没入感のあるリアルなマップ体験を構築:
3D Maps が Web版で一般提供(GA)開始

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2025-11-07 16:45(更新:2025-11-11 22:12)

Googleは2025年10月30日、3D Mapsの一般提供(GA)開始を発表しました。これにより、企業はWebおよびモバイルWeb上で、フォトリアリスティックで没入感のある3D体験を通じて、実際のロケーションをこれまで以上にリアルに再現できるようになります。

3D Mapsは、本番環境対応のソリューションとして、現実的でインタラクティブな体験への需要の高まりに応えます。フォトリアリスティックな環境描写と高いカスタマイズ性により、ユーザーの関心を惹きつけ、情報に基づいた意思決定を促進し、没入型のストーリーテリングを通じてブランドの差別化を実現します。

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ケース① マラソン大会運営:
没入型の3Dルート体験で
大会参加者に新しいイベント体験を提供

3D Mapsは、アスリート、観客、そしてイベント主催者にとって、現実世界の探索をこれまで以上にダイナミックで魅力的なものにします。例えば、RunConciergeは、3D MapsとVertex AIにおけるGoogle Mapsのグラウンディングを組み合わせ、マラソンや各種スポーツイベントに参加するランナーや観客のための没入型「体験マップ」を構築しています。Tata Consultancy Services(TCS)とNeurunはこの技術を活用し、世界最大級のランニングイベントであるTCSニューヨークシティマラソンにおけるレースウィーク体験をさらに進化させました。ランナーやファンは、コースや地形を仮想的にプレビューしたり、現地情報を探索したり、イベントに関する様々な疑問を即座に解決できます。また、RunConciergeのチャットエージェントにより、主催者はリアルタイムで最新のレース情報を提供し、参加者と観客が安心して当日迎えられるよう支援します。

RunConcierge を使用すると、観客とランナーは AI プロンプトと没入型 3D マップを通じて TCS ニューヨークシティマラソンのルートを探索できます。引用元:Build immersive, real-world map experiences: 3D Maps now Generally Available for web

「マラソンは本質的に”人の力”によって成り立つ競技です。そのため、TCSニューヨークシティマラソンは、3DマップとAIの力でユーザー体験高める理想的な”生きた実験の場”と言えます。RunConciergeのようなイノベーションは、AIと没入型マップがあらゆる局面で私たちを導く未来を示しています」 —Michelle Taylor、TCS スポーツスポンサーシップグローバル責任者

ケース② 不動産業界:
物件探索をスムーズにし、
購入者の信頼を獲得

3D Maps を活用することで、不動産サイトの利用者が“その家の周辺環境をリアルに見て回れるようになり”、結果として物件への興味や購入・問い合わせにつながりやすくなります。

Realtor.comでは、住宅購入希望者が公園や飲食店、カフェなどの周辺環境をリアルな 3D 空間で確認できる FlyAround 機能を導入。まるで空から街を見渡すように地域の雰囲気を体感でき、安心して住まいを検討できます。

同社の「2025年消費者意識・利用実態調査」によると、住宅購入者の半数が「実物を見ずに購入を検討する」と回答しており、2023年の44%から増加しています。初めての購入者ではその割合が 52% に達しており、FlyAround はこうした新たな購買行動に応える設計となっています。

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Realtor.comの新機能 FlyAround により、住宅購入希望者は静止画や従来の地図の制限を超え、物件をより包括的な視点で確認できるようになりました。敷地の寸法や地形、そして住宅が周辺地域とどのように調和しているかまでを立体的に把握できます。引用元:Build immersive, real-world map experiences: 3D Maps now Generally Available for web

Realtor.comは常に、ユーザー体験の深化を通じて業界をリードしてきました。私たちは不動産の未来は“没入型”にあると確信しています。Google Maps Platform の 3D マップにより、購入や賃貸の初期段階から地域を“体感”できることで、より確信を持って迅速に意思決定できるようになります。Google とともにこの新時代を切り拓けることを楽しみにしています。」Dave Herman、 Realtor.com プロダクト&AIイノベーション担当上級副社長

ケース③ 旅行業界:
目的地の魅力を直感的に伝え、
旅の計画と予約を後押し

旅行の予約やホテル選び、住宅購入など、あらゆる場面でユーザーは場所の魅力や環境を具体的に理解したいと考えています。3D Maps により、企業は地域や目的地、ルートをリアルに表現し、ユーザーが自信を持って意思決定できるよう支援します。

Localyse は 3D Maps を活用した包括的な旅行アプリを開発。予約前に目的地を遠隔で探索でき、サイクリングやハイキング、ドライブなど、あらゆる旅程を没入型 3D ガイドツアーで事前に体験可能です。Gemini API による最適な立ち寄り地の提案や、Places UI Kit による詳細情報表示、Compute Routes による動的な歩行ルート最適化を組み合わせ、よりスマートでインタラクティブな体験を実現しています。

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Roamlyは、ユーザーが予約前に目的地を遠隔で探索できるようにするアプリです。サイクリング、ハイキング、ドライブなど、どのような旅でも、没入感あふれる3Dガイドツアーを、実際に足を踏み入れる前にプレビューできます。引用元:Build immersive, real-world map experiences: 3D Maps now Generally Available for web

「JavaScriptで3Dマップの実験を始めた時、映画のように直感的で臨場感のある体験を驚くほど簡単に構築できたことに感動しました。単に地図上で場所を表示するのと、動的な視点でユーザーに”その場所を感じてもらう”のとは全く別の体験です。これはデータと体験の間にあるギャップを埋め、地図をより視覚的で魅力的なものにしてくれます。都市を探索する時も、旅行を計画する時も、あるいは周囲の環境を理解しようとする時も、その価値は変わりません」— Eline Van Straaten, Localyse カスタマーエンジニア

