んでいます。例えば、2022年から高等学校の必修科目となった「地理総合」では、従来の紙地図を使った学習に加え、GISを活用した情報の調査・分析スキルの習得が求められています。このため、教育現場におけるWebGISの導入が進んでいます。

一般的なGISソフトウェアは、導入時の初期費用がかかる上、データの共有にも手間がかかることがあります。しかし、WebGISには無料で利用できるものもあり、コストを抑えつつ導入しやすい点が大きなメリットです。

また、WebGISの活用は地理分野に限りません。歴史や自然環境の研究、地域福祉や地域経済の分析、防災教育など、さまざまな分野で有効なツールとして活用できます。


まとめ:WebGISを活用すれば、業務効率や分析力が向上する!


今回は、業務効率の向上や分析力の強化に役立つWebGISについて解説しました。WebGISはインターネット環境があれば、パソコンだけでなくスマートフォンやタブレットでも、アプリをインストールせずにGIS機能を利用できます。

無料または低コストで導入できるため、初期費用を抑えながら活用できる点も魅力です。さらに、データの共有が可能なため、複数のユーザーでの利用にも適しています。

今回紹介した無料ツールやZENRIN Maps APIを導入し、WebGISの機能を自社のビジネスに最大限活用してみてください。


WebGISを活用するなら「ZENRIN Maps API」の活用もご検討を


WebGISの活用を検討しているなら、ゼンリンの地図と位置情報開発ツール「ZENRIN Maps API」の導入をぜひご検討ください。

業務システムと高精度な地図コンテンツを連携させることで、ルート検索やルート案内、気象データの取得、建物ターゲティングなど、多彩な機能を活用できます。

建設業や不動産業、観光業、製造業等、幅広い業界で活用でき、課題解決や業務効率化にも役立ちます。ニーズに応じた活用方法の提案も可能なため、WebGISについて詳しくない方でも安心してご相談ください。


\ まずはお気軽に!/

ゼンリンデータコム編集部
ゼンリンデータコム編集部
あらゆる業界に役立つ、位置情報・住宅地図・物流配車管理・地図道路情報配信・屋内施設動態・インバウンドなど、ゼンリンデータコムの提供サービスに関わるノウハウやトレンドを様々な角度で情報発信してまいります。

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