
QGISとは?無料で使える高機能 GIS ソフトの特徴と活用方法を解説します
私たちの生活の中には、地図や位置情報が自然と溶け込んでいます。
「このお店はどこにあるのだろう?」「この地域の特性は何だろう?」といった疑問を解決するための有力な手段の一つが、GIS(地理情報システム)です。
しかし、高機能なGISソフトウェアは専門的で高価なものが多く、導入のハードルを感じているからも少なくありません。
そんな中で、近年注目を集めているのが「QGIS」です。QGISは、誰でも無料で利用できるオープンソースのGISソフトウェアでありながら、商用のソフトウェアに引けを取らない豊富な機能と高い拡張性を備えています。
この記事では、「QGISとは何か?」という基本的な疑問から、その具体的な特徴、メリット・デメリット、さらには実際の活用事例や学習方法に至るまで、QGISに関する情報を幅広く、分かりやすくご紹介します。
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目次[非表示]
QGISとは?無料で使えるGISソフトウェアの概要
QGIS(キュージーアイエス)は、地理空間データの管理やを、地図作成、空間分析を行うためのGIS(Geographic Information System:地理情報システム)ソフトウェアの一つです。
最大の特徴は、オープンソースソフトウェアとして開発・提供されており、誰でも無料で使用できる点にあります。
これにより、高価な商用GISソフトウェアを導入することが難しい個人や組織でも、高度なGIS機能を利用することが可能になります。
QGISの基本的な定義と特徴
QGISは、地理空間データの表示・編集・分析・地図作成といったGISに必要な基本機能を幅広く備えています。
ユーザーはベクトルデータ(点、線、ポリゴン)やラスターデータ(衛星画像や航空写真など)など、様々な形式の地理空間情報を扱うことができます。
また、直感的なユーザーインターフェースを備え、世界中の多くの言語に対応していることも大きな特徴です。
オープンソースソフトウェアとしてのQGIS
QGISがオープンソースであるということは、単に無料であるだけでなく、ソフトウェアのソースコードが公開されており、誰でも自由に改良や再配布を行うことができることを意味します。
この仕組みにより、世界中の開発者やユーザーからなる活発なコミュニティが存在し、日々ソフトウェアの改善や新機能の追加、バグ修正が行われています。
特定の企業の方針に縛られることなく、ユーザーのニーズに応じた発展が期待できる点がオープンソースならではの大きなメリットです。
QGISが多くのユーザーに選ばれる理由
QGISは、政府機関、研究機関、教育機関、企業、そして個人のユーザーに至るまで幅広い層に利用されています。
主な理由としては、無料でありながら商用ソフトウェアに匹敵する豊富な機能、Windows、macOS、Linuxといった多様なオペレーティングシステムで動作する柔軟性、そしてユーザー自身が機能を追加できる拡張性の高さなどが挙げられます。
QGISの基本情報
項目 | 内容 |
正式名称 | QGIS (旧称: Quantum GIS) |
ライセンス | GNU General Public License |
利用料金 | 無料 |
対応OS | Windows, macOS, Linux, Unix, Android (一部) |
主な機能 | データ表示・編集、空間分析、地図作成、データ形式変換など |
開発コミュニティ | 国際的なボランティア開発者とユーザーコミュニティ |
QGISの主なメリット
QGISを活用することでは得られるメリットは多岐にわたります。
ここでは、特に注目すべきポイントをいくつか紹介します。
コストを抑えてGISを導入できる(無料)
QGISの最大のメリットは、誰でも無料で利用できることです。
商用GISソフトは高機能ですが、ライセンス費用が高額になるケースが多く、導入のハードルが高いケースもあります。
QGISなら初期費用やランニングコストも不要で、すぐにGISの活用を始められます。
これは特に、予算が限られている中小企業、教育機関、NPOなどにとって大きなメリットとなります。
多様なOSで利用可能なクロスプラットフォーム
QGISは、Windows、macOS、Linuxといった主要なOSに対応しており、ユーザーは自身の利用環境に合わせてQGISを導入できます。
異なるOSを使用するチームでも、データの共有や共同作業がスムーズに行えるというもの利点です。
豊富な機能と高い拡張性(プラグイン)
QGISは基本機能だけでも非常に多くのGIS業務に対応できますが、プラグインを追加することでさらに機能を拡張できます。
世界中の開発者が提供するプラグインには、特定の分析手法や作業の自動化、他ツールとの連携など、さまざまなニーズに応えるものが揃っており、業務に合わせた柔軟なカスタマイズが可能です。
活発なコミュニティと情報源の多さ
QGISには世界中に広がる活発なユーザーと開発者コミュニティがあります。
このネットワークを通じて、疑問の解決や最新情報を得たり、知識を共有したりすることができます。
公式ドキュメントやチュートリアル、オンラインフォーラム、メーリングリスト、さらには多くのユーザーが公開しているブログ記事や動画など、学習リソースが豊富な点も大きな魅力です。
QGISを利用する上でのデメリットや注意点
多くのメリットがあるQGISですが、利用する上でいくつか注意しておきたい点もあります。
公式の日本語サポート体制の現状
QGISはオープンソースソフトであるため、商用ソフトのような企業による公式の電話サポートや個別対応は基本的にありません。
