
戦略立案に役立つ商圏とは? 分析方法や活用シーンをわかりやすく解説
店舗ビジネスを行う際は、提供するサービスだけでなく、多くの顧客を獲得できるように商圏についても考える必要があります。
商圏を重視した戦略立案を行うことができれば、同じサービスであっても利益が大きく変わる可能性があるため、しっかり分析しなければいけません。
しかし、分析といっても、どのようにデータを集め分析すればよいのかわからないという方もいるのではないでしょうか。
そこで本記事では、店舗ビジネスにおける商圏と商圏分析方法について説明します。
効率よくデータを収集する方法も紹介していますので、ぜひ参考にしてください。
目次[非表示]
- 1.商圏とは?
- 2.商圏分析の方法① 地域特性を知る
- 2.1.1.分析対象とする範囲を決める
- 2.1.1.①距離商圏を目安にする
- 2.1.2.②店舗の業態別商圏範囲の目安を利用する
- 2.2.2.公的データから調査を行う
- 2.2.1.①人口動態世帯数
- 2.2.2.②顧客のライフスタイルに関するデータ
- 2.2.3.③競合店に関するデータ
- 2.2.4.④地理条件やアクセスのしやすさ
- 2.3.3.対象範囲のデータ・調査結果から地域特性を分析する
- 3.商圏分析の方法② 実勢商圏を決める
- 3.1.1.顧客データの収集を行う
- 3.2.2.地図に落とし込み、実勢商圏を割り出す
- 4.商圏分析の方法③ 結果を分析してまとめる
- 5.商圏分析の活用シーン2例
- 5.1.これから出店する際の候補地選定
- 5.2.販促活動やキャンペーン時に活用
- 6.店舗ビジネスにおける商圏の現状
- 7.まとめ:商圏分析は的確な戦略立案を可能にする
- 8.人流統計データを商圏分析に活用!|混雑統計®
商圏とは?
まずは、商圏の概要を説明します。
商圏のエリアを的確に分析することで、売上の予測や今後のビジネス計画の立案が可能になるため、確認しておきましょう。
店舗に来店を見込める顧客が暮らす範囲のこと
商圏とは、自分が経営している店舗まで来てくれる可能性のある顧客が住んでいる範囲のことを指します。
商圏はあくまで顧客が来てくれるかどうかで判断されるため、店舗から距離が遠くても、交通機関が充実しており店舗まで行きやすい地域の場合は商圏とされます。
たとえば、ターミナル駅の近くに店舗を構えている場合、アクセスしやすい地域が多いため少し遠方の場所であっても商圏になり、集客が見込めると予測することが可能です。
商圏を定める際は、下記のポイントを整理して、どこまでが商圏なのか判断しましょう。
- 都市部か地方か
- 交通公共機関の利便性
- 駐車場の有無
- 居住者が自社の店舗を利用する年齢層なのか
商圏を分析することで売上予測や顧客分布の把握ができる
商圏を分析できれば、売上予測や顧客分析が可能になります。
店舗経営は利益を見込めなければすぐに立ち行かなくなるため、出店する場所によってどれだけの売上が見込めるのか、前もって予測しなければなりません。
商圏を定めれば来店可能な顧客の範囲に加えて、付近に競合店舗がどれだけ存在するのか整理できるため、おおよその見込み顧客の数についても判断しやすくなります。
また、可能であれば周辺地域の年齢分析や世帯数まで把握することで、今後訴求すべき年齢層や新規に獲得したい世帯等をピックアップできるでしょう。
商圏分析の方法① 地域特性を知る
ここからは、商圏分析の方法について説明します。
まずは、店舗を構える地域についてよく知っておきましょう。
実際に住んでいる地域であっても、ビジネス的な視点であらためて地域の現状を知るのが店舗経営の一歩目です。
1.分析対象とする範囲を決める
まずは、分析対象を決定します。
流れは以下の通りです。
それぞれ解説します。
①距離商圏を目安にする
店舗から分析対象にする範囲を決めます。
範囲の決定方法は下記の2通りです。
距離で決める |
地図などを活用し、距離で商圏を決める方法。 |
交通機関や車での移動時間で決める |
