
新機能リリース! Google Cloud Next ’23 発表総まとめ|Google Maps Platform 最新情報
2023年8月29〜31日(太平洋時間)サンフランシスコにて、Google Cloudの旗艦イベント「Google Cloud Next ’23」が開催されました。
基調講演、セッション、ライブデモなどの多彩なプログラムが行われた中で、本記事では「Google Maps Platform」に関連するプロダクトアップデート情報に絞って解説いたします。
目次[非表示]
- 1.新APIのご紹介
- 2.Air Quality API(一般提供)
- 2.1.Air Quality APIの仕組み
- 2.2.取得可能な情報
- 2.3.ユースケース
- 2.4.Air Quality API詳細情報
- 3.Solar API(一般提供)
- 3.1.Solar APIの仕組み
- 3.2.取得可能な情報
- 3.3.ユースケース
- 3.4.Solar API詳細情報
- 4.Pollen API(Google Maps Platformをすでにご利用のお客様向けにPreview版提供)★Update★ 2023年10月27日(太平洋時間)より一般提供開始
- 4.1.Pollen APIの仕組み
- 4.2.取得可能な情報
- 4.3.ユースケース
- 4.4.Pollen API詳細情報
- 5.まとめ
- 6.Google Maps Platform導入のご相談はゼンリンデータコムへ!
新APIのご紹介
Google Cloud Next ’23にて、「Google Maps Platform」から環境に関連した3つの新APIが発表されました。
API名 |
提供状況 |
概要 |
一般提供 |
大気質指数 (AQI)や大気の汚染レベル等を提供 |
|
一般提供 |
建物の屋根の日照量や太陽光パネルのサイズ等を提供 |
|
Google Maps Platform をすでにご利用のお客様向けにPreview版提供 ★Update★ 2023年10月27日(太平洋時間)より一般提供開始 |
花粉の飛散量や植物アレルゲン情報を提供 |
また、上記の環境APIリリースに伴い、既存のMaps/Routes/PlacesのAPIカテゴリーに”Environment”が追加されています。
次項から、それぞれのAPIについて詳細に解説していきます。
Air Quality API(一般提供)
大気汚染は人々の生活や健康に多大な影響を与える環境リスクの一つです。
「Air Quality API」は大気質に関する情報を提供するAPIであり、大気質の情報に基づき意思決定を行うことを目的として、70以上の大気質指数 (AQI)、汚染物質、健康上の推奨事項など、特定の場所の大気質データを提供する機能の提供を開始しています。
【対応地域】
日本を含む世界100か国以上
【ご利用料金】
SKU: Air Quality
5.00 USD / 1,000リクエスト~
Air Quality APIの仕組み
大気汚染物質は風に乗って遠くまで運ばれたり、雨や雪などの降水物によって地表に沈着することがあります。このように、大気汚染は地球上の広い範囲に広がる流動性の高い現象のため、1つの情報源が利用できなくなった場合でも情報を収集し続けられるよう、複数のデータソースで情報を収集する必要があります。
そのためAir Quality APIでは、政府の観測所、センサー、モデル、気象データ、衛星、土地被覆、リアルタイムの交通情報等の情報を組み合わせ、毎時数テラバイトのデータを検証・整理することで、信頼性の高い大気質情報の提供を実現しています。
取得可能な情報
Air Quality APIによって取得できる情報は以下の3つとなります。
①現在の状況:リアルタイムな時間ごとの大気質情報
②時間ごとの履歴:特定の場所/期間における最大720時間(30日間)の大気質の履歴
・70以上の異なる大気質指数 (AQI)とカテゴリー
・大気中の粒子とガスの尺度を示す汚染レベル、汚染物質の詳細
・現在の大気質の状態に対して推奨される健康上の推奨事項
③ヒートマップタイル:大気質指数 (AQI)と汚染物質を色分けしたタイル画像
ユースケース
【自動車業界】
クリーンなルート選択や、車内の空気処理システムの自動化などに役立つでしょう。
具体的にいうと、エアコンをオンにするか窓を閉めて、道路上の有害な大気質からの健康被害を最小限に抑えるよう運転手へアクションを促すなどの活用が考えられます。
Air Quality API詳細情報
詳細な仕様や料金、デモサイト等のリンクを記載しています。
■GMP Webサイト紹介ページ
https://mapsplatform.google.com/intl/ja/maps-products/air-quality/
■詳細仕様