問題が発生した場合は、オンラインのドキュメントやコミュニティフォーラムなどを活用して、自己解決が基本となります。
ただし、日本国内にもQGISのユーザーコミュニティや、有償でサポートやコンサルティングを提供する企業は存在します。
習得にある程度の学習時間が必要
QGISは高機能である反面、すべての機能を使いこなすにはある程度の学習時間が必要です。
特にGISソフトウェアに初めて触れるユーザーにとっては、GISの基本的な概念やQGIS特有の操作方法に慣れるまで時間がかかるかもしれません。
ただし、前述の通り豊富な学習リソースが存在するため、計画的に学習を進めれば十分に活用できるようになります。
一部の高度な専門機能の比較
一般的なGIS業務には商用ソフトウェアと遜色ない機能を有していますが、非常に高度で専門的な3D解析や、特定の商用クラウドGISとのシームレスな連携といった面では、専用の商用ソフトウェアに分がある場合もあります。
導入前に、自身の目的とする作業がQGISで十分にカバーできるかを確認することが重要です。
QGISでできること

QGISは多機能なGISソフトウェアであり、様々な用途で活用できます。
ここでは、代表的な機能を紹介します。
多様な地理空間データの表示と編集
QGISは、シェープファイル、GeoJSON、KML、GPX、CSVといった一般的なベクトルデータ形式や、GeoTIFF、JPEGといったラスターデータ形式など、非常に多くのデータフォーマットに対応しています。
これらのデータを地図上に表示し、属性情報を確認したり、新しい図形を作成・編集したり、既存のデータを修正したりすることが可能です。
空間的な分析機能(バッファ、オーバーレイなど)
GISの強力な機能の一つである空間分析もQGISで行うことができます。
例えば、特定の地点からの距離に基づいて影響範囲を作成する「バッファ分析」、複数のレイヤーを重ね合わせて新しい情報を得る「オーバーレイ分析」、地形データから傾斜や標高を解析する機能などがあります。
これにより、立地条件の評価や災害リスク分析など、様々な分析が可能になります。
効果的な地図の作成とレイアウト
分析結果や地理空間情報を分かりやすく伝えるためには、質の高い地図を作成することが重要です。
QGISには、地図の縮尺、方位、凡例、タイトルなどを自由に配置できる「プリントレイアウト」機能が備わっています。
これにより、論文や報告書、プレゼンテーション資料などに使用できる、見栄えの良い地図を効率的に作成できます。
外部データとの連携と活用
QGISは、PostGISなどの空間データベースや、WMS(Web Map Service)、WFS(Web Feature Service)といった標準的なウェブサービスとの連携も可能です。
これにより、組織内で共有されているデータベースにアクセスしたり、インターネット上で公開されている地図情報を利用したりすることができます。
また、人流データや統計データなど、他の種類のデータと地理空間情報を組み合わせて分析することも可能です。
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QGISの具体的な活用事例

QGISは、その汎用性と拡張性の高さから、非常に幅広い分野で活用されています。
都市計画やまちづくり分野での活用
都市計画においては、土地利用の現況分析、将来の都市構造のシミュレーション、公共施設の配置計画、景観計画の策定などにQGISが利用されます。
住民参加型のまちづくりワークショップで、地域の課題や魅力を地図上に可視化し、合意形成を支援するツールとしても有効です。
環境調査や防災計画での活用
河川の氾濫シミュレーション、土砂災害危険箇所の特定、野生生物の生息域分析、植生変化のモニタリングなど、環境アセスメントや保全計画策定にQGISが活用されています。
また、避難経路の検討、避難所の適正配置、ハザードマップの作成といった防災計画にも不可欠なツールです。
ビジネス(エリアマーケティングなど)での活用
小売業における新規出店計画のための商圏分析、顧客データの地図上への可視化によるターゲットエリアの特定、物流ルートの最適化など、ビジネス分野でもQGISの活用が進んでいます。
人流データをQGISに取り込み、時間帯や属性ごとの人の動きを分析することで、より効果的なマーケティング戦略を立案することも可能です。
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教育・研究分野での活用
大学や研究機関では、地理学、環境学、都市工学、考古学など、様々な分野の教育・研究活動でQGISが利用されています。
学生は無償でGISを学ぶことができ、研究者は自身の研究テーマに合わせた高度な空間分析を行うことができます。
オープンソースであるため、研究成果として開発した分析手法をプラグインとして共有することも容易です。
まとめ
QGISは無料で使える高機能なオープンソースGISソフトウェアで、地理空間データの表示・編集・分析から地図作成まで幅広く対応可能です。初心者から専門家まで利用できる学習リソースも豊富です。
ZENRIN Maps APIをQGISと連携させることで、ルート検索・案内、気象データ取得、建物ターゲティングなどの高度な機能が利用可能になります。建設業、不動産業、観光業、製造業など多様な業界で業務効率化や課題解決に貢献します。WebGISに詳しくない方でも安心して導入相談が可能です。
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