<ドローンスナップ 活用事例>
ローコストで誰でも再現可能な点検を実現!
ドローンを活用したプラント点検実施に向けた技術検証

レゾナック
会社名  株式会社レゾナック
活用分野  プラント点検の技術検証
活用サービス ドローンスナップ
株式会社レゾナックは2023年1月1日に昭和電工と昭和電工マテリアルズ(旧日立化成)が統合して誕生した事業会社で、本社は東京ですが全国各地に支店、生産拠点、研究開発拠点を持つ化学メーカーです。「化学」と「素材」の技術を融合し、半導体・電子材料、モビリティ、素材、ケミカルなど幅広い分野で社会課題の解決に貢献する製品・サービスを提供しています。
今回は同社と行った「ドローンを活用したプラント点検」の実証実験で活用いただいた「ドローンスナップ」について、所感や効果を伺いました。

※「ドローンスナップ」は株式会社三井E&S より提供するアプリケーションです
※2024年2月時点の情報です
技術検証前の課題

プラント設備点検を目視で行っているが、設備が広く高所も多いので、網羅性と安全性の確保及び効率化を図りたい。また、長期未点検になる設備が出てきており網羅的に点検を行いたい 

 

選定理由

事前にPC上で設定することで、誰でも同じように点検写真を撮影することができるため、ドローン点検を外部に委託することなく、社内業務の一部として実装することができることが期待できたため

 

技術検証の効果 プラントの3Dモデルの作成→点検までをスムーズに実施、アプリ上で想定した予定画像と同じアングルで自動撮影ができた。また懸念していた飛行の安全性についても十分確認できて今後自社の点検業務に実装できると確信した

技術検証前の課題 プラント点検における網羅性の担保とコスト削減

―皆様の主な業務内容やお役割について教えてください

滝波氏:私共は大分コンビナートで大分現場力変革推進グループのDX推進チームに所属しております。
具体的な業務内容としては、ドローンやRPA、チャットボットの導入や事務作業の効率化など、現場力を向上させることを目的に日々業務に取り組んでいます。

山田さん、高森さんは、製造業務における計装と兼務しておりまして、現場にも近いからこそ役立ちそうな技術やツールを探しサポートできています。

※計装:生産工程を測定・制御するための技術
株式会社レゾナック滝波様
株式会社レゾナック 石油化学事業部大分コンビナート
大分現場力変革推進グループ  グループリーダー 滝波様
日常的に行っているプラント点検の業務内容とお持ちの課題について教えてください

山田氏:基本的に法令で決められた項目に沿ってプラント点検を行っております。
設備や機器の健全性を外面から目視で点検し、腐食等の異常があれば専門業者を呼んでしっかり判定していただく流れを取っています。

ただし実際は設備が多いため、法令で点検が定められていない設備については点検が漏れ、長期未点検となるケースがありました
そこでどのように網羅的に設備点検を行うか、ということは課題として持っていました。

滝波氏:また、高所が多いため足場を組んで状態を確認するのですが、費用が何百万もかさみますし、足場を組んでも結果的に補修が不要なケースもあります。
本当に補修が必要な場所に足場を組みたいという課題もありました。
異常箇所を洗い出したうえで足場が組めるのであれば、効率的且つコストの最適化にもつながるということです。

加えて、当社では4年に一度定修を実施しており、2か月ほど全プラントを止め集中的にすべての設備を点検・大規模補修を行っています。

点検・補修期間が延びてしまうと生産にも影響が出てしまうため、なるべくその期間に作業を集中させないように普段から平準的に点検を行うことが必要と考えておりました。
─これまでドローンを使った点検を検討されたことはございましたか?

山田氏:課題解決のため2019年からドローンを導入する取り組みを行ってきました。

当初メンバーはドローンを1度も触ったことのない状態でしたので、勝手が分からずメーカーさんにお願いして1年に1度の頻度でPoCを行っておりました。

PoCの内容としてはドローンを飛ばして外面の状態を確認する、音波で厚さを測るなど様々です。いずれも1回実施するのに相当なコストがかかり、またプロのドローン操縦士でないと点検が難しく、技量により成果が変わるという事も分かりました。
また、ドローンに関する法整備の問題や落下する危険性があるのではないかという不安も拭えず、実導入には至りませんでした。

原氏:PoCを通じて、ドローン点検はコストをかければこういうことができるのだなということを理解し、さらにドローンを活用するうえでの課題が見えていった感じです。
株式会社レゾナック山田様
株式会社レゾナック 石油化学事業部大分コンビナート
大分現場力変革推進グループ 山田様

選定理由  ドローン点検を自社で気軽に行えると感じた

―ドローンスナップで実証実験を行おうと考えたきっかけは何だったのでしょうか?

