<いつもNAVI API/SDK × MATLAB®/Simulink🄬 活用事例>
大幅な業務効率化を実現!

「走る歓び」を追求するADAS/ADシミュレーション

マツダ株式会社 五藤様
マツダ株式会社
会社名 マツダ株式会社 
活用分野 ADAS/AD開発のための
バーチャルシミュレーション
活用期間・利用人数 1年4ヵ月 2名
※2024年2月現在
活用サービス いつもNAVI API/SDK × MATLAB®/Simulink🄬
マツダ株式会社は1920年創業、広島県に本社を置く自動車メーカーです。
優れた燃費性能や走行性能はもちろんのこと、乗り心地や不快感の減少にこだわった「ひと中心」のクルマづくりを掲げ高い評価を得ている企業です。

2022年には改正された道路運送車両法の保安基準に適合した「ドライバー異常時対応システム(DEA)」を開発しCX-60に日本市場で初めて搭載しています。

今回は同社の五藤様に「ADAS/AD※1 開発のためのバーチャルシミュレーション」にご活用いただいている「いつもNAVI API」と「ゼンリン地図データ(shape形式)」について、活用に至る経緯や導入効果を伺いました。

※1 ADAS/AD:先進運転支援・自動運転システム
導入前の課題

リアルな道路モデルを作成し、ADAS/ADの仕様検討・シミュレーションしたい 

 

選定理由

・国内の道路情報を網羅的にサポートしており、車線や合流道路の再現ができる
・営業担当者の豊富な知見とサポートがある

 

導入の効果 ・道路モデル作成効率を従来比で1800倍に改善し、網羅的なシミュレーションが可能となった
・道路形状で検証シーンを絞り込み、効率的にシミュレーションをすることが可能となった

導入前の課題 リアルな道路モデルをシミュレーションに活用したい

―御社の事業内容と五藤様の主な業務内容やお役割について教えてください

五藤氏:当社は2020年に創立100周年迎えた広島発祥の自動車会社です。我々は「ひと中心」の思想に基づき、人間研究を積み重ねて、人の五感で感じる「走る歓び」を追求しています。ひとの研究に基づいた高度運転支援技術の開発を継続し、安全・安心なクルマづくりを進めています。

私は、先進安全技術開発グループに所属しており、ドライバーが安心して運転を楽しめるADAS/ADのためのシミュレーション開発環境構築を担っています。
五藤氏
マツダ株式会社 統合制御システム開発本部 先進安全車両開発部 先進安全技術開発グループ 五藤様
どのような点に気を配りシミュレーションを行う必要があるのでしょうか

五藤氏:
私共は自動車メーカーですので、サプライヤー様に要求仕様を明確に伝える必要があります。求める機能に合わせて戦略を練り、仕様やシミュレーションの検証レベルを決めていく必要があります。

安全性については、どこの自動車メーカー様も重点を置いていると思いますが、当社は「人はどのような運転に快適さを感じ、どのような運転に不快さを感じるのか」ということを徹底的に研究・追求しています。

例えば、ブレーキに関しては、最後の最後は事故回避の自動ブレーキが掛かりますが、それ以前の段階ではブレーキを促す警報が鳴ります。その警報のタイミングについても「自分で踏むつもりだったのに、先に警報がなって不快だ」と思われるようなシステムを作ってしまったらエンジニアとしては負けだと思います。その不快感を減らすためには、速度の変化率を抑制する仕様検討やシミュレーションが必要となるわけです。

―ADAS/AD技術のシミュレーションを行ううえで、御社でお持ちだった課題は何でしたか

五藤氏:シミュレーション環境に道路モデルを作る際、手作業だとカーブや合流、勾配など作れる形状に限界がありました。実際の道路を模擬した適正なモデルを作成するという難しい課題がありました。
さらに、どれくらいの道路モデルを作成すれば十分に検証できた、という点についても検討する必要がありました。

選定理由  国内における道路情報の網羅性 × 車線・合流データが要件とマッチ

―課題としてお持ちだった道路モデルの作成にゼンリンデータコムの「いつもNAVI API」をご利用いただいておりますが、ご利用のきっかけは何でしたか?