車や電車などを利用した場合、10〜30分以内に行ける地域など、移動時間で商圏を決める方法。交通機関によって時間が変わるため、単純な距離だけで決定しないことが大切。 |
②店舗の業態別商圏範囲の目安を利用する
次は、自分たちの店舗の商圏範囲がどれだけ広いのかについて分析します。
たとえば、コンビニエンスストアならなるべく家に近い店舗を利用する顧客が大半ですが、多くの商品を取り扱うデパートや百貨店では、ある程度離れている場所から来店を考える顧客もいるでしょう。
自分たちがどのようなお店を経営するのか、前提条件を整理して商圏範囲を決めましょう。
店舗の形態ごとに以下のような商圏範囲が目安とされています。
お店の種類 |
商圏範囲目安 |
コンビニエンスストア |
500m以内 |
飲食店(個人経営等) |
500m以内 |
ファミリーレストラン |
2〜3km以内 |
ドラッグストア |
2〜5km ※車で移動する顧客を想定 |
デパート・百貨店 |
10~20km ※車で移動する顧客を想定 |
2.公的データから調査を行う
次に公的データから分析をします。
調べる内容は、以下の通りです。
それぞれ解説します。
①人口動態世帯数
人口動態世帯数とは、商圏に居住している世帯の数のことです。
人口がどのように流入しているのか、結婚や出産などで世帯ごとの家族構成がどのように変わっていくのかについても調べ、店舗を利用する可能性のある人口を予測します。
人口動態世帯数は、市町村のホームページや国勢調査の情報などから確認することができます。
②顧客のライフスタイルに関するデータ
商圏内の顧客のライフスタイルについて調べるのも大切です。
基本的には世帯収入や、主な移動手段を調査し、自分たちの店舗にどのようなライフスタイルの顧客が訪れるのかをリサーチしましょう。
政府統計の総合窓口e-Stat等で調べることができます。
③競合店に関するデータ
経営する店舗とバッティングするような競合店への対抗策も講じる必要があります。
距離、規模、立地やアクセスなどの競合店のデータをひとまとめにし、競合する可能性が高い店舗について把握しておきましょう。
④地理条件やアクセスのしやすさ
先ほども触れましたが、商圏は店舗を中心に円で表せるものではなく、アクセスのしやすさに応じてある程度離れている場所でもエリアになりえます。
そのため、地理条件やアクセスのしやすさといった状況を踏まえた上で、データを作り分析することが大切です。
3.対象範囲のデータ・調査結果から地域特性を分析する
以上のように、対象範囲のデータや地域特性をすべてまとめた上で、商圏分析を行いましょう。
調査結果から地域特性も見えてくるため、店舗経営を行う場所でどのようなサービスの需要があるかについても見えてくる可能性があります。
商圏分析の方法② 実勢商圏を決める
次に、商圏分析したデータを活用しながら実勢商圏を決定します。
将来的に店舗ビジネスを行う場所を決める大事なフェーズなので、しっかりと分析して決定しましょう。
1.顧客データの収集を行う
まずは顧客データの収集を行います。
顧客に関するデータは、国勢調査データを活用して世帯や人口を把握するのがオススメです。
より詳細なデータを取得したい場合は、居住情報や居住者の属性を調べるとよいですが、これに関しては自分たちで調査しなければならないため、手間がかかります。
しかし、その分よりリアルなデータとなるため、実勢商圏にしようと考えているエリアのデータをひとつずつ入手していき、まとめておきましょう。
2.地図に落とし込み、実勢商圏を割り出す
実勢商圏にしたい場所の顧客データをまとめた後は、実際に実勢商圏を割り出す作業に移ります。
事前に調べておいた顧客データを地図上に落とし込むことで、店舗を利用する可能性の高い年齢層や世帯層が多く分布しているエリアを割り出せます。
加えて、先ほどの公的データの場合と同様にアクセスのしやすさや競合店の存在なども同時にチェックし、総合的な判断で実勢商圏を割り出しましょう。
商圏分析の方法③ 結果を分析してまとめる
商圏分析が終わったら、分析結果をまとめてスタッフ全体で共有します。
上記の方法で集めたデータを分析し、商圏を決定しましょう。
