
訪日外国人の移動手段をデータで解説!インバウンドを掴む交通の課題と対策
新型コロナウイルスの水際対策が緩和されて以降、訪日外国人観光客の数は急速な回復しています。多くの観光事業者様が、この大きなビジネスチャンスを掴もうと様々なインバウンド対策を進めていることでしょう。
しかし、魅力的な観光コンテンツを用意するだけでは、十分な成果に繋がらないかもしれません。見落とされがちですが、極めて重要なのが「移動手段」の問題です。
どれだけ素晴らしい観光地や店舗があっても、そこまでの行き方が分からなければ、訪れてもらうことはできません。
この記事では、公的なデータを基に訪日外国人観光客の移動手段の実態を解き明かし、彼らが抱える課題と、それをビジネスチャンスに変えるための対策のヒントを解説します。
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訪日外国人の移動手段、トップは「鉄道」

観光庁の「インバウンド消費動向調査」(訪日外国人消費動向調査)によると、日本滞在中に利用した移動手段として、最も多くの訪日外国人が挙げたのは「鉄道・モノレール」でした。
特に、個人旅行客(FIT)においては、鉄道の利用が旅の成否を分ける重要な要素となっています。
都市間・長距離の移動を支える新幹線
東京から京都、大阪から福岡といった都市間の長距離移動において、新幹線は訪日外国人にとって非常に人気の移動手段です。
その理由は、圧倒的な速さと時間の正確性、そして快適性にあります。多くの外国人にとって、日本の新幹線に乗ること自体が、旅の目的の一つにもなっています。
都市内の移動に不可欠なJR・私鉄・地下鉄
東京や大阪といった大都市圏内の移動では、JR、私鉄、地下鉄といった鉄道網が主役となります。数分間隔で運行され、市内の主要な観光地や駅を網羅する鉄道は、効率的に観光するための最も便利な手段として認識されています。
特に、時刻表通りに運行される正確性は、多くの国からの旅行者にとって驚きをもって受け止められています。
Japan Rail Passの利用実態と今後の動向
訪日外国人向けの鉄道パスとして絶大な知名度を誇るのが「Japan Rail Pass」です。JRグループが提供し、一定期間JRの路線が乗り放題になるこのパスは、これまで多くの旅行者に利用されてきました。
しかし、2023年10月の大幅な価格改定により、その利用価値は以前と比べて変化しています。今後は、利用者の旅程によっては、都度きっぷを購入したり、他の周遊パスを利用したりするケースが増える可能性も考慮すべきでしょう。
訪日外国人が日本の交通で抱える3つの課題

日本の交通インフラは世界最高水準ですが、外国人観光客の視点から見ると、多くの「分かりにくさ」や「不便さ」が存在します。
複雑な公共交通網と分かりにくい乗り換え
特に東京や大阪の大都市圏では、JR、私鉄、地下鉄など複数の鉄道会社が乗り入れ、路線網が非常に複雑です。同じ駅名でも乗り換えに長距離を歩かなければならない、乗りたい路線のホームがどこか分からない、といった問題は日常的に発生しています。
日本人でさえ迷うことがあるのですから、土地勘のない外国人にとっては、大きなストレスとなります。
不足する多言語対応
駅の案内表示や券売機、車内アナウンスなどの多言語対応は進んではいるものの、まだ十分とは言えません。特に、地方の路線バスの運転手や、小さな駅の駅員とのコミュニケーションに困難を感じるケースが多く報告されています。
また、交通機関のWebサイトが日本語のみ、あるいは不自然な機械翻訳で情報が分かりにくいといった問題も散見されます。
交通系ICカードや周遊パスの購入・利用の難しさ
SuicaやPASMOといった交通系ICカードは非常に便利ですが、「どこで買えるのか」「どうやってチャージするのか」「自分の国に帰る時にどうやって払い戻すのか」といった情報が不足しており、多くの外国人観光客が戸惑いを感じています。
また、多種多様な周遊パスの中から、自分の旅程に最も適したパスを選ぶことも、事前情報がなければ非常に困難な作業です。
課題を商機に変えるインバウンド対策のヒント

訪日外国人が抱えるこれらの「不便」や「分かりにくさ」は、視点を変えれば、新たなサービスやビジネスチャンスの宝庫です。
課題 | 対策のヒント |
|---|---|
複雑な交通網 | 多言語対応のナビゲーションアプリ、乗り換え案内動画の提供 |
多言語対応の不足 | AI翻訳ツールの導入、ピクトグラム(絵文字)を活用した案内 |
パス・ICカードの利用 | Webサイトでの事前購入・決済システムの導入、利用方法の動画解説 |
キャッシュレス | クレジットカードのタッチ決済やQRコード決済の導入 |
多言語対応の地図・ナビゲーションの提供
複雑な乗り換えを解消するために、自社施設へのアクセス方法を分かりやすく解説する多言語対応の地図や、動画コンテンツを用意することが有効です。
また、複数の交通手段を組み合わせた最適なルートを検索できるナビゲーションアプリやWebサービスを導入・案内することも、顧客満足度の向上に直結します。
直感的で分かりやすい案内サインの整備
言語に頼らなくても理解できる、ピクトグラム(絵文字)を積極的に活用した案内サインは、全ての国からの観光客に有効です。駅や施設内の案内表示を見直し、誰にとっても「一目見れば分かる」デザインを心掛けることが重要です。
WebサイトやSNSでの事前情報発信の強化
旅行前に情報を収集する訪日客は非常に多いです。
自社のWebサイトやSNSアカウントで、最寄り駅からのアクセス方法、お得なきっぷの情報、交通系ICカードの使い方などを、写真や動画を交えて多言語で発信しましょう。こうした事前の情報提供が、訪問のきっかけとなり、来訪時の満足度を高めます。
キャッシュレス決済への対応拡充
多くの国でキャッシュレス化が進んでいる中、日本の地方交通ではまだ現金しか使えない場面が少なくありません。
券売機や窓口、バスの車内などで、クレジットカードのタッチ決済やQRコード決済を導入することは、利便性を大きく向上させ、機会損失を防ぐ上で非常に重要です。
まとめ:移動の課題解決がインバウンド成功の鍵
訪日外国人観光客にとって、「移動」は旅行体験の質を左右する極めて重要な要素です。彼らの多くが日本の発達した鉄道網を旅の主軸としながらも、その複雑さや言語の壁にストレスを感じているという実態が見えてきました。
この「移動の課題」を、自社のサービスや情報発信によって解決すること。それこそが、競合との差別化を図り、インバウンドビジネスを成功に導くための鍵となります。訪日客の視点に立ち、彼らの「困った」に寄り添うことが、これからのインバウンド戦略には不可欠です。
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