五藤氏:他の地図をインポートして利用していましたが、道路のつながりがない、道路形状の不足でのシミュレーション失敗、道路カバー率の低さなど、全体的に物足りなさを感じていました。
「いつもNAVI API」は一般道も含め日本全国をカバーしており、我々のシミュレーション環境のデータソースとして最適と考えました。

─「ゼンリン地図データ(shape形式)」もご利用いただいておりますが、併用されている理由をお聞かせいただけますか

五藤氏:「いつもNAVI API」は勾配や橋などを再現するために必要な“道路標高データ”がありますが、車線数、合流データなどが不足していました。

そんな状況で担当者様に、我々のやりたいこと、困りごとをご相談したところ、“合流点の開始・終了点”や“車線に関する情報”をカバーしている「ゼンリン地図データ(shape形式)」の組み合わせをご提案いただき、導入に至りました。

2つのデータを併用することで、比較的低コストで日本全国の合流路をリアルに再現できるようになりました。これは大きな進歩です。

導入してからもゼンリンデータコム担当者様のサポートは手厚く、我々の困りごと、リクエストに対し、期待値を超えるご提案をいただきました。

商品の提供だけでなく、課題に合わせてのフォローアップや手法を含めいつも丁重なご支援をいただいています。

▼「いつもNAVI API」と「ゼンリン図データ(shape形式)」の比較
 
項目 いつもNAVI API  ゼンリン地図データ

ファイル形式

JSON形式 shape形式
情報鮮度 最新情報に自動更新 取得時点の情報のみ
道路中心点群
道路標高
道路形状、長さ
道路名称
一方通行 or 双方向通行 / 道路進行方向     
一時停止線の位置情報
最高速度情報
事故多発地帯
高さ、幅、重量制限
車線数
車線幅員
合流始点・終点
信号機情報
備考 必要な情報を必要なタイミングで取得可能 リッチな情報を広域で取得可。ただし狭域のモデリングには不向き

▼「いつもNAVI API」「ゼンリン地図データ(shape形式)」を利用した道路モデルの例
上:引用元 国土地理院「空中写真」
右上:いつもNAVI API単体で道路モデル生成 
右下:ゼンリン地図データ(shape形式)で補正(MATLAB/ADTを用いて図を作成)

導入の効果  道路モデル作成・ADAS/AD検証にかかる工数の大幅削減に成功

―「いつもNAVI API」「ゼンリン地図データ(shape形式)」をご導入いただき、得られた効果についてお聞かせください

五藤氏:1800倍の率化をすることができました。これまで道路モデルを1つ作成するのに1時間かかっていましたが、今では、10分で300個のモデルが作成できています。
さらに、日本全国の道路を網羅しているため、モデル形状をパラメータから検索できるのが非常に効率的です。いつもNAVI APIでシナリオから道路形状で絞り込んでシミュレーションすることが可能になりました。

そして「勾配のある合流地点」や「分流」の道路モデルを作成できるようになったことで、加速・減速と車線変更の検証が可能になりました。

―今後の弊社への要望や期待することはどのようなことでしょうか

五藤氏:2つあります。
1つ目は「いつもNAVI API」「ゼンリン地図データ(shape形式)」2つのデータを利用しているため、同じ場所のデータのリンクが容易になると嬉しいです。
それぞれのデータで車線をリンクさせるコードを持っているのですが、コードが異なり連携が難しいケースがある、というのが現状です。

2つ目は、将来的により精度の高い検証を行っていくために、道路環境まで再現できるデータが欲しいということです。
現状、道路標識、ゼブラゾーン、防音壁などがないため、シミュレーション上ではADAS/ADの振舞いや、他車両の動きを再現できていません。

製品のアップデートを期待しています。

―最後に御社のスローガン「走る歓び」と「自動運転」は一見相反するように思えるのですが、開発者として実現したい「自動運転技術による走る歓び」はどのようなものだとお考えですか?

五藤氏:マツダは、自動運転技術がドライバーに置き換わるのではなくサポートする存在であるべきだと考えております。

ドライバーが正常な時は、ドライバーが能力を最大限に発揮することを助け、運転することで走る歓びをお届けする

その裏でクルマはドライバーの状態を常時検知し、クルマがいつでも運転可能な状態でスタンバイしており、万が一のミスや運転出来ないと判断した場合にはクルマがオーバーライドし、周囲を含め安全な状態を確保する。
これにより、ドライバーと周囲の人にいつでも安全・安心をお届けできると考えております。

将来の自動運転のための技術開発はしっかりと推進しながらも、まずはこの考え方に沿って、お客さまへの価値提供を進めて参ります。

つもNAVI API/SDK × MATLAB®/Simulink🄬」について

いつもNAVI API/SDK はMATLAB®/Simulink®と連携しており、ゼンリンの道路情報を簡単に取り込み、自由度高く処理や分析が可能になります。
例えば、走行ルートの道路標高を取得し、燃費 / 電費を算出する、といった使い方も可能です。
まずはお気軽にお問い合わせ、ご相談ください。

「いつもNAVI API/SDK × MATLAB®/Simulink®」のサービス詳細、導入についてお気軽にお問い合わせください。

\ まずはお気軽に/