https://developers.google.com/maps/documentation/air-quality
■ご利用料金
https://developers.google.com/maps/documentation/air-quality/usage-and-billing#air-quality
■GMP公式ブログ記事での発表
https://cloud.google.com/blog/ja/products/maps-platform/introducing-air-quality-api-promoting-resilience-changing-climate
■デモサイト
https://storage.googleapis.com/gmp-maps-demos/airquality/index.html#intro
Solar API(一般提供)
Solar APIの例。屋上の太陽と日陰を平均して表示
世界的なエネルギー危機や電力価格の上昇等、再生可能エネルギーの活用は以前に増して注目を集めています。
「Solar API」は、クリーンで再生可能な太陽光エネルギーへの移行を加速することを目的として、3億2,000万以上※1 の重要な建物、屋根、日陰、パネル構成データを提供する機能です。
これまで現地訪問の上、設置角度やサイズ、シュミレーション等を実施していたところを、本APIを活用することでPC上で簡単に試算できるようになります。
【対応地域】
日本を含む世界40か国
【ご利用料金】
・SKU: Solar Building Insights
10.00 USD / 1,000リクエスト~
・SKU: Solar Data Layers
75.00 USD /1,000リクエスト~
※1:2023年8月末時点の情報です
Solar APIの仕組み
Solar APIは、Googleが世界中の太陽光発電業界と協力し、テスト・開発に取り組んだデータソリューションです。
Google Earthの画像を利用した太陽光発電での節電量を試算する Project Sunroof基盤の上にAPIを構築し、AIを活用して機能を拡張したことで、一般公開されているLIDARデータや衛星由来の3Dモデルよりも正確なデータと分析情報を提供しています。
取得可能な情報
Solar APIによって取得できる情報は以下の2つとなります。
①建物の洞察:建物の位置、寸法、太陽光発電の可能性に関する洞察情報
・ソーラーパネルのサイズ、年間日照量、カーボンオフセット係数などを含む太陽光発電の可能性
・ソーラーパネルの位置、方向、エネルギー生成量
・最適な太陽光発電レイアウトの月々の推定エネルギー料金とそれに伴うコストとメリット※USのみ対応
・太陽光発電設置の見積もりに関連する財務情報※USのみ対応
※米国以外の地域における太陽光発電の費用と削減額を計算する場合はこちらを参照
②データレイヤー:指定された場所の周囲地域の詳細な太陽光情報データセット(以下を含む17個のダウンロード可能なTIFFファイル)
・DSM (数値表層モデル)
・RGB複合レイヤー (航空画像)
・解析の境界を特定するマスクレイヤー
・年/月毎の屋根の日照またはエネルギー収率
・時間毎の屋根の日陰(24時間)
▲データレイヤーエンドポイントからの画像データ
ユースケース
【太陽光発電設置業者】
太陽光発電の設置場所の選定や優先順位付け、発電量などのシュミレーションを用いた提案書の作成等に役立てられるだけではなく、現地訪問の手間が省けるため業務効率の向上にもつながります。
Solar API詳細情報
詳細な仕様や料金、デモサイト等のリンクを記載しています。
■GMP Webサイト紹介ページ
https://mapsplatform.google.com/intl/ja/maps-products/solar/
■詳細仕様
https://developers.google.com/maps/documentation/solar
■ご利用料金
https://developers.google.com/maps/documentation/solar/usage-and-billing
■GMP公式ブログ記事での発表
https://cloud.google.com/blog/ja/products/maps-platform/powering-future-our-new-solar-api
■デモサイト
https://storage.googleapis.com/gmp-maps-demos/solar/index.html#intro
■YouTube動画
https://www.youtube.com/watch?v=V_r2EQRAA3U&t=2s
Pollen API(Google Maps Platformをすでにご利用のお客様向けにPreview版提供)★Update★ 2023年10月27日(太平洋時間)より一般提供開始