滝波氏:メーカー様とのドローン活用の実証実験を経て、外部委託による手続きの手間とコスト、また気軽に点検に活用できない事に課題を感じておりました。

そんな折、大分県の工業振興課が開催している定例会に出席した際に三井E&Sとゼンリンデータコムが「ドローンスナップ」の紹介をしていて、色々と質問をしたことがきっかけで実証実験に進みました。
「ドローンスナップ」は、事前に点検対象のプラント設備全体を3Dモデル化してアプリに取り込み、アプリ上で事前に点検箇所を設定すれば、ドローンが自動で飛行して撮影してきてくれるため、操縦の心配もなく点検ができる点にメリットを感じました。

また当社のプラント設備は増改築を繰り返しているため、現在の3Dモデルが存在していませんでした。
しかし地図データをもとにドローンスナップで飛行ルートを作成し、写真測量で点検に耐えうる十分な3Dモデルが完成しました。
ドローン飛行によりプラントの3Dモデル化を実現。機材構成による3Dモデルのクオリティ検証も実施

実証実験の効果  点検業務・品質の平準化を実感

―実際に2023年11月、12月に実施した実証実験の時の所感を教えてください

滝波氏:最初に「PC上で描いたルート通りに飛行します」という説明は受けていたのですが、意図しない方向に飛行したり、防爆エリアに墜落してしまったら…という不安はありました。

ただ実際にやってみると、ドローンスナップで防爆エリアから距離をとった飛行ルートの作成が容易にでき、さらに想定していた飛行ルートをライン通りにほぼずれずに飛行していたので、相当精度が高いと実感できました。また、大型扇風機で風を当てても安定してホバリングしていたのを見まして、安定性も確認できましたね。

またドローンを飛ばしてこんなに簡単に3Dモデルが作成できるのかということへの驚きや、実際に撮った写真が予定画像とほぼ同じ画角の画像でしたので、高い実用性を感じました

実証を経て、外部に委託をせずとも自分たちでもドローン点検ができる。点検業務がこれからドローンなどの機械に置き換わっていくことが十分あり得るなと実感しました。
飛行予定ルートと、アプリ上での予定画像と撮影画像の比較
滝波氏:ほかにもゼンリンデータコムの担当者がドローン飛行に関する高度な知識を持っていて、且つユーザー目線で提案・サポートいただいたのがとても良かったです。
ドローンをこの現場で使えるようにしたい、という熱意が伝わってきました。

山田氏:今回は三井E&Sとゼンリンデータコムの両社がワンチームになって、安全面では三井E&S、技術の詳細についてはゼンリンデータコムと皆さん役割をもってキビキビ動かれていてバランスが取れているなと思いました。

原氏:加えて私共は技術畑の出身なので、ドローンの技術的な話や3Dモデルなど詳細なレベルで話してくださったので、納得感や安心感にもつながりました。
写真左から|株式会社レゾナック 石油化学事業部大分コンビナート 大分現場力変革推進グループ 高森様、原様、滝波様、山田様
―ありがとうございます。今後こういうところに期待したい、というところがあれば教えてください

山田氏:これまで地図を扱うゼンリンさんと一緒に仕事をすることがなかったので、ドローン以外でも協業など一緒に取り組めると良いなと思っています。

─最後に、御社の今後の展望や目標について教えてください

滝波氏:ドローンを定期的に飛ばし、自動巡回点検の様な形でプラントの異常検知を行いたいと思っております。

例えば、サーマルカメラで撮影し設備の温度異常を感知する、定期的に撮影することで配管位置のずれや錆の範囲の広がりに気が付くことなどを目指したいと思っています。オンデマンドで見たいときに場所を指定して、さっと確認できるといいですね。
また、錆に関しては外面の状態に加え温度も重要です。液体として水が留まるような場所については錆に影響があるため、2つの画像から注意が必要な場所を特定できると良いなと考えています。可能であれば、錆の深さというかどれくらい減肉しているのかも分かるとうれしいです。

今後はまずはステップを踏んで、エリアごとに点検ができることを実証し、範囲を広げていきたいなと思っています。

“点検はドローンやロボットで実施する”という未来が来るかもしれませんね。
本実証実験では、サーマルカメラによる温度異常感知についても検証を実施

「ドローンスナップ」について

「ドローンスナップ」は、三井E&Sが開発し、提供するアプリケーションで、大型構造物の点検前に、 3DCG 空間上で点検対象物に対する細かな撮影設定と、飛行ルートの生成・プレビューを行うことで、高度な巡視点検や設備点検を可能にするアプリケーションです。

<特長>
・点検時間・コストの大幅削減
・常に同一画角で撮影可能
・構造物の3Dモデル化をローコストで実現
・幅広い機種のドローンに対応
・専門操縦士不要

「ドローンスナップ」のサービス詳細、導入についてお気軽にお問い合わせください。

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