Ubilabsは、2024 年欧州サッカー選手権に向けて、ファンがスタジアムをバーチャル訪問できる体験を構築。公共交通機関から座席までのルートを案内し、臨場感あふれる 3D 環境でインタラクティブに試合を体感できるようにしました。

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Ubilabs の 3D マップを使うと、スタジアムに行くファンが「駅から自分の座席まで最短・最適なルート」を迷わずたどれるようになり、よりスムーズで快適な体験へと繋がります。引用元:Build immersive, real-world map experiences: 3D Maps now Generally Available for web

「3D は、受動的な観戦から能動的な参加へと体験を変化させることで、スポーツイベントのエンゲージメントを高めます。ただ座って観戦するだけでなく、3D空間の中で自ら体験に関わることができます。3D ライブトラッキングは、多くのファンがリアルタイムで試合の展開を追うことができる唯一の手段であり、イベントをより市場性の高いグローバルな体験に導きます。」— Martin Kleppe、Ubilabs 最高技術責任者(CTO)

ケース④ マーケティング:
3Dストーリーテリングを通じて
ブランドへの共感とエンゲージメントを強化

競争の激しいデジタルの世界において、没入型の体験は他社との差別化を図る強力な手段となります。3D Maps は、マーケティング担当者やブランドに、印象的で魅力的なキャンペーンを創出し、顧客とのつながりを強め、リピート率を高めるツールを提供します。

英国を拠点とする広告代理店 Modern English は、Orijen Dog Foods と提携し、愛犬と一緒に楽しめる米国各地のハイキングコースを 3D で再現したインタラクティブキャンペーンを開始しました。飼い主は愛犬に合わせたパーソナライズ検索とリアルな3Dマップを通じて、まるでその場に降り立ったかのような臨場感でコースを探索できます。これにより、シンプルなキャンペーンを没入感のあるリピート体験へと進化させ、ユーザーが「また訪れたい」と思える仕組みを生み出し、同時にブランドへの愛着と信頼(ロイヤリティ)も着実に高めることに成功しています。 

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Orijen Dog FoodsとModern Englishは、3Dマップのパーソナライゼーション機能と没入感を活かし、顧客が最初から最後まで楽しめる“フルジャーニー体験”を創出しています。ペットのサイズやアクティビティの好みに応じたトレイルの絞り込みから、臨場感あふれる3Dトレイルビュー、さらにハイキング後のアクティビティサマリーまで、一貫した体験設計により、ユーザーが繰り返し訪れたくなる仕組みを実現しています。引用元:Build immersive, real-world map experiences: 3D Maps now Generally Available for web

今回のリリースで追加された新機能

今回のMaps JavaScript API の 3D マップの一般提供では、開発者が直感的で本番環境対応の 3D マップを構築できるよう、以下の機能が追加されています。

  • クラウドベースのマップスタイリング(3Dマップ向けプレビュー提供中):多くの要望を受けて導入されたこの機能では、ベースマップのスタイルを柔軟にカスタマイズ可能です。POI(注目スポット)の表示や密度の調整、道路スタイルなど、100を超えるマップ要素を自由に設定でき、ブランドらしさを表現した独自の3Dマップ体験を作り出せます。既にクラウドベースのマップスタイリングを利用しているユーザーは、同じマップスタイルを3Dマップでもすぐに再利用できます。さらに、カスタムマーカー、インタラクティブなポップオーバー、スタイル設定されたポリラインといった既存の機能と組み合わせることで、これらの新しいスタイル設定オプションは、これまでで最も柔軟なキャンバスを提供し、没入感のあるパワフルな体験を構築できます。
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3Dマップでは、POI(注目スポット)のフィルタリングや道路スタイルのカスタマイズを簡単に行えます。シアトルの事例では、観光名所がユーザーにわかりやすくハイライト表示され、道路のスタイルはシアトル市の旗のカラーに合わせて変更されています。引用元:Build immersive, real-world map experiences: 3D Maps now Generally Available for web

  • アクセシビリティの向上: ベースマップ上のPOIが完全にインタラクティブになり、キーボード操作やスクリーンリーダーを利用するユーザーでも快適にナビゲーションできるようになりました。
  • 協調ジェスチャー処理: Webページをスクロールしている際に、意図しないマップの移動を防止する「協調ジェスチャー処理」機能を追加。
    これにより、よりスムーズで直感的な操作体験を提供します。
  • 使いやすさの向上: 主要なアップデートに加え、遅延読み込み(Lazy Loading)、シンプルなUIデザイン、改良されたローカライズオプションなどを導入。ユーザー体験とパフォーマンスの両面で、操作性がさらに向上しました。
  • カスタマイズオプションの追加: カスタムピン付きのポリライン、ポリゴン、マーカーなどを扱うためのWebコンポーネントを新たに追加。
    HTMLを用いてマップ要素をより柔軟にカスタマイズできるようになりました。

さあ、始めましょう!

Maps JavaScript API の 3D マップを使って、あなただけの没入型マップ体験を構築しましょう。以下のリソースからすぐに始められます。

  • 機能とカスタマイズ オプションの全範囲については、ドキュメントを参照してください。
  • コードサンプルやインタラクティブなコードラボで、初めての3Dマップ作成からカスタム機能やインタラクティブ要素の追加をガイドします。
  • ライブデモで3Dマップの動作を確認してください。
  • 没入型マップSKUの価格情報を確認し、価格計算ツールを活用して実装計画を立てましょう。

没入感のあるリアルな3Dマップで、場所を生き生きと表現し、次世代の魅力的でインタラクティブな体験を、今日からスタートしましょう。

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