「Pollen API」は、人々がアレルギーの原因となる花粉にさらされるリスクを軽減し、より適切な情報に基づき日々の意思決定を行えることを目的として、局所的な花粉数データ、ヒートマップ、詳細な植物アレルゲン情報、健康被害を抑えるための実用的なヒントを提供する機能です。
【対応地域】
日本を含む世界65か国以上 ※現在はGoogle Maps Platformをすでにご利用のお客様限定で利用可能 ★Update★ 2023年10月27日(太平洋時間)より一般提供開始
Pollen APIの仕組み
従来の花粉の種類・飛散データは手動で、アレルギーを持つ方を支援するには情報として遅く活用が難しい傾向にありました。
そこでPollen APIは、1平方キロメートルあたりの花粉の季節性と1日あたりの量を計算するモデルを利用し、最大5日間の予測や15種類の植物種をサポートしています。
このモデルでは、気候データや植物ごとの年間花粉生成量、陸地表面が何で覆われているか等のさまざまな入力情報を使用して、地域の花粉飛散量とばく露リスクに関する信頼性の高い予測値を提供しています。
取得可能な情報
Pollen APIによって取得できる情報は以下の3つとなります。
①現在の状況
・世界共通の花粉指数:さまざまな地域における花粉レベルを比較するための指数
・花粉の種類:世界中における最大15種の樹木、草、雑草の花粉に関する詳細情報
★Update★ 2023年11月現在、日本でサポートされている花粉の種類(PollenType)は草(GRASS)のみとなります。
・詳細な植物アレルゲン情報:種類、科名、季節、形状、色、交差反応、写真などの詳細情報
・パーソナライズされた推奨事項:さまざまなアレルゲンに対処する方法についての洞察
②花粉予測:特定の場所の最大5日間の毎日の花粉予測
③色分けされたヒートマップ:花粉レベルの地図上での視覚的な表示
ユースケース
【旅行業界】
花粉の飛散予報を旅行アプリやウェブサイトに統合することで、花粉アレルギーをお持ちの方の旅行計画の支援が可能です。
例えば、花粉の飛散が少ない日程や旅先をレコメンドし、安心して旅していただけるサポートを行う等が考えられます。
【ヘルスケア業界】
花粉の飛散予測のデータを活用し、アレルギー薬の製造や供給量の管理、需要予測等に活用が考えられます。
Pollen API詳細情報
詳細な仕様や料金、デモサイト等のリンクを記載しています
■GMP Webサイト紹介ページ
https://mapsplatform.google.com/maps-products/pollen/
■詳細仕様
※未公開 ★Update★ https://developers.google.com/maps/documentation/pollen
■ご利用料金
※未公開(一般提供開始のスケジュールおよび料金も未定)
★Update★ https://developers.google.com/maps/documentation/pollen/usage-and-billing
■GMP公式ブログ記事での発表
https://cloud.google.com/blog/ja/products/maps-platform/announcing-pollen-api-providing-actionable-info-about-airborne-pollen-levels-worldwide
■デモサイト
https://storage.googleapis.com/gmp-maps-demos/pollen/index.html#intro
■YouTube動画
https://www.youtube.com/watch?v=9jVTdxDEFxs
★Update★ 最新の対応地域および対応する花粉の種類については下記のドキュメントページをご確認ください
■対応地域
https://developers.google.com/maps/documentation/pollen/coverage
まとめ
本コラムでは「Google Cloud Next ’23」において発表されたGoogle Maps Platformの新APIについて解説しました。
気候変動や自然環境の変化が私たちに与える影響は、年々深刻になっています。
新APIは「温室効果ガス排出量の削減に寄与するクリーンなエネルギー活用」「人体に与える環境リスクを最小限に留める」等、環境の変化やサステナブルな社会へ対応していくために役立つ情報が得られる革新的な機能と言えます。
今後どのように活用され、サービス展開や人々の行動変容を起こしていくのか、引き続き注目していきたいと思います。
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