何を目的に商圏を決定するのか明確化し、どのデータをとくに重要視するかも決めておくことが大切です。
たとえば、顧客となりえるユーザーの年齢層を重視する、収入額などの情報を重要視するなどが挙げられます。
また、データ自体はエリアの居住環境や開発状況において大きく変わる可能性もあるため、常に最新の情報をチェックしてデータ自体をアップデートしておきましょう。
商圏分析の活用シーン2例
ここからは、実際に商圏分析を活用するシーンを紹介します。
以下のような状況で、商圏分析の結果が活用されています。
それぞれ解説します。
これから出店する際の候補地選定
商圏分析を行えば、人口や世帯数などの公的データをエリアごとに詳細に把握できます。
このデータを利用することで、新しく店舗を出店する際にターゲットとなる年齢層が多く居住している地域を実勢商圏にできます。
また、町の開発状況による人口の変化まで想定した分析もでき、今後の利益を予測して出店店舗のエリアを割り出すことも可能です。
出店時には多額の初期投資がかかるため、利益を見込めるエリアを割り出せる商圏分析は多くの企業が行っています。
販促活動やキャンペーン時に活用
チラシ、DM、ポスティングといった販促を行う際も商圏分析が役に立ちます。
販促も効率的なアプローチが必要で、闇雲に宣伝を行うだけではあまり効果を得られないままコストだけが掛かってしまうことになりかねません。
しかし、商圏分析を事前に行い店舗周辺に居住している顧客の属性を前もって把握しておけば、もともと店舗に興味を持ってくれる層に販促を行えます。
コストをかけずに積極的に販促を行うためにも、商圏分析を行い顧客データの把握をしておくことが大切です。
店舗ビジネスにおける商圏の現状
ここまでは、商圏の調査方法について解説しましたが、実際に店舗ビジネスにおける商圏の現状はどうなっているのでしょうか。
近年ではネットによる販売が可能となっている業界も多く、これまでは争うことのなかった業種もネット販売を行う店舗として競合するようになりました。
また、その分実際の店舗では商圏が1店舗ごとに小さくなっています。
今度、店舗ビジネスを行う際は、業態や地域別にカテゴリー分けし、より詳細に商圏分析を行いながら、小さくなった商圏の中でより多くの顧客を獲得する施策を講じることが求められています。
まとめ:商圏分析は的確な戦略立案を可能にする
商圏分析を行うことで、どのようなユーザー層や属性に商品を訴求していくのか、どこにお店を構えるのかといった計画を立てることが可能になります。
加えて、公的データを利用しながら、これからの売上予測や近くに立地する競合店舗への対策などの販売戦略の立案もできるため、店舗経営を行う際には商圏分析は必須といえます。
今後はよりデータの分析を洗練していく必要があるため、データを収集するだけでなく、集めたデータの使い方についてもスタッフ間でアップデートしていくことが求められるでしょう。
人流統計データを商圏分析に活用!|混雑統計®
商圏分析に活用できる情報を集めるためには、膨大なデータを収集しなければなりません。
しかし、膨大なデータを集めるには多くのリソースが必要となります。効率よく精度の高い情報収集したい場合におすすめなのが、ゼンリンデータコムの「混雑統計®」です。
混雑統計®は、GPSを利用した高解像度な位置情報データを提供します。
例えばどの交通機関でどこから来ているのか、曜日別の来訪者数や性別、年代等のデータも集められます。
専任担当者が課題をヒアリングし、オーダーメイドで人流データを提供できるため、商圏分析の目的に沿ったデータを取得することが可能です。
また「混雑統計®」は、国勢調査のような全数調査ではなく標本調査です。
時間的に連続したデータを取得できることが特長です。その結果、国勢調査などと比較して、速報性の高いデータの提供が可能です。
商圏分析を緻密に行った上で店舗を経営したい企業は、ぜひ混雑統計®をご利用をご検討ください。
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